第14話 1000年後
それから、毎年一回、ゲームが届くようになった。
家にあったゲームソフト、ゲーム機、それから向こうで新発売されたと思われる知らないゲーム。
それが10年。20年続く。
そして100年。200年。
監獄から解き放たれる1000年目、その時まで続く。
おかしい。いやおかしいだろ。
どうなっている?人間の寿命はせいぜい100年。
人間界でなにかとんでもない医療技術進歩があって寿命が1000年に延びた?
いやそれはないな。じゃあなんなんだ?どうなっているんだ?
1000年経ち、牢獄から解かれるベルフェゴール。
自由になったベルフェゴールはまず人間界に向かった。
監獄の穴を辿って、人間界のある山奥に出た。
そこは、祭壇、魔法陣、術式が張り巡らされた洞窟だった。
おそらく、これを使って私のいる場所に送っていたのだろう。
問題はそこじゃない。誰が送っていたのだ?とう話だ。
そこで、ベルフェゴールは待つことにした。誰が私に差し入れをしていたのか、見るために、
一年待つぐらいなんてことはない。1000年待ったのだから。
半年後、そこには一人の青年がやってきた。
手にはゲームが入ってるであろう箱を持って。
「お前は誰だ?」
ベルフェゴールがぬっと青年の前に現れ、質問をする。
「うああああああああ!!」
驚く青年。その洞窟には人が居ないと思っていたからだ。
人が居ないと思ってる場所で、突然話しかけられるのは想像以上に驚くものだ。
「お前は誰だ?答えろ。」
ベルフェゴールは再び問う。
「誰ですかあなたは・・・なぜここに・・・」
「三度目だ、お・ま・え・は・だ・れ・だ。答えなければ怒るぞ。」
青年は落ち着きを取り戻し、答える。
「ぼくは・・・ノガミ・キーリング。あなたは?」
ベルフェゴールは目を丸くした。そして、なんとなく、どういうことか理解した。
「私の名はベルフェゴール。お前たちが贈り物をしていた相手だよ。」
ノガミ・キーリングは固まった。
息を呑み、指を指し、混乱している。
「いやっ・・・そんな・・・えっ・・・?」
「落ち着け。取って食ったりしない。無礼を働かなければな。私は知りたいんだ。
一体どういうことなんだ?」
ノガミは荷物を降ろし、呼吸を整え、話し始めた。
「私の一族は先祖代々、一年に一度、9月9日に、この穴にゲーム、ゲーム機、その他娯楽になるものを、
ベル神様に捧げて、一族の繁栄を願う。もし怠れば、一族に災いが降りかかる。
たとえ信じてなくても構わないから、お供え物は絶対にやれ。やらなければ財産相続の権利を失う。
という伝統行事がありまして・・・」
それを聞いたベルフェゴールは、怪訝な表情になる。
「あのな、私は神じゃないし、繁栄をもたらすとか、災いとか、知らん。私は悪魔だ。」
「えっ・・・、この言い伝えを無視したある代の当主の身内が、立て続けに病死や事故死したのは、」
「知らねぇ。関係ない。無実。」
「じゃあ我が一族がゲーム会社として代々繁栄したのは・・・」
「知らん。全く知らん。関係ない。無関係。」
「じゃあこの儀式は・・・」
その言葉を聞いたとき、ベルフェゴールは少し停止し、思考し、思慮深く答えた。
「いや、感謝している。ありがとう。」
ベルフェゴールは深々と頭を下げて礼を言った。
頭に角が生えてる悪魔に、礼を言われて、ノガミはビックリした。
そして、1000年前の先祖と、この1000年を生きる悪魔に、なにか関係があることを察した。
そして、ノガミは好奇心から聞いた。
「この儀式は、やめてもいいですか?」
災厄も繁栄ももたらさない。ただの贈り物を送る儀式。もう必要ないのでは?と考えたからだ。
ベルフェゴールは答えた。
「ああ。構わない。」
しかし、ノガミは思った。
「・・・でも、1000年続いた伝統を、ぼくの代で終わらすのもちょっと・・・嫌なんで、
続けますね。」
「はっ、好きにしろ。」
そう言うとベルフェゴールは消えた。
それを見た後、ノガミは祭壇に進み、持ってきたゲームを穴に入れた。
繁栄も厄災ももたらさない儀式。
一年に一回、ちょっとした旅の休日になる。
終わらさなくても良いな。と思った。
それに、あんな美しい女の悪魔に感謝をされるなら、続けよう。とも思った。




