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人狼村開拓記  作者: やまぐ
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制圧準備

「まあとにかく、ここからはこのムカデ達が盗賊団と思わしき謎の集団によって使役されているって前提で調査した方がよさそうだな。」

「確かに、これまでの状況から判断するとそのほうがよさそうだ。ジャイアントセンチピート達に見つからないように慎重に進もう。」

 ローガの意見にロイドも賛成し再び雑木林の中を進み始めた。


 少し進むとまたローガが足を止めた。

「どうした?」

 ローガは無言で近くの木の根元を指さした。

 そこには人のものと思われる白骨死体があった。

 ロイドは死体に近づき死体の状況を確かめる。

「足の骨がへし折られているな。骨に齧られたような跡があるし肉がほとんど残っていない。おそらくジャイアントセンチピートに食われたからだろう。」

 ロイドが死体を調べている間にローガが茂みの中から何かを拾ってきたようだ。

「ロイド、こんなのが落ちてた。」

「これは……商人の取引台帳のようだな。これが近くに落ちていたならこの死体はどこかの商人だったんだろう。」

「これをやったのはやはり……。」

「ああ、盗賊どもで間違いないだろう。町や村を行き来する行商人は普通自分からこんな場所には来ない。おそらく町に行く途中の商人を襲い荷を奪った後、逃げられないように足の骨を折り最後にはジャイアントセンチピート共の餌にしたってところか。」

「……この先に人の気配が密集している場所がある。」

「なに?人数とかは分かるか?」

「気配が密集しすぎているから正確な数はわからないがざっと二十人ってところだろう。」

「……ローガ妙なことは考えていないだろうな。普通の盗賊団ならいざしらず、この盗賊団は魔物を使役する能力を持ったものが居ることはもはや明白だ。ヤツらのアジトと思わしき場所を特定できた以上ここから先は退却してガッデム様に報告し対策をこうじてもらうべきだ。」

「しかし、このままにはしておけないだろ。」

 ローガのこの発言に流石のロイドもため息をもらしてしまった。

「はぁ~、ローガ。気持ちはわからくもないがお前はイマイチ事の重大さがわかってないみたいだから説明してやる。使役された魔物は普段は単体で行動している魔物でも使役者の指示によって連携行動をとり、さらに使役者の種族特性によっては通常の何倍もの力を発揮するケースもある。この周辺に居るジャイアントセンチピートたちが盗賊の種族特性によって使役されている以上、戦力は盗賊団などというちんけなものではなく軍隊に近いものとなるだろう。そうなるともはや俺達の力だけでどうこうできるレベルの問題じゃない。」

「でもそれって攻撃力だけの話だよな?村や町の防衛戦として戦うならともかく、こっちが攻める方に回るならたいしたことなくないか?」

「なに?」

「改めて気配を探ってみると、この周辺にいるムカデ達は一匹一匹がある程度の間隔をあけて点在しているみたいだ。しかもそこからほとんど動こうとしないことから、コイツらはたぶん各個に割り当てられたエリアがあってその中に侵入者が現れたら襲えとでも命令されてるんだと思う。そしてさっき俺が一匹倒した後もムカデ達は仲間がやられたからといって助けに来るような動きを見せていない。」

「………何が言いたい?」

「ムカデ達がいることが問題なんだろう?今なら連携されることなく一匹ずつ潰して回れる。ムカデ共を全部潰せば後は多少修羅場を踏んだことがあるだけの素人が二十人程度だ。俺達だけでとうにでもできるだろう?」

「途中で気づかれたらどうする?それにこの周辺にいるジャイアントセンチピートがヤツらの戦力の全てとは限らないだろう?」

「気づかれたらトンズラすればいいだけだし、この辺に居るやつらの他にまだムカデが居たとしても応援が来る前に片付けちまえば問題ない。」

「ローガ、俺はお前をデタラメなヤツだと思っていたが頭の中までこんなにデタラメだったとは思わなかったぞ。」

「そいつはどうも。で、俺に付き合う気はあるのか?ないのか?」

「はぁ~。やめろと言ったところでどうせ一人でもやるんだろ?ここまで来た以上最後まで付き合おう。」

「決まりだな。さっそくムカデ退治と行こうか。」

「ここからは時間との勝負になる。トロトロやってたら盗賊どもに気取らるリスクが上がっていくからな。」

「とはいってもロイドはムカデ達の居場所は感知できないんだろ?だったら二手に分かれても効率が悪いぞ。」

「その通りだ。だから俺も腹を括って本気を出すことにする。ローガは俺をジャイアントセンチピートがいる付近に連れて行ってくれ。そこからは俺の種族特性でごり押しする。」

「おぉ、ロイドにもそういう能力があったのか。どんな能力なんだ?」

「後で実際に見せてやる。だから早くジャイアントセンチピートが居るあたりに案内しろ。」

「わかった。こっちだ。」




「この先に一匹いる。」

 ローガが近くにいたジャイアントセンチピートの元へロイドを連れて行きそういうと、後を着いてきたロイドから返事があった。

「わかった。ここは俺に任せてお前たちは次のジャイアントセンチピートの方に向かってくれ。」

「よし、ローガ。ここはコイツに任せて俺達は次に行くぞ。」

 なぜか二つ同時に。

「えっ?」

 ローガが疑問に思い振り返るとなぜかそこにはロイドが二人いた。

「は?いや……。え?なんで?」

 ローガが目を白黒させているとロイド達はしてやったりと笑みを浮かべながら説明する。

「「これが俺の種族特性『影法師の現身』だ。見ての通り分身を作り出す能力だな。」」

 ローガが状況に着いて行けず絶句していると片方のロイドが先を促した。

「時間との勝負と言っただろう。ぼさっとしてないで次のジャイアントセンチピートのところまで行くぞ。」

「……ああ、わかった。次に行こう。」

 こうして一人のロイドをそこに残しローガとロイドは次のジャイアントセンチピートの元へ向かった。


 ロイドがたてた種族特性によるごり押し作戦とはその名の通り分身したロイドをジャイアントセンチピートの近くに配置し、配置が完了次第一斉にジャイアントセンチピートを始末するとういうものだった。

「分身と本体である俺は意識が繋がっているからジャイアントセンチピートの位置さえ本体の俺が把握していれば近くに居る分身をそこに向かわせることができる。こうして一人あたり2匹か3匹程度倒せばごく短時間でジャイアントセンチピート共を殲滅できる。周りのジャイアントセンチピート共の制圧がある程度終わり次第、俺達は盗賊どものアジトに奇襲をかける。ジャイアントセンチピートを使役しているヤツさえ倒せば敵の増援は無いだろうから最優先で使役者を倒す。作戦は以上だ。」

 ロイドの分身を配置しながらロイドによって肉付けされた作戦を聞きローガは笑みを浮かべた。

「にしてもロイドにはこんな凄い能力があったんだな。」

「凄いっていっても色々と欠点もあるんだぜ。一度の出せる分身の数には限りがあるし、耐久力が無いから一撃くらったらすぐに消滅する。あとは、本体である俺から離れすぎても消滅するからな。まあ、それ以外は本体の俺と全く同じ能力だからジャイアントセンチピート程度なら一撃もくらうことなく始末するのはたやすいけどな。」


 話しているうちに分身の配置とジャイアントセンチピートの位置の確認は終わりアジトへの突入の準備は整った。

「この先に居るのがこのあたりに居る最後のムカデだ。」

「よし、ジャイアントセンチピートの居場所は全て把握した。これから周辺のジャイアントセンチピートの制圧に移る。ある程度制圧したら手筈通りヤツらのアジトに奇襲を仕掛けるぞ。ローガも準備はいいな?」

「ああ、もちろんだ!」

 ローガが力強くうなずくのを確認しロイドは戦いの火ぶたを切って落とすべく分身達に呼びかけた。

「制圧作戦開始だ。」

 それを合図に各地でロイドの分身が一斉にジャイアントセンチピートに切りかかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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