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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第1部
13/159

13.スケッチ

「ちょっとちょっとちょっとー!!!フレイヤー!あんた、噂になってるけど、どういうことよー!説明してー!」


翌日の朝、アカデミーの座学の授業を受けるために教室の席に座っていると、友人が教室に入って私を見つけるなり、凄い勢いで詰め寄ってきた。


それもそうだろう。


今日私は世界が一変した。

悪い意味で。


噂話の対象となり、周囲の人から見られ、コソコソと何かを言われている。


「噂……ちなみに、どんな噂?」


聞くのが怖い気もするが、遠くで皆が何と言っているのか気になるのだ。


「昨日レオン様にエスコートされて、一緒の馬車で帰ったって聞いたわよ!」


脚色されることなく、ちゃんと事実だった。


「その通りよ」


「何でそんなことになったの?どうやってそうなったの?あなた、レオン様のこと知らなかったじゃない!」


ああ──!

教室中の生徒が聞き耳立ててるのが分かる!

なんなら前のめりでがっつり体を向けて近寄って聞いてくる人もいる!


こんな皆が聞いているところで、私の失敗談を晒さなくちゃいけないなんて……!


でも話を躱す術も、誤魔化す術も、無言を突き通すメンタルもないわ……。


はぁと溜め息が出る。

最近溜め息が多いな。


「昨日、一旦帰った後に転移魔法でまたアカデミーに来たんだけど、呪文が分からなくて歩いて帰るしかなくて、それをレオン様が不憫に思われて送ってくださったの」


「レオン様優しい!…いやいや!なんでそこでレオン様が出てくるのかが不思議なんだけど!」


「たまたま…レオン様がいらっしゃるところに転移しちゃって……」


さすがに「レオン様の上に落ちました」とは言えない。


「私もしたーい!転移魔法のやり方教えて!」


「私も教えてー!」


「レオン様に送って貰えるのなら、私も転移魔法覚えるわ!」


「ずるい!私も!」


……………

……………




……今週はそんな感じで散々な日々だった。


とにかく疲れた。

恋する乙女の追及という名の攻撃と、様々な人からの好奇の視線に、時々ヒソヒソと聞こえてくる噂話……。


今日は休日。

やっと心が休める。



今日も森の隠れ家に来ていた。

でも家から出て森の中にいる。青い鳥も飛んできて、私の肩に止まり、チチチと鳴いた。


「ジロジロ見られて疲れちゃったよ。でも、レオン様はいつもあんな風に注目されているんだよね。凄いわ」


本当に凄いと思う。あれをあの美貌のせいで、これまでずっと経験してこられたんだ。私には無理だなぁと思ってしまう。


慣れるものなのかしら?


青い鳥を肩に乗せたまま、森をずんずんと歩く。手にはスケッチブックと鉛筆を入れた手提げを持っている。

仮装トーナメント大会の時にレオン様が教えてくださった通りに、動物の観察をしようと思いこの森にやって来たのだ。


暫く歩くとウサギを見つけた。

手提げの中から、邸の厨房から貰ってきた人参の皮を出して、ウサギの前に持っていく。クンクンしながらモシャモシャ食べ始めた。


(かわいい…!早速スケッチをしよう)


耳の中を外側に向けて寝かし、リズムよく人参を食べる。ピョコンと短い尻尾や、背中のふわりとした丸みが可愛らしい。足はどういう風に畳んで屈んでいるのだろう。上体を起こしたときの体の造りはどうなっているのだろう。


意外と観察は楽しかった。動物の体は人間とはやっぱり違う。


今度はリス。その次はキツネ。タヌキも。


この森の動物達は、私を怖がることなく寧ろ近付いてくる。だから友達になれたのだ。

キャベツの芯や芋の皮、葉物野菜の外側の固い葉等をあげて、スケッチをさせて貰った。


可愛い小柄な動物達を描いていたら、今度は猪の親子がやって来た。


「凄いわ!この間レオン様が変身したそのまんまだわ!」


違うのは大きさだけで、全てがまんま猪だ。改めて変身技術の高さに感動してしまった。

可愛らしい猪の親子のスケッチもする。うり坊を見られるなんてラッキーかも!


夢中になって描いていたら、スケッチブックに影が出来た。見上げるとダチョウがいた。


「……!!だ、だいじょうぶ、かな?襲ってこない、よね?」


ちょっと怖いけど、大人しそうだ。この森にダチョウなんていたかしら?普通、砂漠地帯とかに生息しているんじゃなかったかしら?群れとかは?隣接する他の領地から迷い込んだのかしら??


ダチョウは私の直ぐそばに足を折って座り込んだ。


(何だろう……描いてくれってことなのかしら?)


とりあえずダチョウも描いた。



沢山の動物を観察することが出来た。これで少しは変身技術も向上するだろうか。


試しに変身してみることにした。


(何が良いかなぁ。せっかくだから滅多に見かけないダチョウにしよう!)


しっかりと頭にダチョウを思い描く。長く細くしなるような首、小さく平たい頭にくちばしの上の鼻の穴、黒い羽にもっさりとした尾。そして、呪文を唱える。


ボンッ!


………

…………あれ?


私、変身してないぞ?


目の前にダチョウが増えた。

可愛いうり坊がダチョウになっちゃった。


「また失敗!?なんで?なんで私じゃないの?ダチョウのクオリティは結構高いけどっ!」


と、反省も束の間。うり坊の母親と思われる猪が……怒ってる!!


「たっ……たすけて─────!!!」


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