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第15話 海底


ベルフェゴールは島へ向かった。かつて幽閉されていた島に。


1000年も経っている。家はもう無いだろう。とは思っていた。


しかし、予想は外れた。


無い。島が無い。


いや、場所が違ったのか、と思い、周りを見るが、ここだ。


あの山、島、地形を見ても、ここだ。


海岸で立ち尽くす。


ベルフェゴールは近くの街へ行く。


街はかなり様変わりしていた。1000年で、人類は発展と衰退を繰り返したらしい。


ほとんど電気を使わない社会になっている。石油燃料を使い果たしたのか、


街は中世のローマのような趣で、室内の電灯などは殆ど使わず、最低限のエネルギーで運用されている。


質素。それがぱっと受けた印象だ。


この街は地方だからこうなのか、都心に行けばまた違うのか。それはわからないが、


今はそんなことを調べてる場合じゃない。島だ。


ベルフェゴールは図書館に行った。


そこでこの街の歴史が記された風土記を見つけ、島がどうなったか調べる。


そこには、300年前に、地殻変動で島が沈んだ記録があった。


海面上昇、火山活動、地盤沈下。住民移動。


「そうか・・・」


本を閉じ、ふっと消えるベルフェゴール。



再び海岸に現れる。


ゆっくりと海に向かって歩き、徐々に沈んでいく。


海底を歩く。


おそらくこのへんだろう。が、砂で埋まっているのか、何も見えない。硬そうな海底が広がるだけだ。


ベルフェゴールは手をかざし、魔力で海流を発生させ砂を払う。


砂が舞い、徐々に地面の下から、形あるものが顕になっていく。


冷たい海温のせいか、思ったよりも形が残っている。ポンペイ遺跡のように、


保存された街が見えてきた。


ベルフェゴールは手を止め、沈んだ街を歩く。


ゆっくりと。


無音の世界を。


見覚えのある地形。崩れた家屋。捨てられた自転車。割れたガラス。


住んでいた家にたどり着く


かつて住んでいた家は、屋根は崩れ落ち、朽ちて消え、


壁と骨組みだけが残っていた。全体の2割ぐらいしか残っていない。


ドアのない玄関に踏み入る。一歩、歩く度に、砂ぼこりがゆっくりと舞う


廊下を歩く、しかし壁はほとんど崩れ落ちているから、すべての部屋が見渡せる。


ガラス、石、鉄、陶器は残っている。


布、木、紙は朽ち果てている。何も残っていない。


本来あった中扉を超え、キッチンだったものを超え、寝室を見る。


そこには木組みのベットがあったはず。しかしもう崩れ何も残っていない。


テレビもゲーム機も無いがそれは地獄に送ったのだろう。


本が一つ落ちている、拾おうとすると、バサバサに崩れ落ちて消えた。


ベルフェゴールは何もなくなった手を見つめ、


崩れた壁を椅子代わりに座った。


虚空を見つめ、全く動かない。


しばらくじっとしたのち、


ベルは魔法でテレビとゲーム機を取り出し、


そして、電源を付けた。







終わり。



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