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王都潜入

ガイド傭兵団が城門に突入して安全を確保する。意外な事に戦いは発生しない。

すでに戦いの舞台は王城周辺に移っていた。

家は焼かれ、建物は崩れている。

女子供も関係なく死体が転がっている。


華やかだった王都は死都へと変貌していた。


嘔吐を誘う死臭に満ちた王都。

王女様達にも帰還の喜びはない。

彼女達の想定では国民に祝福された王都帰還になるはずだったのだから。


瓦礫が多くてまともに進軍はできない。

何度も進路を変更していると陣が見えてきた。

紋章などはわからない。

カサンドラに確認をすると「プリンバイン大公」の紋章であった。


時刻は夕刻に入る前。

将兵の多くはまだ出陣しているのだろう。

陣の入り口や所々に兵がいるのみ。

いや、一際大きな天幕からは賑やかな声がする。

その天幕の廻りだけは兵が守りを固めている。

おそらくはプリンバイン大公か、それに近い人物がいるのだろう。


策を決めて行動にうつる。

出陣しているプリンバイン軍が戻ってくるまでが勝負だ。

先頭をきるのは磯野員昌と団忠正の2人だ。

ドリル槍とチェーンソー刀を振り回している。

それに続くガイド傭兵団の役目は戦闘ではない。

「食料や武器を奪えるだけ奪って逃げろ。逃げる際にはバラけてからバラン公爵の領地の方向へ行け。」

平井信正や長沼三徳達に細かい采配は任せてある。


2000人が一斉に略奪にはしる。

数は多いが戦争の役には立たないと判断した。

まずは遠距離攻撃能力がなかった。

敵に飛び込む勇ある者がいなかった。

混戦なら役立つが、戦争は混戦状態から始まるわけではない。

ならば戦場を引っ掻き回してもらおう。

プリンバイン大公軍を混乱させるのだ。

自分の目標は戦争を終わらせて自分が王になる事ではない。王女様達を国王様に引き渡す。

手伝うにしても王都奪還までのつもりだ。

薄情なようだが後は知らない。


磯野、団の2名だけで兵を蹴散らしてはいる。

だが、略奪を行うガイド傭兵団が弱すぎる。

槍を出鱈目に振り回す兵士にも手が出ずに遠巻きにしている。数では圧倒的なのだから集団で攻撃すればいいのに。それでも無人のテントから毛皮を奪ったり、盾を奪ったりしている。

兵士も分散され、混乱は増していく。

後は一番大きな天幕にいる人物を斬るか捕らえるかすればいい。

天幕の兵士達も右往左往し始めた。

突入に備える。

「オルファン殿、怪しい人物を捕らえたのだが。

その、プリンバイン大公を名乗っておる。」

頭をかきながら上泉泰綱が困った顔でやってきた。

宝石や酒を抱えてウロウロしていたという。


自称プリンバイン大公に剣を突き付けて天幕へ向かう。兵士達の様子から本物だとわかる。

天幕の中には酔い潰れた男女が何人もいる。

敵襲に驚いたプリンバイン大公が1人で逃げ出したために兵士達に混乱が拡がったのだった。


プリンバイン大公の軍は国王軍と戦っている最中に逃げてきた兵士からプリンバイン大公が捕縛された事を知った。プリンバイン大公軍は大公奪取でも投降でもなく、領地帰還を選択した。

プリンバイン大公に戦力有りを示し、プリンバイン大公への処罰を猶予させるためであり、もしプリンバイン大公が処断された場合は地理を知り尽くした自領で迎撃をするためであった。

「愚者」として有名なプリンバイン大公であったが、その配下には有能な者が多かった。


松明に照らされた国王軍の陣は負傷者に溢れていた。バラン公爵軍とプリンバイン大公軍。この2つの軍相手に2方面作戦を強いられていた国王軍には余力は残っているようには見えない。

泥沼の内戦になる。

そんな考えが頭から離れなかった。

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