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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第2部
33/159

4.庭の華

親同士でも少し話があるからと、フレイヤと庭を散策することになり、やっと2人っきりになれた。


長期休暇に入ってからなかなか会えず、もどかしさがあった。魔法レッスンをしていた頃は毎日の様に会っていたのだから、余計にだ。


会う口実もあまり無く、嫌われるのも怖いし、フレイヤの家に迷惑がかかるのではとも思って、好き勝手に会いにも行けず、家で凹んでいたら母に「婚約する?」と言われたのだ。

かなり悩んだ。出会って数ヶ月、好きだと伝えてからはまだ数週間。婚約は家と家の契約でもあるのだから、ある種彼女を縛りつけてしまうことでもある。しかし、彼女が他の男に取られるのは嫌だし、俺も彼女以外を好きになどなれる気もしない。いつか、と先延ばしにするのなら今直ぐにでもして良いのではと思い、彼女に「婚約して欲しい」と伝えたのだ。


彼女は驚いた顔をしたけれど、拒否はされなかった。これ幸いとばかりに直ぐ彼女の家に婚約打診の手紙を出し、婚約申請書を取り寄せ、挨拶の日程を決めて、今日を迎えた。


彼女の胸の内をしっかりと聞かずに、ちょっと強引に進めてしまっただろうか、嫌われていないだろうかと不安な気持ちを抱えていたのだが、出迎えてくれた彼女を見てそんな気持ちは吹き飛んでしまった。


「今日のドレス、とても素敵だね」


「あ、ありがとうございます」


夏らしい淡い色の、ふわふわしているのに涼しげで、白い肌の彼女に良く似合っていた。

こんなに可愛いのだから、他の男に取られてしまうかもしれない。

そう思うと、婚約して手出しさせないようにして正解だったと思ったのだ。


「しゃぼん玉とか、雲とか、ふわふわしたものの妖精みたいだな」


「!!、私もこのドレス、今日の入道雲みたいだなって思っていたんです!」


「君が入道雲だったら、俺は困るな」


「どう言うことですか?」


「掴むことが出来ない。触れられない」


彼女の頬に手を添えると、顔が真っ赤になった。今日、薔薇の花束を渡したときも、応接室で目が合ったときも、赤くなっていたなと思い出す。


赤くなった肌とは対照的に、首もとの青い石のネックレスがキラリと光る。


「このネックレス、いつも着けているね」


「これはソフィア様のものらしいのです。とても気に入っているのもあるのですが、これを着けていると転移魔法が上手く使えるんです」


このネックレスが俺達を親しくするきっかけだったように思う。彼女が落として、俺が拾って、彼女が転移して、そして俺の上に落ちてきたのだ。


「そうなの?不思議なネックレスなんだね。でもフレイヤの瞳と同じ青色で、とても良く似合っているよ」


こめかみにキスをすると、また赤くなる。

もう可愛くて仕方がない。


彼女を抱き寄せて、彼女のぷるりとした唇に自身の唇を寄せる。離れるのが惜しくて、彼女が苦しそうにするまで長めに触れるだけのキスをする。


庭を散策するつもりが、綺麗に手入れされている樹木も花もそっちのけで、ドレスを着た華をずっと愛でていた。



◇◇◇



夜、公爵邸────



レオン様に頂いた薔薇の花が幾つかの花瓶に分けられて生けられていた。


「お母様、薔薇の花言葉って、何でしょう?」


赤く艶めく薔薇の花びらに指をちょんと付けながら、何となくお母様に聞いてみる。カーネーションの時の様に、何か意味があるのだろうか。


「あら。フレイヤったら、薔薇の花言葉も知らないの?」


「……知りません」


「赤い薔薇は≪愛情≫よ。本数でも意味が違うんだけど、これ、何本あるのかしらね?108本はさすがにまだだと思うから…100本くらいかしら?≪100%の愛≫ね、きっと」


「……」


私から聞いたんだけど、恥ずかしい。お母様の顔を見られない。薔薇に視線を固定して、とにかく黙ってしまった。



「フレイヤ~……」


「……どうされました、お父様?」


「お前はもう俺の可愛い娘ではなくなってしまったのだな、ぐすっ」


(泣いてる……?)


「まだ幼いと思っていたのに、キスをするように、なってしまって……悲しいよ。結婚前は……ほどほどにしてくれ……ううっ」


「なっ……!みっ……て……!」


(今日のお庭でのレオン様とのキスを見られていた!?)


ただでさえ薔薇の花言葉でもう恥ずかしくて2人の顔を見られないでいたのに、さらに……キスを、見られていたなんて……!しかも、それ、言う!?


「お父様サイテー!だいっっっきらい!!!」


バタン!!バタバタバタバタ……


「フレイヤ~!」


「そんなことを言ったら娘に嫌われるに決まってるじゃないですか。お酒の飲み過ぎですよ」


「フレイヤ~……ぐすっ」


「結婚前なんだからほどほどにって、どの口が仰っているんですか。私、結婚前に貴方に沢山キスをされた記憶がありますけど?」


「……同じ男だから、分かるんだ。キスをしたら、もっとしたくなる。それが男の、欲情だよ……ううっ!フレイヤ~……」


「……あら、まあ。婚約期間が長くなりそうですけど、大丈夫かしら?」



◇◇◇



夜、もう一つの公爵邸────



「レオン。今日フレイヤちゃんとキスをしていたようだけど、公爵閣下がショックを受けていたから、これからはちゃんと周囲にも気を配りなさいね」


両家の親に見られてたのかよ!


「それと、キスまでという約束は必ず守ってね?」


「分かってるよ」


「それから、キスのバリエーションの勉強もしなさい。キスは愛を伝え合う大事な行為よ。ただ重ね合うだけのものではないからね」


なんなんだ、この家の教育法は……!



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