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二十五話

子供が生まれたら、どんなことをしよう。


例えば、良い教育を受けさせたいとか。

ドーラは、騎士に必要な学と剣術は必須だと言って聞かなかったけど……最終的には元気に生まれてきて幸せになってくれればそれでいいと納得してくれた。


私は、正直を言えば日本語は覚えてほしい。国語と、算数と、できるだけ私が日本で学んだ事は伝えていきたいと思う。


そうして、家族を大事にしてくれたら、私はそれで十分。











「このお家、凄く良いと思う。ねぇ、ドーラもそう思うでしょ?」


「ん、そうじゃな。リリィが良いなら儂はどこでもかまわんよ」


ドーラの体が大きいからちょっと心配だけど、この家は小さく纏まっていてとっても気に入った。

小さいけれど庭もあるし、猫の額くらいのサイズだけれど池もある。それに何より、家の中が凄く素敵。前のお屋敷のように広々としていないし、使用人の人たちもいないけど、古い木で出来た可愛らしいカントリー調の作りで、キッチンも対面式だし、バスルームもトイレとは別でユニットタイプじゃない。この世界では珍しく水周りも整っているし、ほかに紹介されたお家は少し大きすぎたり、水回りがあまり快適とは言えないような作りだったり、長い間手入れがされていなかったり、スラムに近かったりでお断りしてきたけど……ここなら。


「あ、でもこんなに素敵なら代金が凄くかかるんじゃない?レイモンドさんたちに相場を聞いた?」


「それは気にせんでいい。リリィが、この家でなら落ち着いて子育てができると考えられるかが大事じゃろう」


「うん、ここなら私でもお手入れ出来そう。小さいから、子供にも目が届くだろうし」


ドーラのお友達のレイモンドさんのお宅兼仕事場にも、市場にも近いし。


「儂はしばらくレイの仕事を手伝うと話をつけてあるからのう、何かあればこの距離なら十分駆けつけられるじゃろ」


「よかった。じゃあ決まりね」


この国についてからもう一月が過ぎた。

来たばかりの頃は、妊娠初期に無理をしすぎたせいか、安心したせいで緊張の糸が切れたからか体調を崩して寝てばかりだったけど、その間にもドーラは私の看病から仕事やお家探しまで幅広く走り回っていたようで起き上がる頃にはすっかりお腹もふっくらしていた。


「リリィ、あー、腹を撫でてもよいか?」


目立ってきたお腹はドーラにはとてつもなく神聖なものに見えるらしくて、旅の最中からずっとこんな感じでお伺いをたててくるから少し笑ってしまう。


「いいよ。ほら撫でてあげて?」


「う、む。暖かいな」


「今日はあんまり動かないね。眠ってるのかな?」


大きな体を丸めて屈みながら、ごつごつした分厚い手のひらでそぅっとお腹に触れる夫。


「ふふっ」


ねぇあかちゃん。

私の幸せは、ちゃんと伝わっていますか?あなたのお父様は、私を、お母様をこんなにも幸せにしてくれるの。

お父様は優しくて、暖かくて、大きくて、とっても強い素敵な人です。

私は弱くて、正直何も出来ないけど、あなたが生まれてきたら猫可愛がりする予定です。

だから今は安心して眠って、そのときが来たら、できれば元気に、私を苦しめずすぽんと産まれてきてくださいね。







歩きで旅をしてその後船に乗る予定でしたが話が進まなくなりそうだったので、一気に目的地まで飛ばしました。

完結したら手を入れつつ、番外でちょこっと出すかもです。

とりあえずは完結目指し、終わったら以前頂いたままお待ちいただいていた十万ユニーク記念のリクエストを書こうと思います。


誤字脱字・感想指摘などなどお待ちしております。


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