表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の星の恋物語  作者: 知香
第1部
15/159

15.魔法の指導

レオン様から魔法について教えて貰うようになって1週間程が経った。


アカデミーのある日は、授業後に魔法レッスン場で指導を受けている。


それは良いのだが、申し訳ないことにレオン様と毎日逢い引き(?)しているとの噂が起ってしまったのだ。


そうではなくレッスンだと言ってはいるものの、友人くらいしか信じてくれない。


その友人にもとにかく羨ましがられて、ついてこようとする。……それは、レオン様に迷惑になるだろうと思って、どうにか振り切って、今日も魔法レッスン場へと行くのだ。




「フレイヤ嬢は、魔力の放出感覚を掴みきれていないようだから、体の中の魔力の流れを感じる訓練をしよう」


「はい!」


レオン様は、カリナ様に勝手に決められ、さらに私に押しきられるようにこのレッスンを始めたにもかかわらず、きちんと丁寧に教えてくださる。

本当にお優しい方だ。


「まず、手を壁につけて、魔力を流す。そのとき、腕1本分の魔力を流す感覚で、流しきったら手を離す」


利き手の掌をピタリと壁につけて、魔力を流す。


「んんん?流れているのは分かるのですが、どのくらい流しているのかが分かりません」


「魔力の流れをもっと集中して感じるんだ。血液が血管を流れるように、魔力が皮膚の下を通っているイメージをして。肩にある魔力が、肩から肘を通って腕に流れて、手首、手の甲、指先、そして壁に流す」


「おおっ…肩にあった魔力が腕を通って壁まで伝って流れていく感じがしました」


「それでいいよ。壁から手を離して」


「はい」


「そうしたら今度は、氷を作る。まずは爪1つ分の魔力で作って、次は指1本分、その次は掌分、その次は指先から肘までの分、最後指先から肩までの分」


そう言いながらレオン様が見本を見せてくれた。最初は小さな氷の粒が出来、次に氷の球が出来た。そして一回り大きな氷の球が出来て、最終的に徐々に大きくなる氷が5つ出来上がっていった。しかもその氷の球の精度は素晴らしく、不純物の無い透明で、表面がつるりとしたまん丸の綺麗な球体だった。


「わっ…すごい!」


「やってみて」


「まず、爪1つ分……」


小さな氷が出来た。


「次は指1本分……おっとっとっ!」


意外と指1本分は少なく済むようで、魔力を流し過ぎてしまった。


「気にせず続けてみて。次は掌だから手首辺りまでをイメージして」


そう言ってレオン様が私の手首に人差し指を置いたので、ドキッとしてしまった。


この間、猪とダチョウに追い掛けられているところを、抱き上げて助けてもらってからというもの、ちょっと触れるだけでドキドキしてしまう。

あの時突然浮遊したことに驚いて、「落ちるっ!」と思ってレオン様の首にしがみついてしまったのだ。気付けばあの麗しいご尊顔が間近にあり、光の加減によってゴールドに見える美しいアンバーの瞳がはっきりと見え、驚いて手を離してしまって、落ちそうになった体を支えられたときの、あの、レオン様の腕の力強さを思い出してしまう。


(駄目だ…!集中しなきゃ)


「次は掌分……指先から肘まで……指先から肩まで……」


私が呟くのにあわせて、レオン様は人差し指を肘に持っていき置く。そして、人差し指を肩に移動させてまた置いた。


緊張しながらも思考を振り払い、何とか徐々に大きくなる氷が5つ出来た。精度は……うん、まだ修行が必要だな。レオン様の作った氷に比べると、透明感がさほどではなく、白い筋が所々入り、形も表面がつるりとしておらず少しだけボコボコしている。


「ん……?私の作った氷、全体的にレオン様の作った氷より大きいですね。魔力を流し過ぎてしまっているのでしょうか……」


「いや、多分、君の魔力の絶対量が俺より多いからじゃないかな」


「えっ……!そ、そうなのですか!」


「君はソフィア様の家系だろう?魔力は女性の方が高く遺伝するし、その可能性が高いと思う」


私の方がレオン様より魔力量が多いのか!それは吃驚だ。器用に魔法を使いこなすレオン様だからと、勝手に全てが私より優れていると思い込んでいた。


「氷の精製は良い出来だね。力まず魔力を流す量をイメージすることを忘れないようにね」


「はい!ありがとうございます!」



◇◇◇



彼女の弾けるような笑顔を見て、また胸がいっぱいになる。言葉が出てこなくなり、暫く彼女の表情を見つめてしまった。恐らく俺は、間抜けな表情をしていたことだろう。


(何なんだろう。この間から、何なんだ?)


どうもおかしいのだ。自分がおかしい。



彼女との魔法レッスンを始めてから、俺と彼女の噂に拍車が掛かった。殿下にも友人にも鬱陶しい程散々からかわれたが、レッスン場に来て彼女の笑顔を見るとどうでも良くなる。


彼女と魔法について話す時間も楽しい。毎日授業後に会うのが楽しみに思う。

カリナに無理矢理決められた魔法レッスンだったが、全く嫌に思わない。面倒だとも思わない。



……やっぱり、おかしい。

何か、おかしい。

何がおかしいのか分からないが、自分がおかしい。


俺は一体どうしてしまったんだ?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ