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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第2部
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31.落雷

「おい!レオン!」


急に黙ったかと思ったら今度は走り出したレオンに声を掛けるが、聞こえていないのか無視なのか、魔法を使いさらに速度を増して林に向かって消えて行った。


レオンが向かった先に、明かりが見えた。あの揺らめくような照り方は…炎か?


「……まさか、火をつけたのか?」


「……」


フーシェ侯爵夫人とドルバック伯爵からは何も返答がない。否定もしないと言うことか。


「レオンが証拠を助け出してくるまで、ここで待っていて貰おうか」


「……それは、どうでしょうね」


急にドルバック伯爵が炎の壁を作り出した。


「あつっ……!」


目の前に炎が現れ、その熱さに思わず後退る。


「馬車を出せ!」


ドルバック伯爵が御者に指示をだし、逃げようとする。


「待てっ!」


リーズ公爵は魔法で地面に氷を張った。馬は氷の上を走ることを嫌がっているようで暴れ出し、馬車も車輪が滑って制御出来なくなった。

しかし、ドルバック伯爵は土魔法でその氷の下の地面を隆起させて氷を割ると、地面を平らにならした。そして再び馬車が進み出す。


行かせまいと炎を地に沿って馬車まで延ばしたが、それに気付いたドルバック伯爵がフーシェ侯爵夫人に何事か伝えると、フーシェ侯爵夫人が呪文を唱えて防御魔法を掛け、炎の延伸を止めた。


「魔法が使えたわ!」


「何!フーシェ侯爵夫人は魔力が無い筈……!」


何故魔法が使えるのか。

フーシェ侯爵夫人も魔法が使えることに歓喜している。初めて魔法が使えたかのような喜び様だ。


「そっちが土魔法なら、こちらも土魔法だ!」


リーズ公爵はドルバック伯爵が掛けた土魔法にさらに魔力を加え、地面を所々隆起させ土の柱を作り出し通れないようにする。


騎士科の私は王宮魔導士のドルバック伯爵との魔法戦では役に立たないかもしれないが、魔法でコーティングした剣でなら一点集中であの魔法にも一撃を与えることが出来るだろうか。


アカデミーの帰りだった為に帯剣していないが、魔法の氷で剣を作り出す。


リーズ公爵とドルバック伯爵が魔法を掛け合っているのを横目に、氷の剣を構え、呼吸を整えてから馬車に向かって一気に踏み込む。


狙うのは、馬車の車輪だ。


ドルバック伯爵が出した炎の壁を切り裂くとそのまま通り抜け、フーシェ侯爵夫人の防御を突きでパリンッと貫き、そのまま馬車の車輪目掛けて突き進み、一気に剣を横に振り抜く。片側の車輪が真っ二つに切れ、支えがなくなった馬車は大きく傾く。


「きゃあああ!」


馬車の扉を開けたまま魔法を繰り出していたからか、その開いた扉からフーシェ侯爵夫人と侍女が身を放り出された。御者も御者台から転げ落ちる。ドルバック伯爵も馬車の中で体を強く打ち付けたようだった。


あとはこの者達が逃げないように縛りあげようかと思ったのだが、ふらりとドルバック伯爵が馬車から出てきた。まだ戦う気のようだ。


「折角苦労して手に入れた、珍しい魔力構造の魔道具のネックレスなんですよ。もっと詳しく調べてみたいんですよね」


「調べる為だけにこんな手の込んだ事をしたのか?」


「ええ。結界から出る為に母にも必要でしたし。だからリーズ公爵邸に盗みに入ったが、見つかりませんでした。ネックレス自体が、俺から逃れようと姿を隠していたんじゃないかと思いまして。不思議なネックレスですよね。なので、フレイヤ嬢から直接奪おうとしたのですが、いつもベルック公爵子息が側にいるので、なかなか近寄れなくて。仕方なく2人が離れるように画策したんです。慣れないことをして、本当に苦労したんです。だから、手放したくないんですよ」


そしてドルバック伯爵は魔法で大きな鳥を生み出した。

鳥に乗って逃げる気かもしれない!まずい!


その時だった。


頭上がバリバリ鳴り出した。

頭上には大きな黒い雲が出来ていた。


「なんだ!?……リーズ公爵下がれっ!」



ド──────ン!!!



大きな音と共に辺りが光り出し、目を開けていられず思わず閉じると、同時に爆風を体に受け、数歩後退る。


目を開けると形の変わった馬車から煙が上がり、パチパチと音がしていた。ドルバック伯爵が出した筈の鳥は、跡形もなく消えていた。


「かみなり……か?」


暫く唖然と焦げた馬車を眺めていると、フレイヤを抱えたレオンが浮遊して来て、ゆっくりと降り立つ。


「……お前が、やったのか?」


「……ええ」


レオンの顔がいつになく無だった。相当怒っているようだ。


「私達まで殺す気か……」


ポツリと文句を呟いてしまうのは仕方ないと思う。恐らくあの鳥に雷が直撃し、鳥が庇いきれなかった分が馬車に当たったのだろう。でなければ、他の者が命を落としかねなかった。


「ヒューゴ様、治癒魔法でフレイヤの火傷を治せますか?」


「あ……ああ。無事……だったのか」


リーズ公爵も先程の雷に驚きを隠せないのか、動揺しているように見える。しかし、直ぐに地に降ろしたフレイヤに治癒魔法を掛けていた。



フレイヤはちゃんと呼吸をしており、傷も治癒魔法でほぼ治った様なので、もう心配は無いだろう。


問題は、レオンの怒りの雷を食らう筈だったフーシェ侯爵夫人とドルバック伯爵だ。身代わりとなった鳥のお陰で、息は何とかありそうで安心する。気絶しているが。まあ、この隙に縛り上げてしまおう。


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