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いたずら

まずは第一手。

追撃部隊500と王国兵150の戦いはすでに始まっていた。兵の数と将の武が違う。すぐに決着は付くだろう。皆の中で最も投擲に優れているのはオルファンだった。だからこそオルファンが投げる。

林の中から投げたのは4つ。敵の将官3人に3つ当り、1つは絶対女王ヨハンナに当たった。狙いは一番偉そうなオッサンだったのに。

すぐに佐脇良之が操る馬に乗って逃げ出す。

本来は林の中は馬を走らせるべきではない。

そのためすぐに街道に出て街道を逃げる。

戦っている最中だ。追撃はなかった。


バラン公爵軍の勝利で戦闘は終わる。

逃げ出す王国兵も血祭りにあげ、皆が血と勝利に酔いしれている。王国騎士の装備品を物色する兵もいるが止める者はいない。

マッドクロウという大型のカラスの魔物が頭上を旋回しながら鳴き声をあげていた。この魔物は早朝などに王都や都市の残飯やゴミを荒らし、日中には旅人が目を放した荷物を持ち去る迷惑な魔物だ。

人に襲い掛かる事もあるが、賢いため軍を襲う事はない。

「カアー。カアッー!!」

煩わしいと思った兵士がマッドクロウを弓矢で射抜く。そして彼らは狂った鴉の由来を知る。

落ちてきた鴉の大きさは1メートル程。その巨大鴉が己が傷付く事も恐れずに暴れるのだ。

「カアー!!クアー!!」

激しい鳴き声と共に翼を振り回し、嘴で啄む。

遊撃隊に選ばれるような選抜された兵士達である。

2人が軽い負傷をしただけで済んだ。


森から数匹のアサルトラビットが現れる。数匹のワンダードッグもいる。ここにいる兵士なら1人で圧倒できる相手だ。

周りが暗くなっていた。頭上には無数のマッドクロウが集まっていた。そして林の中からも魔物が続々と現れる。

「何だ?何なんだ!?」

兵士の悲鳴が合図であったかのように戦いが始まった。


一匹一匹は簡単に蹴散らせるザコである。だが、数が多すぎて対処ができない。さらに空と地上の両方を相手にしなければならない。隊列を組もうにもすでに混戦となっている。軽装の兵士から倒れていく。


その頃、オルファン達は柵と逆茂木を設置していた。目的は足止め。延々と柵を設置する事はできない。敵の進軍の邪魔になればいいのだ。

そして落とし穴を数ヵ所。

いたずらは本気でしないとね。

数人の具現化も実行した。ただし馬に乗っている人限定で。ここからの逃走には馬が必須だ。

C「渡辺雲州」

C「才間河内守」

UC「三村元範」

偵察に出ていた服部正重が戻り、バラン公爵軍の状況がわかる。想定以上の魔物に群がられていたようだ。ただ群がっている魔物は弱い魔物だけだったという。さすがは王都近郊。驚異となる魔物はいないか。本当はすでに魔物との戦闘になっているとは思わなかったけど。

予定変更である。

柵の近くに集魔香を投げ付けて後退する。


群がる魔物を突破したバラン公爵軍の一部の将兵は柵や逆茂木周辺に(たむろ)する魔物達を発見。追撃を断念した。この追撃から帰還した数はおよそ400。しかし、すぐに任務に就ける者は皆無であった。


その後は貴族の女性陣とラムダ公爵領で別れる。英雄を演じるのは疲れた。とはいえ、国王陛下から下賜された女性や財貨は置いては行けない。

馬車での逃避行は続く事になる。


今回の謀叛はミカサ王国がアテナイ都市連合の将軍を討ち取った事から始まっていた。王国軍首脳はこの機会に前線を押し上げる事を決定していた。

それに対し、バラン公爵は敵が弱った今こそ停戦のチャンスだと考えていた。その工作も秘密裏に進めていた。だが国王を始め、宰相や大臣にも受け入れられる事はなかった。

ゆえに、戦争を終わらせるために決起したのだ!!

バラン公爵謀叛の報せが前線に届けばアテナイ都市連合から停戦の申し出が出る手筈である。


そしてアテナイ都市連合は首を長くしてバラン公爵謀叛の報せを待っている。動揺するミカサ王国軍の前線を蹴散らし、ミカサ王国へ攻め込むチャンスなのだから。

アテナイ軍による大攻勢の時は近かった。

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