表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の星の恋物語  作者: 知香
第2部
44/159

15.囲い

アカデミーの授業後の、レオン様との魔法レッスン。


「氷の塊を浮かせて、檻に閉じ込める」


「はい」


「檻に防御魔法をかけて」


「はい」


「そしたら全体に炎を纏わす。魔力を出しすぎないように、一気に出さずに少しずつね」


「はい……」


「もう少し……いいね。そのくらい。ちょっとキープ。炎が弱くならないように魔力を微調整して」


「んんん……」


結構きつい。一定量の魔力を出し続けるのは集中力も体力も使う。


「OK!炎だけを消して」


「炎……だけ……」


フッと炎を消す。


「氷の様子はどう?」


「溶けてないです!」


「防御魔法がちゃんと出来てる証拠だね。氷も檻も防御魔法も消えていないから、炎だけ消すのも問題なく出来たようだね」


「良かったぁ」


「はい、まだ安心しないよ。今度は防御魔法を解いて」


「はい」


「そうしたらまた炎を纏わせて」


「はい……あっ……出しすぎたかな……」


檻の中の氷は炎で溶かされ、あっという間に蒸発して消えてしまった。


「ちょっと強かった気もするけど、まあ、合格点かな。最後、炎と檻の魔法を解除」


フッと炎と檻を消す。


「良かったぁ。出来た。ありがとうございます」


くしゃりと頭を撫でてくれる。


「だいぶ安定してきたね」


おお……今日も美形の微笑みは破壊力満点。


「どう?魔力の余力ある?」


「大丈夫です!まだ出来ます!」


「じゃあ、今度は動く対象物を捕らえる練習をしよう」


「はい!」


「空中に鳥を出すから、1羽ずつ檻で囲ってみて。いくよ」


そう言うと、空中に掌サイズの火の鳥が現れ、レッスン場内を飛び回る。


目標を定めて檻を出すけど、火の鳥の動きが素早く、上手く囲えない。


「鳥の動きが速いから、動きを予測して進行方向に檻を出すんだ」


(進行方向……あっ……)


火の鳥の進行方向に檻を出すのだが、急に旋回して避けられてしまった。


(難しい……もう一回!)


でもなかなか檻で囲えない。


「鳥の飛行するルートのパターンを観察して予測してみて」


レッスン場内を飛び回る火の鳥の飛行ルート……成る程!確かに火の鳥はレッスン場を飛び回ってはいるが、飛行ルートは比較的同じなのだ。


(あそこを旋回したら……直線を狙って……)


ガシャンッと火の鳥を檻で囲うことが出来た。


「やった!出来た!」


「いいね!じゃあ、もう1羽出すよ」


今度は氷の鳥だ!クリスタルでちょっと見えにくい。


(また飛行ルートを観察して……)


「……パターン無いですか?」


「そうだね。無くしてみた」


意外と意地悪だ。

いや、私の訓練の為よね。そうに違いない。うん。


とりあえず、観察してみる。


よく動き回る氷の鳥。火の鳥より素早い。

動き回るなら、動きが鈍くなるように、もしくは動かなくなるように出来ないかな。


(氷だから、火を当ててみる?)


思い立ったら即行動!


「えいっ!」


氷の鳥の前に炎を出してみる。嫌がって横に逸れた。


(進行方向を限定させたらどうだろう?)


思い立ったら即行動!


「んんんっ……」


ちょっと魔力を使うけど、壁に沿って炎の壁を作り、通路を作り誘導させ、檻を出した。


が、檻は空っぽ。氷の鳥は檻の手前で降下して、炎の壁の下を潜って逃げて行ってしまった。


「ああああ……」


「惜しいな。あとちょっとだったな」


ガクッと両手をついて項垂れる。悔しい。

しかし、炎の壁で少し魔力を使いすぎてしまった。これまでもレッスンや授業でも魔力を使ってきたから、回復が間に合わない。


はあはあと、呼吸が乱れる。


「大丈夫か?無理をさせ過ぎたかな。すまなかった」


「はぁ……いえ、私がなかなか捕らえられずに、無駄に魔力を使い過ぎたせいです」


「今日は終わりにしよう」


「はい……」


捕らえられず残念。次までの課題だな。



◇◇◇



レッスン場の裏の湖畔で少し休憩することにした。


秋の湖畔は、紅葉が湖に写り、赤や黄色が2倍だ。水面に落ち葉が舞い降り、波紋が広がる様も美しい。

まだ日の光が届く時間。けれど、日が短くなってきたから、じきに陰ってくるだろう。それまでの休憩。


「氷の鳥はどうしたら捕らえることが出来るんだろう……横だけじゃなく上も下も塞ぐ?そうすると魔力を使いすぎちゃう……上は天井を利用して、横と下だけにするとか……思い切って大きな檻を出して、閉じ込めたら檻を小さくするとか……それも魔力を使いすぎちゃうかな……ブツブツ」


「魔法のことばっかり考えてる?」


「どうしたらいいんだろうって、気になっちゃって」


ざわざわと木々が揺れ、冷たい風が顔に当たる。

ブルッとした。日が当たっていても、水辺は少し寒い。


そんな私に気付いて、レオン様は肩を抱き寄せる。


「寒い?くっついていれば温かいよ」


温かいけど、まだ慣れない私は恥ずかしい。

でも照れた顔を見せると、レオン様はいつも「可愛い」と言ってキスをしてくる。


でも今日は手でレオン様の口をストップさせた。


「ダメです。何処で誰が見てるか分かりません。アカデミーではダメです」


赤い顔で言って説得力があるのかどうか。


「……素早いな」


そう言うけど、レオン様の方が素早いのだ。横にいた筈なのに、いつの間にか体勢が変わって後ろから抱き締められる。


「赤くなった顔を見るとキスしたくなるから、これなら我慢出来るかなと。この方が温かいな」


囲われている。これはいつぞやの体勢と同じ。


「……この間、レオン様、私のクマ、見ましたよね?」


「……鳥は種類にもよるけど、殆どの種は真後ろが死角になるから、後ろから狙うのも手だよ」


いつぞやも後ろから狙われましたしね。


「……寝顔も見ましたよね?」


「……また怖い目にあったら俺のところに転移しておいで」


「話をはぐらかさないでください」


「……とっても可愛い寝顔を見た」


「嘘です!可愛くないです!酷い顔でしたもん!」


「恥ずかしがると余計に見たくなるのが男心だよ。ああ、耳まで真っ赤になってるよ」


すると、耳にキスされ、舌で舐められた。

ゾクリと背中に何かが走った感覚を覚え吃驚して声が出た。


「ひゃっ……うぅん……」


えっ!!!

咄嗟に両手で口を押えた。


(何今の声!私の声?なんか……恥ずかしい声だった……)


自分の出した声に動揺してしまった。


(……レオン様、何も言わない?)


黙ってしまったレオン様が気になり、そろりと振り向くと、赤い顔をしたレオン様と目が合った。


(あか……い?レオン様も、照れてるの?)


「あ……すまない。調子に、乗ってしまった、かな」


両手で口を押えたままなので、コクコクと頷く。


そのままお互いの赤い顔を見られなくなり、湖畔が陰ってくるまで、後ろから抱き締めてもらう体勢のまま無言でいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ