表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の星の恋物語  作者: 知香
第4部
109/159

19.王家の過去

私の心配とは裏腹にレオン様は翌日にはもう隊へと復帰された。

そして私はマデリン様と約束をしたこともあり、ちゃんとアカデミーに行った。

正直、行くのは怖かった。いつでも、どこでも見張られている気がして、部屋から出るのが怖かった。

部屋ですらいつでも侵入されてしまうだろうということは、既に実証されている。


アカデミーで会うエレナとレベッカは普通だった。本当に催眠魔法を掛けられているのか、私には分からなかった。


何故?どうして?

そんなことばかり無駄に考え眠れない日々を送っていた。


そして直ぐにアカデミーは冬の休暇に入った。




今日は滅多に来ることが無い王宮に、お父様とお母様と共に来ていた。

王宮に着いて馬車から降りる時に手を差し出してくださったのは、レオン様だった。また暫く会えない日々が続くと思っていたので、早い再会に驚いた。そしてレオン様に案内されるままに王宮内を歩き、辿り着いた部屋にはエドワード殿下とベルック公爵家の皆様が居た。


つい先日お会いした皆様なのに、王宮というそのどこか日常とは違う場所の雰囲気もあり、緊張感が漂う。

テオドールが言っていた、『たぶん、もうじき教えて貰えるよ』ということなのではと、何となく感じていた。


「最近、眠れてないの?」


「え……」


突然レオン様に言われてドキリとする。


「顔が疲れているようだ」


「そんなに酷い顔をしていますか!」


確かになかなか眠れず、日々の睡眠時間は少ない。ぼーっとしていることが多く、鏡の前でもただ座っているだけで侍女に任せっきりで自分の姿に頓着していなかった。


レオン様が頬を優しく撫でてくださる仕草が心地好い。


でも、私は心配してくださるレオン様に何も言えないのだ。テオドールに忠告されている。


レオン様は私が贈った髪紐で髪を縛っていた。照れ臭さもあるけれど、嬉しかった。けれどちゃんと使ってくださっているその優しさが、逆に私を苦しくする。


テオドールのこと、伝えた方が良いに決まっている。テオドールは、レオン様がアカデミーの学生に掛けられた催眠魔法の解除をしたと言っていた。つまり、レオン様は何が起きているのか知っている筈。


そうと分かっていても報復が怖くて何も言えない私。大事な友人に何かあったら……と思うと口を閉ざしてしまう。レオン様に隠し事をしているようで、心が苦しくなる。


「何かあった?」


美しくも鋭いアンバーの瞳が射貫くように見つめてくる。何も言えない私はどう誤魔化したものかと戸惑っていると、ノックの音が聞こえた。


ノックに救われた思いがしたけれど、扉が開いて入ってきた方を見て焦って立ち上がる。


両親もベルック公爵家の皆様も一様に頭を下げる。


「皆、顔を上げなさい」


落ち着いた声の主は、前国王陛下のアディール殿下。エドワード殿下やアリーチェ王女殿下と同じ美しい金髪で、退位しても変わらぬ威厳と落ち着いた穏やかさで、国母であった殿下は多くのこの星の女性から慕われ続けている。


1人の焦げ茶色の髪のダンディーな騎士にエスコートされて、アディール殿下が真ん中の席にお掛けになる。

そのアディール殿下に続いて、カミーユおばあ様が入室してきた。


(おばあ様?どうしてここにいらっしゃるのだろう)


カミーユおばあ様と視線が合い、いつもの優しい笑顔を返してくれた。


「国王は忙しいのもあるけれど、私の口からお話しすべきと思い私自ら参った次第です。だからマデリン。息子を約束が違うと責めないであげて」


「貴女様自らお越しくださり、感謝の念に堪えません」


アディール殿下はマデリン様の言葉に柔らかな表情を向けられる。


「さて、レオンにフレイヤ。この度は2人に辛く悲しい思いをさせたわね」


マデリン様に向けられていたお顔がこちらに向き、突然に話を振られて頭が真っ白になってしまった。

アディール殿下のお顔は把握していたものの、直接会話するのはおそらく初めてだ。緊張してしまう。


その緊張が伝わったのか、レオン様が私の手を取り2人の総意であるように返答してくださる。


「お心をお寄せくださり有り難く存じます」


レオン様に倣って私も慌てて頭を下げる。


「今回の件は、全ては50年程前のことが関係しています。そこからお話ししましょう」



***



私には兄が2人いました。なので私は王位継承権第3位で、いずれどこかに嫁いで王家を離れる身だと思っていました。


兄2人は年子でとても仲のよい兄弟でした。

第一王子はとても優秀で努力家でもあり、多くの者に慕われており、弟である第二王子も兄をとても尊敬していました。自分は兄王を強く支える臣下であろうと意思を強く持っていました。


私は歳が離れていたこともあり、いつも2人から置いてきぼりをくらって、仲の良い2人が羨ましくて仕方がなかった。


しかし、第一王子が王位を継承する3年前のこと。1ヶ月後に第一王子の結婚が予定されていたある日の夜、第一王子とその婚約者が第一王子の部屋で亡くなっているのが発見されました。


突然の報せに私は理解出来よう筈もなく、感情を失っている状態でした。


2人は服毒死でした。

王家の結婚は、女性側に処女性が求められます。なのに夜に婚約者が第一王子の部屋に2人っきりでいたということにも驚きが広がりました。そして調査が行われ、さらに婚約者が身籠っていたことが分かりました。


2人が婚姻前から体を重ねていたのかと思われたのですが、それに意を唱えたのが第二王子でした。「兄がそんなことをする筈がない。婚約者をもっと調べるべきだ」と強く訴えました。


けれど、婚約者は王家筋の公爵家の令嬢で、当時とても力を持っていた家でしたので、当主が「娘の尊厳を傷付ける気か」と強く反発をした為に、調査を行うことが出来ませんでした。それどころか第二王子に対して、「自身が王位が欲しいが為に兄を殺し、一緒に死んだ娘に罪を擦り付けようとしているのではないのか」と責めたのです。


どちらの主張も何も証拠等無く、ただ其々が擁護する者を付け派閥が大きくなり対立が激しくなる一方でした。そして私は、私の思い等関係無く勝手に第二王子の派閥に対抗する為の道具として、次期国王にと推されてしまうようになりました。

その時私は15歳。兄を亡くしたばかりなのに次期国王にと突然擁護されてしまい、戸惑いしかありませんでした。それにもう1人の兄である第二王子とも対立等したくないのに対立派閥の矢面に立たされてしまったのです。

あの時、もう少し私に冷静に考えられる頭があったのなら、あんなことにはならずに済んだのだろうと何度も後悔してきました。でも、王位継承を考えたこともなかった当時の私には、避ける術を何も思い付きませんでした。


王家はとりあえず死因等全てを公表はせず、2人が亡くなったことだけを国民に報せることにしました。


暫くして、婚約者の令嬢の日記が見つかりました。あろうことか、その日記を公爵は新聞社に公表したのです。そして日記には、信じがたい事が書かれていました。


第二王子と関係を持ってしまったこと。

そして、子を身籠ってしまったこと。


第二王子から真偽を確認もせず、勝手に新聞社に公表してしまった上に、国民は亡くなったとしか聞いていなかった第一王子と婚約者について様々な憶測を巡らせ、詳しく公表しなかったのは第二王子を庇う為だと王家を非難するようになりました。

そして当然国民は、第二王子に王位を継承させることに反対するようになりました。


第二王子は日記の内容を否定しました。公爵の捏造だと反発しましたが、国民の多くは公爵の味方についてしまっていました。公爵の捏造を立証することは難しく、第二王子は、「自分は王位が欲しい訳ではない。兄の死の真相を突き止め、兄の名誉を守りたい」と王位継承権を放棄しました。

そして騎士団に入り特殊部隊を結成して第一王子の死の真相を自ら再調査し始めました。当時の特殊部隊には、今ここにいるリアム隊長も所属していました。まだ騎士団に入団したばかりの新人でしたが、かなり優秀で第二王子に見込まれ配属されました。


特殊部隊の調査の結果、婚約者には密かに恋人が居たことが分かりました。それを証言してくれる令嬢を探し出したのですが、その令嬢が自殺してしまったのです。

当然その死にも不審な点が多い為に詳しく調べた結果、自殺に見せかけた他殺であると判明しました。


第二王子はこれまでの捜査でかき集めた証拠を持って公爵の元を訪ね追及をしたそうです。そこで詳しく何があったのかどんな言葉のやり取りがあったのか分かりませんが、第二王子は公爵を殺してしまいました。


そしてそのまま第二王子は姿を消してしまいました。


その数ヶ月後、第二王子の婚約者だった令嬢も行方知れずになったそうです。

その婚約者は第二王子と第一王子の婚約者との不義疑惑が出た際も第二王子を信じ続けていたのですが、王位継承権を放棄した際に彼女を幸せに出来ないと思ったのか、第二王子側から婚約を解消されました。


彼女は、第二王子を追ったのではないかと思われました。


第一王子の死の真相は、公爵の死と第二王子の失踪により闇の中へ。当時の国王であった私の母もそれ以上解明することを避けてしまったのです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ