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人狼村開拓記  作者: やまぐ
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ブワァっとなってビュビュッと抜けてグググッとなる感じ

 ローガの叫びを聞き耳にしチェイス達は最悪の事態がおこったにことを悟った。

「まずいわ、早くローガを助けなきゃ。」

 シアンが焦って飛び出そうとするが足に力が入らす動けない。

「どうしてっ!こんな時にうごけないなんて。」

「この症状は……そうかヤツの毒が気化して……ゴルド、二人を引きずってこちらへ連れて来てください。それと、口に布を当てて空気をなるべく吸わないようにしてください。」

「分かった。」

 いつも通りボソリと返事をし二人を引きずってくる。

「すまない。助かった。それでベルルカ、俺たち一体何をされたんだ?さっきから体に力が入らないこの状態について原因に心当たりがある様子だが……。」

 チェイスが顔色を悪くしながら問う。

「おそらくヤツの毒が気化してここいら一体に充満しているのだろう。私がどうにか中和剤を作り出すからそれまでヘタに動くな。」

「ちょっと待てよ。そんな悠長にしてたらローガが死んじゃう。なんとかならないの?」

「シアン落ち着け。まずは体が動かないことにはどうしようもないだろう。それに、言いたくは無いがあの状況ではおそらくローガはもう死んでいる。」

「そんな!」

 一同の間に沈痛な空気が広がる。

 大蛇は自分に致命傷に近い傷を負わせたのが憎いのか、すでにこと切れているはずのローガの体をひつようなまでに締め付け続けている。

「せめてかたき討ちと遺体を持ち帰るぐらいはしてやらないとな……。」

 チェイスが一同を代表するようにつぶやいた。。

 一同は静かな闘志を胸に反撃の準備をすすめる。




 これは夢だ。

 ローガはすぐにそう自覚した。

 夢の中でもローガは大蛇と戦っていた。

 不思議な感覚だった。戦ってるのは間違い無く自分なのに体は誰かの別の意思によって動いているようだった。ローガの意思では体はピクリとも動かない。まるで幽霊にでもなったかのようだった。

 夢の中の大蛇はなんだか靄がかったようにはっきりと姿を見ることはできないかったが、先程まで自分が戦っていた大蛇とは圧倒的に格が違う相手だということだけはすぐにわかった。

 違いは他にもあった。夢の中の自分は現実の自分より一回り以上体が大きくそれを覆うようにしてかっしりとした筋肉が覆っている。(毛むくじゃらなのは相変わらずだった。)

 戦ってる場所も見たこともない森の中であったがどこか懐かしい感じがした。

 戦いを傍観していると不意に理解した。

(そうか、これは過去に……俺が俺じゃなかったぐらい昔に本当にあった戦いなのか。)

 そう考えている間も戦いは続く。戦況は大蛇の方がやや優勢であった。

 攻防が続く最中、一瞬の隙をつき大蛇がブレスを放つ。それはまるで世界を壊す呪詛の言葉を見えるエネルギーにしたようなブレスであった。

 ブレスが夢の中のローガに迫る中、ローガは現実で大蛇と戦っている時にも感じた全身の毛穴が開くような感じをさらに強くし毛穴からよくわからない感覚が毛先の方に伝わっていくような感覚に襲われる。

(なんかこの感じも懐かしいような気がしてきた。)

 どうせ夢の中であるとわかっているローガは夢の中のローガをしり目に吞気にそんな事を考えていた。

 やがて、夢の中のローガの目の前までブレスが迫り……そして………。





 ローガはまるで『大蛇との戦いで感じた全身の毛穴が開くような感じをさらに強くし毛穴からよくわからない感覚が毛先の方に伝わっていくような感覚』を受けて意識が覚醒する。

 どうやら気絶していたらしい。

(気絶中に何か夢を見たような気がするがよく思い出せないな……って今はそれどころじゃないんだった。確か俺は大蛇に止めを刺そうとして失敗し、逆に巻き付かれておまけに毒までくらって絶対絶命の大ピンチに……あれ?)

 そこまで考えてローガは気が付いた。

(?俺大蛇に巻き付かれてたよな。事実今も視界いっぱいに大蛇の胴体が広がっているし締めつけられてる感覚もある。頭の上からたらたらと毒の血をぶっかけられてる感じもする。なのにどうして痛く痒くもないんだ?)

 ダメージが強すぎて痛覚がイカレタのかと最初に疑ったがどうもそうではないらしい。

 頭に疑問符を浮かべながら状況の把握に努める。

 そんなローガの現状を理解したのか大蛇は自分の肉体にまでダメージがあっても構わないとばかりに限界を超えた力で締め付ける。

 しかし、当のローガはいまだに状況が理解できていせいで疑問符を浮かべながらも余裕そうにしている。

 また、大蛇の方も困惑していた。先程まで締め付けた胴体を介しローガの肉体を破壊していく感覚があったのに今はどれだけ力を込めてもそれを感じない。自慢の毒も同様に効いている様子は無い。

 絶対絶命状況に追い詰めたものと追い詰められたの間に奇妙な膠着が生まれる。

 その膠着を破ったのはローガの方だった。

「ッ!うおっ!」

 突如奇妙な感覚に襲われ思わず声が出た。

(なんだ…この感じ?まるでまるでさっき起きた時に感じた全身の毛穴が開くような感じをさらに強くし毛穴からよくわからない感覚が毛先の方に伝わっていく感覚をさらにパワーアップさせてような…いうなれば全身の毛穴がブワァってなって毛先の方にビユビュっと抜けていきさらに毛先がグググッてなる感じ……。)

 ローガ自身あまりの事態に激しく混乱しており支離滅裂になっていた。もっとも、ローガは冷静な時でもこんな感じではあるが……。

 そこでさらに自分の体に変化が起こった事に気がつく。

(なんだ?体が締め付けられれば締め付けられる程、毒を浴びれば浴びるほど体に力が溜まっていくような……。そんな感じがする。)

 そう考えている間にも大蛇の締め付けと毒攻撃は続く。

(いい加減この拘束も頭からたらたらと垂らされている毒の血もウザくなってきた。というか今ならなんか不思議なパワーが体に溜まってる感じがするし脱出できるんじゃないか?)

 そう思い立ち行動を開始する。とりあえず体に力を込め強引に拘束を破ってみる。

 さっきまでの絶対絶命の状況は何だったのかと言いたくなるようにあっさりと拘束を破る事が出来た。

 強引に拘束を破られたことにより大蛇の胴体はズタズタに引き裂かれたように鱗の下の肉が裂け血が噴き出す。

 本来ならばその血を浴びる事は死に直結するがローガはすでにこれでもかというぐらい血を浴びている。しかもなぜか今のローガには血の毒は効かずむしろ力が増していく感じがする。

(血を浴びても問題ないならこっちのもんだ。)

 拘束を破り跳び出したローガはそのままの勢いで大蛇に止めを刺すべく肉薄する。

(さすがのコイツも頭を潰せば死ぬだろう。)

 ローガは筋肉で無理やり持ち上げられている大蛇の頭部を上から殴りつけ地面に叩き落すと殴りつけた反動を利用しさらにもう一段回軽く跳び全身にみなぎっている力を足に集中させる。

「これで!と ど め だぁ!」

 全身全霊をかけて繰り出される止めの一撃は奇しくも戦闘開始時に挨拶として叩きこんだ踵落としだった。しかし、最初の一撃と比べると決定的に威力が違った。

 大蛇の頭部はその圧倒的な威力に爆散し、ありあまる破壊力は大地を砕きそのきの傷跡を刻む。

 さすがの大蛇も頭部が爆散して生きているはずもなく今度こそこと切れていた。

 ローガは自分自身が放った一撃の威力に自分自身も驚きながら今回の戦闘での感想を漏らした。

「ふぅ~……。死ぬかと思った。」


 それを見ていたチェイス達はあまりの急展開に唖然としながら固まっていた。

「いやいやいや、死ぬかと思ったじゃねえよ。なんでお前生きてんだ!?」

 チェイス達がまだ解毒が出来ず万全ではない体を引きずってローガに駆け寄りながら叫ぶ。

(なんで生きてるのかって?急に哲学的な事をきいてくるな。今まで生きるのに必死すぎて考えたこともなかったな。ただ……確実にこれだけは言える。)

「たぶん心臓が動いてるからじゃないか?」

「そんな事を聞いてんじゃねぇよ!なんであの状況から生還出来たのかをきいてんだよ!」

 チェイスは地団駄を踏むのを必死でこらえながら叫ぶ。

「あぁ…その事か。なんかブワァっとなってビュビュッと抜けてグググッとなる感じがしたらなぜかアイツの攻撃がきかなくなったんだ。」

 

 その説明を聞いて理解出来た者は残念ながらその場にいなかった。

ここまで読んでいただきありがとうござます。


今回は作中でもほとんど描写が無かったローガの出身の村についての補足説明をします。


ローガが現在拠点としている町アナンダの西にある『辺境の森』を抜けると見えてくる『ダダンカッカ山脈』。その頂上付近を隠れるようにして移動しながら生活する村。

村というが実態は集落に近く作中でも説明がチラッとされていたように獲物となる動物(魔物)の移動に合わせ村自体が移動している。

『ダダンカッカ山脈』は嶮しい山脈で特に鉱石などが取れる事もないので基本的に誰も好んで行くような場所ではなく、お世辞にも生活に適しているとは言えない環境にあるため誰も人が住んでいるとは思わず村が村内していることすら知られていない。

山を少し降りればもっと暮らしやすい環境で生活出来るにも拘らず村の掟により頂上付近に留まり放浪生活をしている。

色々と訳ありで出身の一族を追い出されたり捨てた者たちが集まって出来た村であるため村に住んでいる種族に統一性は無い。

ひつようなまでに外界との接触を嫌っており村を出た者が帰ってくることは許されない。

まとめると辺鄙な場所にあるはみ出し者集まって出来た超ド田舎である。


次回も読んでいただけたら幸いです。

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