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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第1部
11/159

11.隠れ家

「う~ん、ないなぁ……」


どこかでネックレスを落としてしまった。


昨日のいつ落としたのか分からないので、行ったところをくまなく探すが、どこにも見当たらない。


アカデミーの教室にも、食堂にも、魔法レッスン場にも無く、事務室に落とし物が届いていないか確認にも行ったが、無かった。


そしてレッスン場の裏手の湖畔に来て、こうして探しているのだが、見当たらない。


髪と服を乾かした場所にも、ツツジの木の周辺も、逃げ去ったときに通った道にも無いのだ。


(どこで落としたんだろう……)


気に入ってたのに。失くしてしまった。


(はぁ……)


最近溜め息ばかりだ。魔法で失敗ばかりして、こうしてネックレスまで失くしてしまって。恐らく、大事なネックレスだろうに……。


今日は汗ばむ陽気で体も、もちろん気持ちもぐったりしてしまい、もう探すのを諦めて家に帰ることにした。


(元気が出ない時は、あの場所に行こう!)



◇◇◇



アカデミーから家に戻り、邸の一番奥にある青色の扉を押し開ける。


この扉は魔法の扉。


始まりの魔女のソフィア様が作った扉らしい。この扉の先は、我が家の領地内の森の中にある家に繋がっている。


始まりの魔女の3人が一番最初に作った隠れ家だ。


ここには沢山の本がある。魔法書だけでなく、地球の様々な国の本や、この星の伝記らしきものまで、書斎の四方の壁にビッシリと並べられており、図書館のような家だ。


この書斎の椅子に座り、背にある縦長の窓から森の木漏れ日を浴びながら、本を読むのが好きなのだ。

あの青い石のネックレスは、この書斎机の引き出しで見つけた。だから恐らくソフィア様のものなのではないかと思う。


少し窓を持ち上げて開けると、森の涼しげな風が吹き込み、青い鳥が1羽飛んできて窓辺に止まる。私の方に首を回し、チチチと鳴く。


「私、ここにあったネックレスを失くしてしまったの。ご先祖様のものを失くすなんて、罰当たりよね」


私は小さい頃魔力暴走を起こしていたので、家からほとんど出たことがなく、アカデミーに入学するまで友達もいなかった。

なので、この森の動物達が友達だった。


この家の周辺はソフィア様がかけた結界が未だに張られており、安心してこの森で遊べたのだ。


話し掛けた青い鳥は、首をコテンコテンと左右に倒して、またチチチと鳴いた。


鳥が何と言っているのかさっぱり分からないので、勝手に慰められたと受け取ることにした。


椅子に座って、この間来た時に読んでいた本の続きを読むことにした私は、机の上に置いたままの本をペラペラとめくった。

青い鳥は私の肩に乗り、一緒に読書するようだ。


私にはまだ扱えないような魔法が載った魔法書。いつか使えるようになったらいいなと思いながら、今日も読む。

基本的に、魔方陣を出現させる高度な魔法だ。ある一つの物体だけ時間を進めたり戻したりする魔法や、未来を視る魔法、逆に過去を視る魔法等。

実際に試したこともあるが、何も起きなかった。魔力は高いが、私には何かが足りないのだろう。


また1ページめくると、今度は転移魔法。


(そう言えば、これは試したことが無かったわ)


移動距離によって消費する魔力も違うらしいが、始まりの魔女達は平気で地球まで転移していたそうだ。しかも、地球から移住者数人を同時に転移させて来たらしいから、やっぱりご先祖様達は凄いのだなと思う。


私とは大違い……。


(だめだわ!また落ち込んでしまう!)


雑念を振り払い、本に再び視線を戻し、転移魔法のやり方を読む。



*****


魔方陣を起こし、行きたい所だけを思い浮かべ、魔方陣に魔力を流す。


*****



……これだけなのよね。魔方陣の呪文は載っているけれど、基本説明文が短い。他に無いのかな?コツとか、さ。


説明文が短いから、じゃあ簡単なのかなって思うけれど、いつも全然出来ない。


(行きたいところか……。失くしたネックレスのあるところに行きたいわ)


思い立ったら即行動!

たぶん、私の良いところ。


と言うことで、このやったことの無い転移魔法に挑戦してみることに。

スクッと椅子から立ち上がると、青い鳥がビックリしたのか肩から飛び立ち、何処かへ行く……かと思いきや、今度は私の頭の上に乗った。


なぜ、そこ?


まぁ、いいや。

一緒に転移してくれるのなら心強い。


本を見ながら呪文を唱え始める。

すると、魔方陣が浮かび上がってきた。


(行きたいところ、行きたいところ……青い石のネックレスが落ちているところ!)


魔方陣に手を翳し、魔力を流して行きたいところを強く思う。


…………

…………


何にも起きない。


(やっぱり駄目だったか……)



と、思った瞬間、魔方陣が光った。


(えっ!光った!?ネックレス────!)


目の前が光で真っ白になる。眩しくて目を閉じる。


なんか、頭がぐるぐるして、体もふわりと軽くなり、……酔う。




「えっ!なっ……!」


あれ?誰かの声がする。

あれ?私、落下してる??


「きゃ────!」


どさっ!!!


「わっ……たたた……」

「イタタ……」


うううっ……

痛い。

気持ち悪い。


また誰かの声がした。


……何か、踏んでる気がする。


眩しさが無くなったので、ゆっくり目を開ける。



……

………………

…………………………


…………………………えっ!?



男の人の上に落ちていた。

直ぐ目の前に顔がある。

黒髪の………



(なっ……なに、この人!超絶美形なんだけど───!!!)


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