謁見
「『若き救済者』に会えるとは。あまつさえ、声を掛けてもらえるなんて。」
感動している3人がいる。
「上の反対を押し切って孤児院を経営しているんですよ。さらには未亡人や戦災者など家族を失った人も保護してるんです。」
「反対者も多いなか弱者の為に行動して大司祭になったんですよ。未だに反対し続けるシスターや司祭もいるとか。何ででしょうか?」
あー、世間的には凄い人なんだ。
あ、うん、はい。できれば暫く会いたくない。
帰りは夜遊びしないでさっさと都市に戻る。
3人には夜遊びもせず、3人に手を出さない事を不思議がられた。あー、行きはやり過ぎたかも。
帰り道で流浪の魔神崇拝の占い師に遭遇した。
珍しく男性の老人だった。
寄付をして占ってもらう。
「大波、渦、魔物、禍、決断。
抗えぬ世界の流れ、その渦中におる。ふむ。おかしい。何度しても過去、現在、未来。その全てに女と出る。まったく読めん。」
え?
個人所持金白金貨50枚と金貨・銀貨多少。
740万Gと248万M。
戻ったらパソコンをチェックしよう。
戦争が終わってから2月が過ぎようとしていた。
戻ってすぐにお出掛けとなった。至急王城へ来いとの事。
ほとんど拉致でした。
付いて来れたのは騎馬の佐脇、山口、加藤のみ。
だが、引き離されていく。
馬車の中では裸にされて採寸される。
恥ずかしい。
王族が持つ8本脚のスレイプニルが牽く馬車は徒歩で2週間かかる距離を3日で走破した。
勿論普通の馬では耐えられない。
つまり、1人で王城にいます。
変な服を着せられ連れて行かれたのは謁見の間。
何にも聞かされていません。
拉致同然だったため持っていたのは腰に下げたショートソードと聖者の腕輪のみ。武器であるショートソードは取り上げられた。
人がわんさかいる。なんだよ、これ。
「王のおなりである。」
慌てて膝をついて頭を下げる。
「貴様がオルファンか。立つがよい。」
低い声が響く。
玉座までは大分距離がある。それでもわかるのは白髪とその威圧感。
「さきの戦争ではご苦労であった。2人の将軍を討つ手柄など余も知らぬ。しかも1人はアテナイ三名将だ。奴には何度も煮え湯を飲まされた。これで前線はいくらか楽になろう。」
お褒めの言葉をもらう。
「褒美をやろう。そうよな、伯爵ではどうだ。」
どうだといいながら疑問系ではない。
「お待ちくださいませ!!」
貴族達が止めに入る。
「黙れ。」
それだけで静寂が戻る。
「不服はあるまい。伯爵で良いな。」
伯爵と聞いてあの伯爵が思い浮かぶ。
あの人と同格?無理だ。
声を絞り出す。
「お、恐れながら辞退いたします。」
「何だと?」
王に初めて困惑が見えた。
ざわつきが広がる。
「私はすでに戦場で過分なまでの恩賞を得ています。これ以上は必要ありません。」
「余が与えると言っているのだ。」
口がカラカラだ。
「過ぎたるは及ばざるが如し。今の私では過ぎたる富貴は身を滅ぼします。」
「莫大な寄付をしているのはその為か。」
そこまで知っているのか。
「私は欲の塊です。金も女も力も欲しがる俗物に過ぎません。その私でさえ困惑するほど過分な恩賞を頂いたのです。恐くなって寄付をしています。
しかし、己の器が追い付いた暁にはさらなる富貴を望むつもりでいます。」
これでどうだ。
もはや、言葉を出すのがツラい。
なんて威圧感だよ。
「ククク。フハハハハハ。聞いたか。
余の命に逆らいよったぞ。ククク。ハハハハハ。
良かろう。爵位については再考してやろう。
だが、余とて何も与えぬわけにはいかぬわ。」
もう膝がガクガクだ。
早く終われ!!
「記録官、筆記せよ!『オルファンを英雄と認める。』以上!!これで貴様は歴史においても英雄である。金や女などを届けさせる。下がってよい。」
何とか謁見の間を抜け出す。
ストン。あっ、腰が抜けた。
謁見の間は静寂が支配している。
「久方ぶりに笑ったわ。ヤツは逃がさぬ。そう心得よ。」
王の一方的な命令は続く。
「宰相、ヤツに恩賞を。金は勿論、女も揃えよ。ヤツの度肝を抜け。余の力を見せつけよ。」
「戦意高揚に利用する。ヤツには派手に遊ばせろ。」
「戦争についてだか、・・・。」
最後まで王の命令だけが響いていた。
広い部屋に通された。客間か。
フカフカの絨毯にソファー。よく解らない絵画。
机の上には水差しが4本。何が入っているんだよ。
ベッドは5、6人は余裕で寝れる。
このまま寝てしまいたい。
部屋に無表情の侍女が2人いなければ。
部屋の入口に1人立っている。
もう1人は反対側の窓際に立っている。
どうしろと?
暫くしたら面会希望の貴族がゾクゾクとやって来た。面会の後にはパーティー。ドレスで着飾った女性達の相手をしたり、挨拶をして回ったり、正直名前すら覚える暇はない。メシ、食えなかった。
グッタリして夜は倒れるように寝た。
やはり2人の侍女が見ていた。




