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人狼村開拓記  作者: やまぐ
22/43

VSムカデ盗賊団②

「やっ、野郎どもっ。カチコミだ~~~。」

 仲間の盗賊たちの注意を喚起するために発したものであったがこの声が響いた時にはすでに戦闘は始まっており、むしろローガに居場所を特定するヒントを与えただけでしかなかった。

 盗賊たちに囲まれながらも堂々と声がした方向に視線を向けるローガ。この時この場に居た盗賊は全部で15人(すでにローガによって倒されている2人も含めて)だったが明らかに隙を見せているローガに誰も襲いかかることは出来なかった。

 先ほどにローガの仲間の一人を瞬殺した圧倒的な一撃を見て自分たちでは敵わないと本能的に悟っていたためである。

 ローガは声がした方向から視線を戻し|一番近くにいた盗賊(次のエモノ)に狙いを定める。

「ヒッ!」

 目線を向けられた盗賊が引きつった悲鳴を上げる中、ローガの後方で包囲網を形成していた6人が意を決したように出口(ローガが入ってきた方)に向かって逃げ出した。

「お、おめぇら俺達を見捨てるつもりか!?」

 残された盗賊の1人が逃げた仲間に向かって叫ぶが返答は無く代わりに断末魔の悲鳴と肉を断ち切る剣戟の音が響いた。

 それもそのはず、ローガが入ってきた出口とはつまり、その先にはロイドがいる事になるからだ。

 ほどなくして逃げたはずの3人が後ずさりしながら戻ってくる。

 彼らの眼前には血に濡れた剣を油断なく構えながら歩んでくるロイドの姿があった。

 ロイドの姿をチラリと横目で確認したローガは口を開く。

「ずいぶんゆっくりだったな。」

「誰かさんが1人で突っ走って行った挙句、6人も逃がすから始末に時間がかかってな。」

「いやいや、逃がしたんじゃなくてお裾分けしたんだよ。俺一人で全部倒したんじゃ後で文句言われかねないからな。」

「俺をお前みたいな戦闘狂と一緒にしないでくれるか?」

「え?冒険者なんてやってるからには|俺の同類(戦闘狂)だと思ってたが違ったか?」

「ひどい誤解だな。」

 呑気に会話し始めたが2人ともキッチリやることはやっており、会話しながらローガは2人殴り殺し、ロドは1人を切り殺していた。

「ところで、魔物を使役する能力を持ったヤツはもう倒したのか。」

「おお、そういえばそいつを真っ先に倒す予定だったな。」

「忘れてたのかよ。それで、この中にはそれらしいヤツはいたのか?」

「う~ん、どうだろう?全員からムカデの臭いがするから判別できないんだよな。」

「ならコイツらに聞いてみるとしようか。おい、この中にジャイアントセンチピートを使役する能力者はいるか?」

 ちなみにこのやり取りの間にローガとロイドは新たに1人ずつ倒しており盗賊はすでに5人しか残っていない。

「へっ、だっ誰が喋るかってんだ!」

「喋ったヤツはこの場で殺さないと約束しよう。無論、町の警備兵には突きだすことにはなるがその後の態度次第では命は助かるかもしれないぞ?」

「俺達のボスをやっていたヤツがその様な能力を持っています。ボスは向こうの自室にいるはずです。」

 ロイドが救済の道を提示すると1人の盗賊が速攻でソレに飛びつきペラペラと情報を喋り始めた。

「たそうだ。ローガ、ここはもう俺一人で十分だろうから先に行ってボスを仕留めてこい。俺は後始末を済ませてから行く。」

 先ほど威勢よく情報提供を拒んだ盗賊の1人を切り捨てながらロイドが提案する。

「いいのか?」

「お前の方が単純に足が速いからな。ジャイアントセンチピートの増援を呼ばれると面倒だからここは俺に任せて先に行け。」

「わかった!任せろ!」

 行きがけの駄賃として盗賊の1人にラリアットをかましながらローガは勢いよく駆け出す。

 ローガが去った後、戦況としては3対1になったがこの頃には流石に盗賊たちも勝てないと悟り武器を捨てていた。

「さて、面倒事はローガにうまく押し付けられたし、俺はボチボチコイツらを拘束してからのんびり後を追うとするか。」

 当初の目的であったローガの観察もある程度終えた判断し、サボりモードに移行しながらロイドはのんびりと盗賊たちを拘束し始めた。




 ドドコルは大声で仲間の盗賊に注意を喚起したがそれに対する返答は仲間の悲鳴という形で帰ってきた。

「ボッ、ボス。もうすでに奇襲を受けてるようですよ。どっ、どうするんですかい?」

 酒を持ってきた手下の盗賊が動揺しながら指示を仰いでくる。

 ドドコルは急速に酒が抜けて頭が冷えていくのを感じながら手下に怒鳴り散らすように命令する。

「とにかく、敵の数もわからねえんじゃどうしようもねぇ。おめぇは向こうに行って敵の情報を集めてこい。」

 そう命令すると1人だけ非常用に準備していた抜け道に向かう。

「そんなこと言ってボス抜け道から一人だけ逃げるつもりじゃ……。」

「馬鹿野郎!さっきも言ったがアジト周辺に|ムカデ共(手駒)がいねえんだよ。森の奥にはまだ飯のために放しているムカデ共がいるからそいつらと合流してくるだけだ。それよりさっさと行け!」

 手下を強引に送り出すとドドコルは1人抜け道を使って逃げ出した。

(馬鹿め。お前らみたいな無能な手下はせいぜい俺が逃げるための囮になればいいんだよ。アジト周辺のムカデ共がほどんど全滅しているのは気になるがどうせ抜け道の出口はアジトからは少しばかり離れた所に作ってあるし、出口にはムカデ共を待機させてある。出口のムカデ共はまだ生きてるみたいだからこっちの出口は安全なはずだ。侵入者にさえ捕まらずに出口まで行ければ俺の勝ちだ。)

 自分だけは逃げる算段をしながらドドコルは抜け道をひた走った。




 ローガが洞窟の中を進みながら先ほどから捉えていた気配が二手に分かれたのを感じていた。

 1人はこちらに向かって来ており、もう1人は洞窟の奥へ逃げたようだ。

(1人逃げたな……。ん?逃げた先にはムカデの気配がする。ということは逃げた方が親玉って事か。)

 ローガの気配感知能力は距離が離れすぎていると精度が下がるため、ジャイアントセンチピートが洞窟の中で身を潜めていた事もあり今まで気づけなかったようだ。

「捉えた。逃がさないぜ。」

 距離的に盗賊の親玉とジャイアントセンチピートが合流するまでに追いつけるかは微妙なところであった。

 獲物を追うという行為がローガの中の狩猟本能を刺激しローガは知らずに獰猛な笑みを浮かべていた。

 自らの本能が命ずるままにさらに加速したローガは怒涛の勢いでドドコルを追い始めた。


 ちなみにこの際、ドドコルに偵察を命じられた手下の盗賊が狩猟本能のままに加速してきたローガに轢かれ囮にすらならないまま人知れず倒されていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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