王とバカー王サイドー
フォートが王城をウロチョロしていたころ、俺は頭を抱えていた。監視のために着けていたスパイから聞いてしまったのだ。フォートが公爵令嬢との婚約を破棄しようとしていること、公爵暗殺を複数度にわたって試みていたこと、フォートによる王国の権力の簒奪計画を。男爵令嬢との逢瀬と浮気を。
「すぐにでも、フォートを呼び出せ。審議を確かめる」
そう命令すると、スパイたちがフォートを探しに出て行った。俺は王妃であるサフランに話しかける。
「俺の教育は間違っておったのじゃろうか。アイツが失敗しても問題にならんようアルフィーネをつけておったのになぁ」
「陛下、浮気相手のリリアナこそ王妃になるためにと、計画してるらしいですよ。あの二人は何を考えているのでしょう。何も考えておらんのかもしれませんね」
「そうかぁ。リリアナは利発そうじゃったが、あれも仮面か」
そういいながら、俺は商店で見かけたリリアナを思い出していた。とても活発に売り子をしていた。あれは、2年前のことだった。きっと魔法学院に入学したのだろう。その時がフォートが16の時。あの時から、フォートの帰りが遅くなっていた。
しかも、あのころから、女の子の抱き心地はどうなのかとか、王家の権力の凄さを知りたいとかを知ろうとしていた。なんど、俺が「知らん」と答えても納得した様子はなかった。王城に上って来るアルフィーネの胸が本当に大きく」なってきた気がする。
にもかかわらず、あのアホは男爵令嬢を抱きまくっているらしい。とはいえ、温泉で見たアイツの股はお世辞にもビッグマグナムとは言えない。
やっとフォートが来た。相変わらずフォートは青い顔をしていたが、その奥に仄暗い野心がにじんでいるようにも見えた。
「婚約破棄したというのは本当か?」と俺が問いかけると「はい、リリアナの締まりは最高です」と返してきた。こいつはダメかもしれない。
「本当にリリアナと婚約する気か?」と再度問いかけると「はい。アイツの抱き心地はいいし、締まりも最高です。最悪問題が起きても公爵よりは度しやすいでしょ?」と自慢げに返してきた。アホだろ。締まり具合だけで王妃の座を決めようと考えているのか?
サフランが「まぁ、リリアナさんは満足してないそうですけどね」と耳打ちしてきた。男としての器もそこまでなのか。まぁ、そうじゃろうがなぁ。デカくないし。
どこで間違えてしまったのじゃろうか。純金の虫かごを買い与えた時であろうか。それとも、アルフィーネを婚約者に据えたころだろうか。アルフィーネの純潔がこいつに犯されてなくてよかったわい。とりあえず、息子としてもこいつを王都においておくことはできないじゃろう。アルフィーネの傍からも離さねばならん。
「よい、下がれ」と命令し、部屋を退出させる。入れ替わるように公爵が隠し通路から、王妃を呼びに来た。
「サフラン様、アルフィーネが泣いております。うちまで来ていただけますか?」と公爵が言うとサフランは「フィーネちゃんを泣かすなんて許せないわ。ウチの息子はどこか飛ばすわ。お茶会しましょ。いつものお茶室でしょ?あのコタツの」と返していた。
妻の浮気を疑う気はないが、息子の婚約者であるアルフィーネに対してどこか百合を感じるのは俺だけであろうか。




