表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/131

帰還

王都が陥落する前にオルファンは脱法都市グルーンに入った。侍達には馬車と財貨を護衛させ、オルファンだけ佐脇良之によって馬を駆けさせて先行したのだ。

都市内はバラン公爵謀叛の情報でざわついていた。


まずは人が足りない。指揮を取って落ち着かせる事ができる人が。

女だけの屋敷にはR「妙林尼」R「阿南」を送り込んだ。そしてオルファンのいる屋敷にはUC「平井信正」C「岩切信房」を具現化させた。


その中でオルファンはボーっとしていた。

体に力が入らない。やる気が出ない。

具現化を終わらせ、装備を外して一眠りしてから無気力になってしまった。神殿関係者、貴族に国王。オルファンの精神は張りつめ、そして切れていた。

そして人手が足りないだろうと新たに具現化した数人の中の2人もオルファンの無気力に拍車をかけていた。


C「大庭三左衛門」

「蘆名家家臣。蘆名盛隆に小姓として仕えた。1日に3度手柄を立てた程武勇に優れた。」


C「新井田隆景」

「大崎家家臣。大崎義隆に小姓として仕えた。その美貌と才気を愛され権勢を振るった。」


オルファンの世話用に具現化した2人である。

小姓として仕えたのだから補佐と身の回りの世話を頼みたかった。大庭は18歳くらいの美青年、新井田は15歳くらいの美少年。

無気力となったオルファンにその2人が囁くのだ。

「オルファン様は働きすぎたのです。今は休むべき時。」

「さぁ、お休みになられてください。我等にお任せください。」

そして他の者に対しては

「オルファン様はお疲れなのです。休ませる事こそ大事。」

「オルファン様にお会いしたい?オルファン様の体調をお考えていただきたい。」


この2人は戦国の世で主君の寵愛を受けて出世を果たした。具現化されたこの世界でも出世の手段は同じだ。オルファンに取り入るためにオルファンの側に侍り、無気力なオルファンと外部を遮断する。後はオルファンを虜にするだけ。


歳をとり主君の寵愛を失った経験のある大庭は積極的に迫る。この世界でも18歳。ライバルは瑞々しい15歳。時間がない。新井田とて主君の寵愛がなければ権力や財力を得られない事を理解している。

結果、オルファンの治療と称した淫靡な行為が昼夜の関係なく行われていた。

はずだった。


まずは阿南。「大庭はいるか!」そして薙刀で一閃。「主殺しの痴れ者は成敗してくれる!!」

大庭三左衛門は蘆名盛隆を後ろから斬り付けて殺害したという。その蘆名盛隆の母親が阿南。

大庭を追い回す姿はまさに鬼子母神。

成敗は免れたが、これ以降は大庭は借りてきた猫のように大人しい。


そして、

「困りました。困りましたぞ。」

オルファンの部屋の中に紙を広げ、その上には無数の木片。その回りをグルグルと回っているのが平井信正。いかにも学者といった風貌である。彼は公家でありながら軍学に長け、斎藤家の戦にも参加している。だが、自ら戦う武人ではない。


その側で椅子に腰掛け腕組みをしているのが岩切信房。こちらは軍術、占術をこなし自ら槍も振るう。

だが、彼は自分からは発言しないし結論も言わない。意見も複数を述べて結論は他人に決めさせる。

決して言質を取らせない。


この2人がオルファンの部屋に入り集めてきた玉石混合の情報を書き出す。そして彼らが困っていたのはオルファンへの面会希望者への対応。

多くの面会希望者が来るが今のオルファンに会わせるわけにはいかない。いや、肝心のオルファンがいなかった。


「お辛かったのですか。それとも苦しかったのですか。身仏の教えは中道。頑張りすぎても怠けすぎてもいけないのですよ。」

木陰で1人の女性がオルファンに話しかけている。

「今は休みなさい。目が覚めたらいつものオルファンです。」

その女性はそっとオルファンを抱き締める。

オルファンは眠りにつきながら涙を流す。

彼女の名前は妙林尼。母であり、尼であり、女城主を務めた女傑。


目が覚めるとスッキリとしていた。だが、女性に抱き締められている。なんだろう、照れ臭い。

だが体にあった鉛のような重さはない。

夢の中で母親に何か言われたような気もする。

解っているのは皆に迷惑を掛けた事。

謝らないとなぁ。


オルファンが腑抜けていたのは1週間ほど。

馬車を護衛している侍達はまだ到着していない。

そして王都が陥落した事を知る。

国王や王族の生死は伝わっていない。

脱法都市へは戦乱を嫌う商人や資産家が逃げ込んできているという。

「面会を希望する者が沢山きておりますぞ。」

「軍への参加依頼、従軍命令もございます。」

「真贋不明の挙兵情報は切りがない・・・。」

うーん。あの王様が簡単に死ぬとは思えないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ