第8話 少年と買い物
この日、僕は島の外に来ていた。
壊れたゲーム機を新しく買い替えるため、島の外の中古屋を回っていた。
僕一人で。ベル姉ちゃんは島から出れないから。
前日、地図を見て、どこに行くかは決めてある。
地図を片手に、ショップに入っては、無いか探し、店を出る、バスで次の店に、を繰り返す。
久しぶりの一人での外出。
あの時とは違う。楽しい。ワクワクする。どうしてだろう。
僕は昼ごはんをパンを買って食べ、5つ目の店でゲーム機を見つけ、
家に帰る頃には夜になっていた。古いゲーム機だから、見つけるのに苦労した。
真っ青な空を見ながら、バス停からは歩いて帰る。
道の下にある海岸から、波の音が気持ちいい。海は真っ黒。
町外れで街灯がないから、星がピカピカ光っている。月は無い。新月?
下は草が生えっぱなし。石の道。ガタガタの道。そうか。帰る場所がある。それなんだ。
待ってくれる人がいる。だからワクワクするんだ。
廃墟を超えて、ベル姉ちゃんの家が見えてきた。
あ、ベル姉ちゃんが外にいる。迎えに来てくれたのかな?
・・・うん?よく見ると、人がいる。4人・・・5人?
ベル姉ちゃんを囲んで経ってる。白い格好。何か持っている。
僕は草むらに隠れて、様子を伺う。
あきらかになにかおかしい。
草むらに隠れると、硬い枝が体をグサグサして痛い。葉っぱは冷たい。そして土の匂いがする。
音をたてないよう、じっと潜む。
ベル姉ちゃんと、白い服の人たちがなにか話している。
剣だ。剣を持っている。なにをするつもりなんだ。
一人の男が、剣を横に振った。ベル姉ちゃんの首が飛んだ。くるくると回転して、ドサッと落ちた。
心臓がバクバクする。目が痛い。息がうまくできない。
殺された。ベル姉ちゃんが殺された。どさりと体のほうが倒れる。
どうしよう。どうしよう。警察に言わないと。どうしよう。
怖い。怖い。僕がいるのをバレたら殺されるかもしれない。怖い。
体中がガタガタ震えてる。怖い。
・・・あれ・・・?おかしい。
全く血が出てない。ふつー、人間の首が切られたら、血がぶしゅーって出るんじゃ?
いや、見たことはないけど、血は出るだろう。
でも、全く血が出てない。地面を見ても、一滴も赤い血が見えない。いくら夜でも、
家から漏れ出る照明に照らされて、少しは地面が見える。全く血がない。
よく見ると、ベル姉ちゃんの首の断面は、緑色だった。
半透明の、ガラスのような、深い緑色、エメラルド?宝石のような、思い出した。
昔、お父さんに宝石展覧会に連れて行ってもらった時がある。
その時、本物の宝石は、キラキラじゃない。ビカビカ光るって思ったんだ。
ガラスとか、金属が光を反射するのとは違う。本当にビカビカーッって光を反射するんだ。
ベル姉ちゃんの首の断面は、そのビカビカーッって感じがあった。
つまり・・・ベル姉ちゃんの体は、宝石でできてるってことなの・・・?
悪魔ってそうなの?本当に悪魔だったの?
ああもうわからない。なんなの。どうなってるの。何が起きてるんだ。




