第3話 少年と布団
ベル姉ちゃんが、立ち上がる。
お湯が体からざばっと落ちる。
またおっぱいを見てしまった。うう、悪い事だと分かってるけど、見てしまう。
ぼくはお姉ちゃんにタオルでわしゃわしゃあと拭かれた後、
おねえちゃんのシャツと半ズボンを渡された。パンツは無い。
だぼだぼの服を見て、お姉ちゃんは少し笑っていた。
ぼくはテレビがある部屋に案内された。
まず驚くのは、とんでもない量のゲームの山。そしてケーブルの山。
ぼくの背より高い本棚に、ゲームがぎっちぎちに詰まっている。
そして、お姉ちゃんは晩御飯だと言って、山もりのクッキーを持ってきた。
そしてコーラ。
・・・
「どうした?子供は好きだろう?クッキー。」
「あ・・・うん・・・そうだけど・・・晩御飯にこれはちょっと・・・栄養が・・・」
「あー、そういえばそうだな。私は悪魔だから、栄養なんか関係ないんだよ。
すまないが、今、家にくいもんはお菓子しかない。明日買ってくるから、今日はこれだけ食べてくれ、」
「うん。わかった。」
一日何も食べてなかったから、コーラもクッキーも、死ぬほどおいしかった。
そして僕は、お姉ちゃんのゲームの手伝いを延々やらされた。
地図を作らされたり、2Pプレイを手伝わされたり、ひたすらゲームを夜中までやらされた。
「ベル姉ちゃん、1000年も閉じ込められるような罪ってどんな罪?」
ゲームをプレイしながら、画面を見たまま答える。
「暴れたんだよ。戦争の準備を進め、さぁ今から開戦だ、と行くはずが、急に中止の命令が来た。
私はそれに納得がいかず、サタンに食って掛かったが、却下され、ブチギレて殴り掛かった。
当然返り討ちにあってボコボコに負けて反省しろと1000年この小さくもない大きくもない中くらいでもない島から出ることを禁止された。」
ぼくは話半分に聞きながらゲームを続けた。
まだ信じれない。さすがに僕をからかっていると思う。いや、でも真剣な目をしてる。本当かなぁ。
「あと、何年ぐらいで出られるの?」
「あー、700年ぐらいか・・・うーん、あー。えー。ダメだ分からん。」
「わからない?」
「私達悪魔は、数十億年生きてるんだ。例えば数十億円の山から、400円を見つけてこい。と言われて、見つかるか?って話で、人間でいう年齢の感覚がほとんどないんだ。だから今何年経ったかよくわからん。でも500年は経ってないはず・・・」
何言ってるんだろうこの人は、とぼくは思った。
嘘なのか本当なのかいよいよわからなくなってきた。
「信じてないな~。これだから人間は。」
「む。」
ぼくはむっとした。
「そうだな。ではこうしよう。お前の願いを三つ叶えてやる。昔、お前に助けてもらった礼だ。」
ゲームをプレイしながら、ベル姉ちゃんはとんでもないことを言い出した。
「じゃあ僕のお母さんになって。」
おもわず口にしてしまった。とんでもないことを言ってしまった。
「ダメだ。」
即答。
「母親ってのは聖なる存在だ。子を産み、育て、命をつなぐ。
そんな存在に悪魔がなれるかボケー」
「でも、ぼくのお母さんはぼくを捨てたよ。」
「家族、ならいいぞ。」
え・・・?
「本当?」
「ああ。お前は私の家族だ。」
「明日もここにいて良い?」
「ああ。」
会話しながらゲームを続ける。
困惑している。うれしい。でも本当に?大丈夫?
その後、会話することなく、ずーっとゲームを続けていた。
でも、ぼくは朝から歩きまくっていたので、疲れてもう8時には眠たくなった。
それに気づいたお姉ちゃんは、じゃあもう寝るか、と言って、寝ることになった。
ベル姉ちゃんの家の布団はふかふかで、とても安心した。
ベル姉ちゃんが布団に入ってきた。
悪魔、という割には、とても体があたたかい。柔らかい。
ぼくを抱きしめて、そのまま眠った。
ぼくもすぐに眠った。
久しぶりに、安心して眠れた。
なんだかよくわからないけど、ぼくは安心した。よかった。




