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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第1部
6/159

6.始まりの魔女─恋─

「ただいまー!」


アナベルが勢い良く家の扉を開けて入ってきた。


「あら、2週間ぶりね、アナベル」


「おかえりなさい」


突然現れたアナベルに、エマもソフィアも特に驚くこと無く対応する。


「ソフィア!もう体は大丈夫なの?」


「ええ。十日ほど寝てすっかり魔力も元通りよ」


「良かったわ!じゃあ、2人に紹介するわね!」


アナベルは扉の外に1度戻り、外で待たせていたのだろう1人の男性の腕を取って再び家の中に入ってきた。


「この人と私結婚するわ!」


その男の人はアナベルに負けず劣らずとても顔の整った綺麗な人だった。たったの2週間でこんなハイレベルの男の人をどうやって見つけて、どうやって落としてきたのだろうか……。


「はじめまして。アナベルから話を聞きました。私はただの人間ですが、こちらの星で愛するアナベルと一緒に暮らしたいと思っています」


「まあ!私も愛しているわ」


もうお互いしか見えていない様子。

地球のこれまでの全てを捨てて、アナベルとのこの星での生活を選ぶなんて、しかもたったの数日での決断……。アナベルの魅力、恐るべし。


「アナベルが幸せになれるならいいんじゃないかしら」


「エマと同じく、アナベルが幸せなら結婚をお祝いするわ」


「2人ともありがとう!」


アナベルは男性に抱きついて、男性はそんなアナベルを愛おしく見つめながら肩を抱いている。


「私も地球で旦那様を見つけてこようかしら……」


アナベルを見ていて羨ましく思ったのか、エマがポツリと言った。


「あとね、まだ紹介したい人がいるの!」


「まだ?」


アナベルはまた扉から外に戻り、今度は5人の女性を家の中に引き連れてきた。

エマとソフィアは誰だか分からず、ぞろぞろと少し恐縮しながら部屋に入ってきた女性達をただ眺めていた。


「地球に行ったら魔女狩りをしているところに遭遇して、そんな人間に腹が立ってやっつけてきたの。で、その時火炙りされそうになっていたこの人達を助けたものの、迫害されて住むところも無いからってことで連れてきたの」


「なるほど」


「いいんじゃない。この星は私達だけで住むには広いし、ここでなら平和に暮らせるわ」


「2人ともありがとう!」


「「「ありがとうございます!」」」


女性達は受け入れられたことにほっとし、お互いに手を取り合って喜んでいる。


「彼女達のように迫害を受けている魔女は多いかもしれないわね」


喜んでいる女性達はよくみると手首に縄の痕が残っていたり、顔に傷や痣があったり、服が汚れていたり解れていたり、肌も汚れがついていたりと、いかにも苦しい目に遭ってきただろうと感じる様子だった。


「この5人の内1人は魔力もない唯の人間なのよ。でも魔女の手伝いをして薬草に詳しくなったから、勝手に魔女扱いされて迫害されていたのよ」


「まあ!許せないわ!私も地球に行って迫害を受けている人を見つけて助けようかしら!ついでに旦那様探しもしてくるわ」


「いいわね、エマ!応援するわ」


「そうとなれば直ぐにでも地球に行くわ!ソフィアはどうする?」


ソフィアに聞きながらエマは立ち上がり、魔法で服を着替える。

ついでに5人の女性にも汚れを落とす魔法をかけ、服も魔法で着替えさせた。

突然の魔法に女性達は小さく驚きの悲鳴をあげていた。


「私は旦那様より本が欲しい……ソフィアが戻ってきたら地球に行くことにするわ」


「分かったわ!」


返答を聞くなり呪文を唱えて転移の魔方陣を出し、光と共に消えていってしまった。

5人の女性に勝手に魔法をかけて何も言わずに去って行くとは……女性達は未だに戸惑っているようだ。


「デジャブ……?」


アナベルが地球に行くときもこんな感じでスッと行ってしまったんじゃなかったかなと、ソフィアは思った。2人の行動力には驚きだ。


「じゃあ私は彼と一緒に暮らす家を近くに作るわね!」


アナベルは彼と楽しそうに腕を組んで家を出ていった。


家にはソフィアとまだ戸惑っている5人の女性が残った。


「こんな、着替えの魔法が使えるんですね……吃驚しました」


「星を創れちゃうくらい、お3人は魔力が高いのですね」


魔女と言っても魔力量に違いはあるし、きちんと訓練をしなければ使える魔法も少ないのだろう。


「えっと……取り敢えず、皆さんの傷の手当てと、暮らすお家でも作りましょうか」



◇◇◇



そして1ヶ月後──


「やっと見つけたわ!私の旦那様よ」


エマが見つけてきた旦那様は、地球のとある国の王子だった。激しい王位継承争いで命を狙われて、毒を盛られて生死を彷徨っているところを、エマに助けられたそうだ。

もともと王位継承になど興味は無かったので、毒を盛られて死んだことにして、エマと共にこの星に来ることにしたとのこと。


立ち居振る舞いはさすがと言うべきか、王族らしく落ち着いており威厳がある。でも権力にガツガツしておらず、争いなど好まなそうな穏やかな印象だ。


「素敵な人ね、エマ!」


「エマと王子様の2人で、人が増えたこの星をまとめていって欲しいわ」


エマはこの1ヶ月間、時々星に戻ってきては迫害されていた人を連れてきていた。魔女ばかりでなく、その旦那様や子どもといった家族や、恋人も一緒に。お陰で村と言える程の賑やかさになっていた。ともすれば、リーダーとなり導いてくれる人が必要になるわけで。


ソフィアは魔力は高いので、移住してきた人達の家を作ってあげたり、生活の補助をしてあげることは出来ても、リーダー性が無く何かトラブルが起きても対処することや頼られることに戸惑ってしまう。人の上に立つことに抵抗があるのだ。


アナベルは愛第一主義で、他人のトラブルには穏やかな笑みを浮かべて「どうしましょうね」で終わるタイプ。


なので、エマが王子様を連れて来たことに2人も移住者達もホッとしたのだ。



そうしてこの星に人が少しずつ増えていき、暮らしが根付いていったのだ。


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