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人狼村開拓記  作者: やまぐ
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伝統技能 岩砕式飛竜撃墜法

 ロイド達が迎撃準備を終えるとほぼ同時にワイバーン達が来襲した。

 ワイバーンのブレス攻撃はこのように圧縮して火の玉状にして繰り出すものと直接火を噴き炎を広範囲にまき散らすブレスの二種類がある。

 接近までに準備していたのはワイバーン達も同じだったようでワイバーン達は先制攻撃とばかりに一発ずつ火球を吐き出す。

「火球が来るぞ!初撃からぬかるなよ!」

 ロイドの号令で前衛3人(ロイド、チェイス、グレン)がそれぞれ火球を迎撃する。

「ほう、火球を剣で切るか。今回の護衛達はなかなか優秀だな。………つまらん。」

 ガッデムは前衛3人がそれぞれの得物で火球を両断し迎撃するのを馬車の窓から見物しながら感想を漏らす。

 ワイバーン達が攻撃射程内に入ったのを確認しレンとソーヤが反撃する。

「ブーストウインド!」

 レンが放った矢に被せるようにしてソーヤが魔法を放つ。


 ブーストウインド

 名前の通り風系統の魔法であり極小の螺旋を描く風を打ち出し対象を後ろから押す魔法だ。本来なら前衛の者達が敵陣に切り込む際などに使い突撃力を上げるなどが一般的な使用法の魔法である。


 ソーヤによって見事に制御された魔法は飛ぶ矢の矢じりという極めて小さくデリケートな場所を精確に押し、矢の威力を底上げすることに成功していた。

 ソーヤが魔法で直接攻撃するよりもレンの矢を補助するような形で魔法を使ったのは理由がった。

 それは竜種の鱗が持つ高い魔法防御力のためだった。竜種の鱗はそれ自体が竜の魔力を発しておりその魔力は魔法の威力を減衰させる効果がある。

 そのためソーヤは直接攻撃を避けレンの矢に補助魔法をかけることにしたようだ。

 もっとも、ソーヤの狙いは単に補助魔法をかけるだけでは止まらなかった。

 ソーヤの援護を受けて加速した矢は一直線に飛び一匹のワイバーンの翼を穿った。ワイバーンの鱗を貫通した矢をソーヤが放ったブーストウインドがさらに後押しする。止めにブーストウインドが鱗がはがれた箇所で炸裂する。

 どうやらソーヤは鱗が無いところなら魔法の威力減衰もおこらないと考え矢を押し込むという役目を終えた瞬間に炸裂するように魔法にアレンジを加えていたらしい。

 これにより1匹のワイバーンが翼に致命傷を受け墜落する。

「今だ!落ちたやつを潰せ!」

 すかさずそこにロイドの号令が飛ぶ。

「俺に任せとけ!」

 それに答えるようにチェイスが飛び出す。

 チェイスを近づけさせまいと墜ちたワイバーンはブレスをまき散らす。

「あめぇ、魔剣解放!目覚めろ『風刃雷刃』!」

 チェイスの得物は一対の魔剣である。闘気を流し込むことによって魔剣の力を解放したチェイスは風の力を秘めた刃でブレズを断ち切り、雷の力を秘めた刃で雷を纏った斬撃を繰り出しワイバーンを両断した。

 未だ空中にいる2匹のワイバーンを警戒しつつも1匹を倒しドヤ顔をきめるチェイスは非常にウザかった。

 おそらくこの中で唯一女性であるレンにいい格好を見せたかったのであろうがレンは次のワイバーンに攻撃を仕掛けようとしており全く見ていなかった。

 仲間を1匹やられたワイバーン達は狙いをロイド達から後方の馬車を引く馬に変えたようだ。

 ワイバーン達からすればもともと馬をさらい腹を満たすことが目的でありロイド達に攻撃を仕掛けたのは邪魔になりそうだったからに過ぎない。簡単には倒せないと判断すれば獲物を確保して速攻で離脱する戦法に切り替えるのは当然であった。

「マズイ、俺たちから注意が逸れた。馬を狩られる前にどうにかしないと!」

 目標が自分達から馬に変わったことを察したロイドが焦燥感をあらわに叫ぶ。

 実際問題空を自由に飛び回るワイバーンと地を駆ける冒険者達とでは機動力が違いすぎる。回り込まれれば馬を守るのは非常に難しくなってくる。

「くそっ!こんな時にローガのヤツはどこに行ってんだ!アイツのスピードならワイバーン共に追いついて迎撃出来るのに!」

 ローガの不在に思わずロイドが悪態を吐いた時、突如大小の石礫が大量にワイバーンに飛来した。

 形も大きさもバラバラな石礫であったがかなりのスピードで飛来したのは同じでワイバーンの体のいたるとこに飛来した石礫は体のやわらかい箇所にも容赦なくぶち当たりワイバーンを撃墜した。

「いったい何が起こった!?」

 急展開に思わず声を上げたロイドにローガの声が響いた。

「なんか俺の事呼んだか?」

 振り返ったロイドの先に3メートル近い岩を軽々と持ち上げながら戻って来たローガの姿があった。

「どこに行ってたんだローガ!っていうかそれは何だ!?」

 突然の帰還にロイドがこれまでの不満をぶちまけるがローガはあくまでもマイペースであった。

「なにって………岩だけど。」

「そんなものは見たら分かる!何でそのな物を持ってきたんだって聞いてんだ!」

「さっきと聞いてることが全然違うじゃないか。まあいいか。これはこう使おうと思ってな。」

 ローガは新たに仲間が1匹やられ警戒し旋回するワイバーンに大まかな方向を合わせると持ってきた岩を思いっきり殴りつけた。

「そいやっ!」

 どこか気が抜けたような声であったがローガの拳の威力は抜群だった。

 殴られ粉砕されたに岩は大量の石礫となり旋回するワイバーンに飛来する。

 運悪く顔面に大きめの石礫が直撃したワイバーンは空中で気絶し墜落した。

 空を飛ぶ厄介な魔物筆頭と言えるワイバーンがアッサリと撃墜されるその様に一同がポカーンとなる。

 そんな中でガッデムだけがニヤリと笑い呟く。

「ほう……。ローガは岩砕式飛竜撃墜法を使えるのか。」

 その呟きを耳聡く聞いていたグレンガガッデムに問う。

「ガッデム様は今のローガの技を知っているのですか?」

「もちろんだ。あれはかつて『飛竜を狩る筋肉』という二つ名を欲しいままにした伝説の冒険者ボンバイェ殿が考案し、今も一部の者たちに脈々と受け継がれている伝統技能『岩砕式飛竜撃墜法』だ。かくいうワシも若い頃はあの方法を用いてよく飛竜を狩っていたものだ。」

 輝かしい思い出を回想するように遠い目になるガッデム。

 なんとなくツッコミを入れる事をはばかられ黙り込み冒険者達。

 それらを完全にスルーして撃墜したワイバーン達にキッチリと止めを刺し「コイツらの肉結構うまいんだよなー。」と1人テンションを上げるローガ。

 結局リンナが「終わったのなら先を急ぎますわよ。」と言い出すまでその混沌とした状況を続いた。




 その日の夜。

 今日も野営することになったガッデム一行は臨時で手に入ったワイバーンの肉に舌鼓を打ちゆったりとした時間を過ごしていた。

「そういえばローガよ。あの岩砕式飛竜撃墜法を誰から学んだのだ?」

 ガッデムがふとした疑問をローガに投げかける。

「別に誰からも習ってないぞ。俺の故郷の山にも羽トカゲはいたからな。捕るために自分で考えたんだ。」

「なん……だと!?あの伝統技能を自分で考え付いたのか。ふっ、まさかこんな近くに第二の『飛竜を狩る筋肉』がいたとはな……。」

 そんな2人の横で話に加わりたいが、ちょっと付いていけないと困惑していたグレンが話題を変えようを口を開く。

「しかし、岩砕式飛竜撃墜法はともかく、前衛でも使えるような遠距離攻撃があったらいいですどね。」

「あるぞ。」

「おお、興味あるぞ!」

 ガッデムがあっさりと答えそれにローガが食いついた。グレンのもくろみ通り話題を変えることは成功したようである。

「ふむ、ローガも闘衣を使えるようになった事だし今日はその技を伝授するか。とは言っても中々難しい技だからな。一日で習得できるとは思わん方がいいぞ。」

 そう言いながらガッデムが席を立ちローガとグレンはそれに続いた。


 体を動かせる場所に移動したローガ達は体をほぐしながらガッデムの説明を受ける。

「これから伝授する技は『飛翔拳』という。これは簡単に説明すると闘衣で体に纏った闘気を拳に集中し打ち出すような技だ。ただし、この技を使うには普通の闘気ではダメだ。普通の闘気では体から外に出た瞬間拡散し消えてしまう。そのため闘気にを錬成する時にひと手間加える必要がある。まず、通常を同じ要領で『気』マナを闘気に錬成するんだが……。」

「ガッデムさん。前にも言ったと思うけど俺は頭悪いんだぞ。そんな難しい説明じゃ理解出来ない。」

「む、そうか。では……まず、己の内にあるほわほわほわんに今までのようにグルグルッとする。」

「ガッデムさんいまさらだけど俺の中にあるコレはほわほわほわんっていうよりか、どっちかというとほわほわほわ~んっていう感じだ。」

「その辺は個人の感性の違いだ。気にしなくていい。それよりグルグルッとはしたか?」

「ああ、俺のが場合はギュワンギュワンだけどな。」

「前も言ったがその辺はどうでもいい。次にそこからソレに3回転半を加えて己のリビドーを込める!」

「っと!こうか!」

「そうして錬成したソレを拳に集めパッションと共に打ち出す。さながらはちきれんばかりの筋肉の魅力を上腕部から前腕部にかけて迸らせるようにして放つのがコツだ!」

「こうだな!」

 今の説明で理解出来るのもどうかと思うがローガはアッサリ理解できたらしくローガの拳から不可視の衝撃波が飛ぶ。

「ほう、流石だな。たった一度の説明でこの技をある程度使えるようになるとは。しかし、闘気を練り上げる時点での練が上げ方がまだまだ甘いな。そこを直せばさらに威力を上げる事が出来る。それと、この技は放たずに拳に集めた状態のまま殴ると鋼も砕く鉄拳としても使えて便利だぞ。」

 ガッデムはアドバイスしながらもサラリと応用編についての説明を行う。

「くっ……やはり俺のような凡人では天賦の才を持つ者たちの修練に着いてく事は出来ないのか………。」

 その横で今回もガッテムの説明で何も分からなかった正常な感性を持つグレンが打ちひしがれていた。

 しかし、今回はたまたま付近を通りかかったソーヤとレンが一連の説明を聞いていたためフォローをすることが出来た。

「グレン……今の説明に天賦の才とかは関係無いと……。」

 ソーヤがフォローしようと口を開いた時レンがボソリと呟く。

「………なんとなく分かった……。」

「え゛っ」

 この発言により呆気にとられたソーヤは結局グレンをフォローすることは出来なかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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