森の賢者
ミカサ王国の西に盟約の森や険しい山、湖に囲まれた小さな小国がある。
大きさは琵琶湖程もない。人口500人くらいの街が王都である。他には小さな農村が1つ。小さな山村が1つの国。
国の大半が森と湖である。
ライ王国。
その国で最近話題になっているのが「森の賢者」である。
農村の者も入らなかった深い森の入り口に小さな家が出来ていた。前日にはなかったのにだ。
そこには2人の男が住んでいる。
村人達は困った事があると2人に相談するようにした。早く打ち解けようとしたのだ。
難しい相談や病気、農業について。
「主に相談してまいる。」
1人だけ森の奥に入っていく。
すると次の日には解決策が教えてもらえるのだ。赤子の病気の時にはローブを深く被った男がすぐに森の奥から出てきた。
男が赤子に何かを飲ませると赤子の病気はすぐに治った。この男が主と呼ばれていた事から「森の賢者」となっている。
「いやー、仙石さんも物知りだー。オラが知らねぇ事ばっかり知ってるダヨ。」
「高橋さんもスゲェよ。この間は旨み鳥を仕留めてたダヨ。」
2人は農村の村人達に大人気になっている。
2人が住むこの家も「移動離宮」だ。
ログハウスを元に竈場、囲炉裏部屋、風呂場を持つ2階建ての家だ。10人は住めるようになっている。
そこの囲炉裏を囲んで村人と話をするのが日課となっている。
そこから森の奥に行くと2つの建物がある。
そこにオルファンや王女達が住む小さな城と侍達やドワーフ、獣人達が住む屋敷がある。
屋敷の方が広いのは人が多いためだ。
そのさらに奥に1件の屋敷。そこには子供達とエルフ達や大天使や魔族がいる。騒ぎにならないよう、エルフ達がすごし易いように森の奥で生活をさせている。
ウィンドドラゴンも基本的には自由にさせている。
修行をして本を読み、子供達に勉強を教える。
ドワーフ達の鍛冶を見たり、エルフに話を聞いたりもする。
余りにも小さな国で神殿もないのは誤算だった。
ドラゴンに乗ってグローシアには事情説明と寄付をしてきた。魔神崇拝の占い師にも幾ばくかは寄付をしてある。
まさに晴耕雨読の日々。
ミカサ王国とは盟約の森を挟んで反対側である。隣の国とはいえミカサ王国の情報は入ってこない。
シャーロット王女もライ王国の存在を知らなかったくらいだ。ライ王国には湖を渡るか、山を越えるか、川沿いに森を抜けるしか出入りが出来ない。盟約の森方向には道が存在していない。
そのため軍に攻め入れられた事はなく、非常にのんびりとした国である。
この国にきて1月も経たない。
のんびりとして、いい国だ。
そんなライ王国も頭を悩ます事がある。
山村に現れた熊退治。そして川を下った先にある友好国パーラ王国からの救援要請であった。
「オラの村に熊さ現れてなぁ、すでに2人殺されちまっただぁ。」
山村からの相談者である。
「何故、熊は現れたんですか?」
「オラ、知らねぇ。」
「いつもと変わった事はありませんでしたか?」
「熊が現れたくらいだぁ。」
熊の出現に理由はないのか?
現代社会ならエサ不足か何かに縄張りを追われたかだ。変わった事がないならはぐれ熊か。
「国に対応をお願いしては?」
「兵士が10人くらい来たんだけんど、弓矢がダメだったら逃げていったんだぁ。」
兵士は何しに来たんだ。
「投網はありますか?」
「んにゃ。オラの村は山ん中だぁ。投網なんて使わねぇ。投網で何すんだ?」
「投網を使った罠を仕掛けましょう。投網で動けなくなった熊なら倒せませんか?」
「熊なんてどうやって倒すんだぁ?」
そこからか。
罠と長槍の図面を書いて渡しました。
長槍で数人で突けば倒せるでしょ。
数日後、無事に熊を倒せたとお礼がありました。
お礼の山菜は美味しく頂きました。




