第5話 少年と生活
お昼ご飯はレストランで食べた。
晩御飯は家で作ることになった。
ぼくは料理をちょっとしかしたことが無い。
ベル姉ちゃんは全くやったことが無い。
晩御飯どうするか話し合った結果、ぼくが作ることになった。
なにか出来ることを、と考えて、とりあえず、ジャガイモをゆでて食べることにした。
皮をむいたことも無いので、皮のまま、
大きな鍋に水を入れ、煮込む。
お母さんには、火を触るなと言われてたけど、使わなきゃ飯が食えないんだから、しょうがない。
どのくらい煮たらいいのかわからない。
とりあえず30分ほど煮てみた。箸を刺してスッと入ったら煮えてるとか本には書いてあったけど、
スッってどういう事?わからない。
半分に割って、柔らかくなっていたので、これで良いことにした。
それにバターを乗せて。完成。
それをベル姉の部屋に運んで、小さなテーブルに置いて、二人で食べる。
栄養的にはかなりバランス悪いけど、クッキーよりはマシだ。
フォークとスプーンで割って食べる。
「うまい・・・おいしい・・・」
自分で作った初めての料理。単純だけど、すごくおいしい。
ぼくはお姉ちゃんの顔を見る。どうだろう。どう思うのだろう。
「美味いよ。うまい。」
ベル姉ちゃんは僕に微笑んでくれた。
嬉しい。
とてもうれしい。
全身が熱くなるような、うれしさがある。
ジャガイモをまるまる二つ、思ったよりもお腹いっぱいになる。
食べ終わった後、皿を洗うのは僕だ。
魔法でやってくれるのかと思ったら、自分でやることが教育だ。といって、はぐらかされた。
そして、ぼくとベル姉ちゃんは、ゲームをして、また一緒にお風呂に入って、歯を磨いて、一つの布団で一緒に寝た。
朝起きて、朝ごはんにパンを焼いて、ジャムを塗って食べた。そしてゲームして、昼ご飯を食べて、
ゲームして、晩御飯を食べて、ゲームして、お風呂に入って、歯を磨いて、寝た。
次の日の朝、ぼくはさすがにおかしいことに気づいた。
ベル姉ちゃん。いつ働いてるんだろう・・・?
朝ごはんのパンと目玉焼きを食べながら、ぼくは聞いた。
「ベル姉ちゃんは、仕事なにしてるの?」
ベル姉ちゃんは、パンを食べながら答える。
「仕事・・・?私の仕事は、将軍だった。悪魔将軍ベルフェゴール。でも今じゃ幽閉の身だからなぁ。」
ベル姉ちゃんは、食べる手を止め、悩み始めた。
「仕事かぁ・・・うーん。無いな。人間界で仕事をする悪魔も居るが、私は別に興味ないからなー。」
「悪魔の仕事ってなあに?」
「人の魂を集めたり、天使と戦ったり、邪神と戦ったり、人間を堕落させたり、ま、様々だな。」
「人間のお金はどうやって稼いでるの?」
「あれは宝石を売ったり、人間の魔術師に本を売ったりして、対価を貰ってるのさ。」
「へー。宝石はどうやって手に入れたの?」
「・・・覚えてないな。前にも言ったが、何億年も生きてると記憶が曖昧でなぁ。どうでもいいことは覚えてないのさ。」
「じゃあ、ぼくのこともいつかは忘れちゃうの?」
「そうだな、うーん、忘れるんじゃないかな。千年忘れなくても、10億年後覚えてる自信はないなぁ。」
「じゅうおくねん・・・」
忘れられるのはさみしいけど、じゅうおくねんといわれると、あまりのスケールの大きさに、
なんか圧倒されちゃう。
「さ、朝飯を食べたら、ゲームの続きをやるぞ。アレはセーブできないから一回でクリアしないといけないからな。いくら50年前のゲームだからって、セーブはつけとけよホントに、どうなってんだ。」
「うん。」
僕は学校に行かなくて良いのか考えたけど、
今はお姉ちゃんと一緒に居ようと思った。
その方が楽しいから。幸せだから。安心するから。




