コスタ連邦の都合
コスタ連邦。
8つの選王候からなる貴族連邦である。
王が死ねば7人の選王候と王の子供の中から次の王が選ばれる。
王都は選ばれた王の本拠地がその時代の都となる。
現在の王はエトゥ王。経済政策で国と自領を富ませた内政型の王である。その王も60歳を過ぎ、次の王に我が子をと考えるようになっていた。
ライバルとなる選王候は実質3人。残りの4人は候補にもならないだろう。
対してエトゥ王の4人の孫は優秀である。誰が王となっても連邦は栄えるだろう。
だが、次の王候補は息子2人である。
この息子2人は親の贔屓目で見ても無能である。
普通にいえば愚鈍。とても王には成れる器ではない。エトゥ王としては息子の後の孫達に期待しているのだ。息子を王にした後に、孫達を後見人にする。孫達に実績を積ませた後に息子を退位させ、孫が王に選ばれる様にする。
だがライバルは41歳。34歳。28歳。
誰が王に成っても孫が王になるチャンスは来ないだろう。
焦った王は建国したばかりのヤマト王国に目を付けた。あの国を奪いとり、孫を9人目の選王候にするのだ。そうすれば息子を飛ばして孫が王に成れる。その野望のための出陣である。
面白くないのは事情を知っている選王候達である。誰が活躍しても奪った土地がどうなるのか決まっているのだから。出陣要請に対して各選王候達は義理として500の歩兵を派遣するに留めた。
逆にエトゥ王は8000の兵と、自領と国庫から出せるだけの資金を出して60000の傭兵をかき集めた。国の蓄えの殆どを吐き出す暴挙である。総勢71500の軍勢は一路南を目指した。
総大将はエトゥ王の孫であるアラモ候子。
すでにリシリュー王国とガルガ王国が侵攻したと聞いた彼は機動力のある傭兵団を先行させる事にした。5万を超える大軍を率いるのだ。ヤマト王国だけでなく、その周辺国まで支配下にするつもりであった。
先行した傭兵団は10000程であり、少し離れて5000が続く。その傭兵団は国境に入った途端に這竜蛇に襲われた。交戦の音は離れたオルファンにも聞こえる。
「来たか。」
2万なら這竜蛇5匹が相手すればいい。時間もかかるだろうし損害も出る。上手くすれば撤退してくれるだろう。
這竜蛇とコスタ連邦との戦いは続いている。湿地を得意とする這竜蛇が相手だ。そう簡単には突破できないはず。
実際に傭兵団は戦いあぐねていた。足場が悪い湿地で這竜蛇と遭遇したのだ。戦う必要のない相手だが逃がしてはくれない。投石機などを持っていないため戦いたくはなかったが、戦闘は開始された。
「まずは動きを止めろ!!ってこっちに来んな!」
「もう1匹、いや2匹来やがる!!」
「逃げろ!!まずは湿地から引き離せ!!」
湿原の戦いでは這竜蛇が戦いを有利に進めていた。
この湿原の戦い。オルファンは勝つ必要はない。
必要なのは時間。今ごろは後方で強固な陣を敷いているはずである。その指揮は平井信正。
農民達を食料と賃金で雇用して作業を進めてくれている。万全の態勢が整うまでがオルファンの役目だ。そのためには魔物も使うし、魔王も使う。
そこに情報屋が馬車を駆けさせてきた。
「ここは危ないぞ。」
「旦那、すまねぇ。敵は7万だ。エトゥのジジィがトチ狂いやがった。」
「は?」
「平井の旦那にも伝えておくぜ。」
それだけ言うと情報屋は馬車で逃げていく。
え?2万じゃないんですか?
7万。完全に想定外の数字だ。
2万なら何とかなると思っていた。だが、7万?無理だ。這竜蛇もあっと言う間に飲み込まれるだろう。
後方の陣は農民達がいなくなった後に奴隷達と入る事になっている。そこも7万は想定していない。何万かは陣地を無視して国内に雪崩こむだろう。
ここで討たねば。ここで討たねばならぬのだ。
7万の兵ならヤマト王国を粉砕して周辺国を併合してもお釣りがくる。本当にトチ狂った数字だ。
戦士マッシュなら勝つんだろうが、ここにいるのは生憎とオルファンだ。
封印状態の切り札やその他の切り札を使うか?
それをするぐらいなら封印してあるドラゴンをばら蒔く方がマシだ。
封印石に封印してあるモノを使うか?
「ドラゴン種」が17体、「ドラゴン」が5体、「リッチ」「ヴァンパイア」がいる。
使いこなせるか、戦争が終わった後はどうするか、なんて考えるのはやめよう。




