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王都陥落

バラン公爵の謀叛から数日。王城内の王国軍拠点で抵抗を続けていた三ヶ所のうち、最初に崩れたのは騎士団詰所であった。

元々が休憩所や訓練所を併設した程度の施設であり、籠城には適していなかった。武器・防具だけは豊富にあり、それらで身を固めて戦っていただけであった。だが1人、2人と倒れていく。数に優るバラン公爵軍に突入され、1人残らず戦死した。


謁見の間の戦闘も決着が付こうとしていた。

「拳鬼カクサン」を凌いでいた国王軍であったが、グリューワイル大公は謁見の間から数名の騎士を付けて第4王子を逃がした。謁見の間の裏に隠し階段があったのだ。討ち死にを主張する第4王子を諭し、逃がすのは時間がかかった。そのうえで謁見の間に火を放つ。謁見の間をバラン公爵に使用させないためと敵兵を消火活動に当たらせるためである。

グリューワイル大公。王族でありながら社交界を嫌い戦地を好んだ男は炎の中に消えた。


王族居住区は抵抗は頑強であった。

各地に設置されていたガーゴイルが動きだし、バラン公爵軍に襲い掛かっていた。また近衛騎士や近衛兵も精強であり、バラン公爵軍を何度となく撃退していた。そのうえ使い捨てのマジックアイテムを要所要所で使用してくる。炎が舞い、氷柱が乱立する。バラン公爵軍は多数の死傷者を出しながら国王を討てないでいた。

勿論バラン公爵軍もマジックアイテムを使用している。だが、圧倒的にマジックアイテムの質が違う。

そして王族居住区が突然炎に包まれる。

屋敷から出てきたのはナイル将軍。秀でた能力はない。ただ王家に絶対的な忠誠を誓う男である。

「すでに王家の方々は逃げられた。貴重な品や機密と共にな。貴様らには特別な兵の相手をしてもらうぞ。陛下にお願いして頂きし物だ。光栄に思え。」

現れしは4体の竜骨兵。その姿は骸骨である。胸中には巨大な魔石。竜の牙や爪から魔導によって造られる竜牙兵に対し、竜の骨、巨大な魔石、そして儀式魔法で時間と金を必要とする。

盾や剣も竜骨製だ。


だが、一般の騎士等に竜骨兵を知る者などいない。

「竜牙兵だ!数名で対処しろ!ふん。これなら近衛騎士の方が手強いだろう。」

槍を突き出した兵士は肩から先が消失した。斬りかかった騎士も剣を切断された。

瞬く間に血霧が漂う。

「竜骨兵はその程度では止まらぬよ。陛下に逆らったのだ。死ぬがいい。」

ナイル将軍はその日のうちに戦死。しかし、竜骨兵は王族居住区周辺で暴れまわり、バラン公爵は王城制圧の宣言後も竜骨兵の対処に苦労する事になる。


「陛下を取り逃がしたうえ、あのような置き土産とはのぅ。まぁよい。あそこは封鎖せよ。

まずは王城制圧を宣言じゃ。そして王都を制圧する。よいな?」

バラン公爵の王城制圧には『国王の生死』は含まれていなかった。だが、それが憶測を呼び国王軍の士気は地に堕ちる。王都が陥落するのはバラン公爵の王城制圧宣言からわずか2日後の事であった。


王都陥落の報は瞬く間に王国全土に広がる。

そしてその10日後にはアテナイ都市連合軍による前線突破と前線にいた5人の将軍の戦死も王国全土に伝わった。

「なんじゃと!!奴等は人質はどうなっても良いのか!!」

バラン公爵とてアテナイ都市連合を無条件に信じたわけではない。アテナイ都市連合から人質を取っていた。だが、国家の利益、都市連合首脳の利益の前に人質の命は無視されたのだ。

ミカサ王国は危機を迎えようとしていた。

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