表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼村開拓記  作者: やまぐ
24/43

VSムカデ盗賊団④

(あ~びっくりした。コイツとんでもねぇ手段で攻撃してきやがって。思ったより強い相手なのかもしれないな。)

 天井の崩落という先制攻撃をくらってローガは相手への評価と警戒レベルを引き上げる。



 一方のドドコルは未だ混乱の中にいた。

(なんなんだ!?コイツは?あんな状況から普通に脱出してくるなんて有り得ねぇ。)

 そしてフラッシュバックする女冒険者達からの蹂躙トラウマ

(違う、違う、違う!もう俺はあの頃の俺じゃないんだ!俺は強いんだ!)

 その記憶を振り払うように周囲に呼んでいたムカデ達をけしかける。

れ、アイツを殺せ!かみ砕いて八つ裂きにしろ!」

 その命令で5匹のジャイアントセンチピートがローガに殺到する。

 しかし、ローガはその光景をまのあたりにして獰猛な笑みを深める。

「いいな、連携をとる魔物か。相手にとって不足はねぇ。……全部叩き潰してやるよ!」

 ローガがるき満々で答え戦いの火ぶたは切って落とされた。



 文字通り地を這うようにして別々のルートからローガに迫る5匹のジャイアントセンチピート。

 対するローガは中央の一匹に狙いを定めると自ら距離を詰める。

 5匹と1人の距離は急速に縮まりローガが攻撃の射程内に入った瞬間に5匹は同時飛び掛かる。

 正面、上、下、左右それぞれ別々の軌道を描きながら同時に飛び掛かるその攻撃はタイミングも完璧に合っておりローガの逃げ道を完全に塞いだ。

 ハズだった。ローガは始めから馬鹿正直にぶち当たるのではなく一度下がる事を考慮して突っ込んでいた。

 歩法『連歩一躍』。この歩法は走りながらスピードを落とさず歩幅だけを少なくしていきほとんど常に地に足が着いた状態を維持し、いつでも跳べるように備え相手の懐び一瞬で踏み込む、或いは相手の攻撃範囲から離脱を行うために考案された歩法。

 ローガはこれを用いて本来勢いが付いた状態では回避不可能なはずの後方への回避を行った。

(ちょうどいい具合に縦に3匹並んでるな。まずは中央3匹まとめて潰しとくか!)

 ドドコルはローガが普通では有り得ない回避を見せた事でムカデ達に追撃の指示を出すのが一瞬遅れる。一方で始めから一度下がる事を想定していたローガにはこの状況は想定内であり瞬時に反撃に転じられた。

 後方に跳んだ後、すぐさま再度前方に高く跳び回転により威力を上乗せさせて縦に並んだジャイアントセンチピート3匹に踵落としを叩き込む。

 両サイドの2匹は飛び掛かかってきたところを掴んで止めそのまま力任せに握り潰す。



 たった一度の攻防で5匹を瞬殺したローガを見て、ドドコルは過去のトラウマと現在進行形で出来つつある新たなトラウマに心を蝕まれていた。

(なんだ!?なんなんだ!?アイツは!?マズイ。また何もできないで負ける。違う!俺はあの頃よりも強く……でもその強さも通じなかった!……力、俺の力。ダメだ!この周辺にムカデはもうジャイアントセンチピート変異種しかいない。どうする?どうすればいい?いくら魔法が使えてもコイツ一匹じゃどうやっても勝てない!……力、力、アイツに勝てる力。………そうだ。アレがあった!アレを使えばまだ勝ち目はある!)

 強いストレスによる錯乱の中、以前商人を襲った時に手に入れたある物の存在を思い出しドドコルは歪んだ笑みを浮かべた。



 5匹のジャイアントセンチピートを始末しローガは悠然と盗賊の親玉に対峙する。

(さて、これで終わりなハズはないよな?次はどう出る?ってなんだアイツ、イッちまった感じの笑い方してるけど何かあったのか?)

 ローガが戸惑っていると動きがあった。

 懐から何やらイヤな感じがする干物のようなものを取り出した。

(なんだありゃ?なんだかわからないがイヤな感じがする。)

 ローガがイヤな感じがする謎の物体を警戒していると、不意に盗賊の親玉がソレを最後に残っていたジャイアントセンチピート変異種に食べさせた。

 丸呑みにするようにしてソレをジャイアントセンチピート変異種が嚥下した瞬間ローガは猛烈な敵意のようなものを感じた。

(なんだ、この感じは?なんか知らんが、俺コイツにめっちゃ恨まれてる?)

 ローガが困惑している間にジャイアントセンチピート変異種が急激な変化をし始める。メリメリと外殻を突き破るように肉が内部から湧いてきて体を肥大化させていく。肥大化が終わると今度は外殻が鱗のような形へ変化していき口が裂けて牙が生える。

(なるほど。なんか途中から俺もコイツの事を気に入らないと思い始めてたけどコイツはアレだな。この前の蛇の同類ってことだな。)

 ジャイアントセンチピート変異種の変化が終わるとそこには蛇とムカデが融合したような異形の怪物が存在していた。

 蛇の蛇体にはムカデの足がびっしりと生え、外殻は鱗の塊で形成されており頭部はムカデの面影を残しつつも口は蛇のように裂けておりムカデの牙とは別に蛇の牙が生えていた。

(これはまた、ずいぶんと気に入らない感じに変化したな。………予定通り潰しとくか!)

 変化を終え見るものを震え上がらせるようなオーラを放ち始めたジャイアントセンチピート変異種を前にしてもローガはいつものように獰猛な笑みを浮かべながら闘志を漲らせた。



「素晴らしい!これならどんなヤツにも負けない!俺はついに絶対の力を手に入れた!」

 手下のジャイアントセンチピート変異種の変化を見てドドコルは歓喜の声を上げた。

「これこそが力!俺の、俺だけの絶対的な力!もうどんなヤツにも負けない!あの二人にも!おまえにも!俺こそが最強だ!」

 手に入れたと思い込んでいる力に酔いしれてジャイアントセンチピート変異種が……いや、もはや全く別の魔物へと変貌を遂げたソレが、無機質なただの獲物を見るよう目で己を見ている事に気づいてすらいなかった。

「さあ、やれ!目の前のアイツを今度こそかみ砕いて八つ裂きにしろ!」

 自信満々にローガを指さしながら命令を下すがいつものように命令が遂行されることは無かった。

「どうした?れ!早くアイツを殺せ!」

 がむしゃらに命令するが反応は無く不審に思ったところでようやく気が付いた。

 いままではジャイアントセンチピート達に何か繋がりのようなもの感じており居場所や状態をなんとなく感じる事が出来ていたが、今自分の近くにいるソレからは全く何も感じられないことに。

 恐る恐る後ろを振り返るといつの間にか無機質な目がすぐそこまで迫って来ており、やがてソレが大きく咢を開きそして………。

「やっ、やめろ!俺はご主人様だぞ!そんなことは命令していない!嫌だ、イヤだ、いやだ。誰かたすけ……。」


 バクン

 ゴリゴリッ

 ゴクン


 無慈悲な音が響き、ドドコルは最後まで理不尽な力に何一つ抗えないまま死んだ。



(あーあ。食っちまった。まあ、あれだけ急激に体が変化したんじゃ当然腹が減ってるよな。)

 ローガは事の顛末を当然の結末だったと結論付けてジャイアントセンチピート変異種からさらに変異した何かの観察を続ける。

(この前のアイツみたいに血が毒なのかはわからないけど、口開けた時毒っぽいイヤな感じの臭いがしたな。確かムカデ自体も毒が持ってたハズだから毒があるのはほぼ確定だな。足がある以上体の動かし方はムカデのような動きなんだろうな。外殻は見た感じこの前のアイツより堅そうだが、関節部に継ぎ目があるからそこを狙えば攻撃は通るだろう。)

 観察を続けながら攻略法を探っていると不意にどうでも情報が頭の中を過った。

(そういえば新種の魔物は第一発見者が名前を決めていいんだったな。たぶんコイツは新種だろうから俺が名前を付けていいんだよな。よし、それならこれからコイツは百足蛇と呼ぶとするか。)


 観察からある程度の攻略の糸口を掴んだローガは最終ラウンドのゴングを鳴らす。

「さて、そんじゃ一丁り合おうか!百足蛇!」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ