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見張りの兵が見つけたのは災害であった。

「ドラゴンだ!ドラゴンが出たぞ!!逃げろ!逃げろ!!」

夜とはいえ篝火に照らされた巨体は圧巻だ。

貴族達やクロウ王子が砦の広場に出て、上空を旋回するウィンドドラゴンを見上げる。

ドラゴンが現れた以上、逃げても無駄だからだ。


「クロウ兄様。」

シャーロット王女の声が空から降る。

「シャーロットなのかい?」

驚くクロウ王子の声。善良そうな声だ。

「まさか兄様から王都から出ていけと言われるとは思いませんでしたわ。そのうえ、命まで狙われるとは。兄様の望み通り、王都から出ていきます。これでお別れです。」

「シャーロット!何を言っているんだい?」

「クロウ兄!惚けないでよ!」

エリザベートが続く。

「わざわざ使者まで出してきたくせに!」

「エリー!エリーもいるのか?どう言う事だ?」

「私達が出て行かなきゃ私達を殺すんでしょ?姉様の苦労も知らないで!!」

エリザベート王女は感情を爆発させている。

「お兄ちゃんなんて大っ嫌い!!」

アリス王女の一際大きい声が響く。

「待ってくれ!!どう言う事なんだ?何故ドラゴンと一緒にいるんだ?降りてきて説明してくれ!!」

クロウ王子が説明を求める。


「クロウ王子。貴方が出ていけと言ったのでしょう。」

「君は・・・、英雄オルファン。この騒ぎは君の仕業かい?」

「貴方の仕業でしょう。妹達の邪魔をして命を狙う。そんな人に資金や人を援助した事を恥じています。」

「私が妹の命を狙う?さっきから何を言っている?」

「今日、貴方から正式な使者が来ました。王都を明け渡せと。今までも貴方の側近からの嫌がらせに王女殿下は心を痛めていました。その上で命まで狙いますか。」

話ながら怒りが沸いてくる。

「王女殿下の命を守るために共に国を出ます。」

「オルファン!!英雄が国を捨てるという意味がわかっているのか!!」

クロウ王子は自分が国を捨てるという事に怒っているようだ。

「面子を潰された私達は君を殺さなければならなくなるぞ!!」

妹が国を出る事を悲しめよ!


人がいない兵器群を指差す。

「ブレスで壊せ。」

一瞬で兵器が跡形もなく消失した。

「今、貴方を殺さないのは王女殿下の兄だからです。王女殿下の前でなければドラゴンに攻撃させています。私は、其れほどこの国と貴方に失望しました。」

最後だ。嫌がらせを言ってやる。

「バラン公爵はこの国の未来に絶望していました。プリンバイン大公は自分が王に成らなければならないと思っていました。スカーレット伯爵婦人は独立して国を作りました。

何故か。

次の王になるのが貴方だからでしょう。

彼らは私と同じように貴方に絶望を見たんです。」


クロウ王子は身に覚えがなかった。

王都をシャーロットが統治してホワイトリリーやザックブルグ山岳帝国に対抗する。その間にアテナイを排除して王都で合流する。

そのためにオルファンには爵位を与えて軍を率いさせる事まで考えていた。

聡明な妹に任せておけば東は問題はないはずだった。

だが今はどうだ。妹達の怒りを買っている。

嫌がらせや使者、刺客なんて知らない。

何かの誤解だろう。

「シャーロット、エリー、アリス。誤解だ!!」


「クロウ兄様。私も他国の謀略を疑いました。しかし、工作員や刺客がこの砦に戻るのを確認しています。それに復興のための食糧や兵、人員を奪ったのも誤解だと言われるのですか?」

冷たいシャーロットの声に驚く。

慌てて周りを見ると視線をそらす者達が何人もいる。こいつらを捕らえろ!そう叫ぼうとした時にオルファンの声が降ってきた。

「クロウ王子。私達は国を出ます。追ってきた場合は殲滅します。どうか王女殿下を悲しませないでください。」


強い風が吹く。

すでに上空にはドラゴンはいなかった。


クロウ王子はすぐに真偽を調べる。クロウ王子の陣営の貴族の殆どが何かしらの嫌がらせをしていた。

クロウ王子の名を騙って使者を出したり、王都から物資を奪っていた事もわかった。

そしてクロウ王子に貴族達を処罰する事は出来なかった。戦争の最中に支援者を失うわけにはいかないのだ。


10日程で事態は動いた。

空白になった王都をザックブルグ山岳帝国が占拠した。「妹達と英雄に見限られた王子」は民間の支援者がこぞって離れていった。

「太陽の王子」といわれ人望を集めていたクロウ王子は最大の武器である人望を身内と英雄に否定されたのだ。

第3王子が心を病んでいる事は公然の秘密である。

国民は第4王子に期待するようになっていた。

クロウ王子は部下の貴族の暴走のトバッチリを受けた形になります。

しかし、クロウ王子自身に力がないため、貴族を処罰する事ができません。

今後、ミカサ王国はどうなるんでしょうね。

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