第10話 少年と会話
「しっかしなんで悪魔ってのはサタンとかルシフェルとかベルフェゴールとか名乗りたがるんでしょうね。」
車内で運転している一番若い男が話し出す。
それを隣の助手席に乗ってる男が答える。
「そら、有名な名前を使って騙そうってんだろ。」
「にしたってベルフェゴールて・・・オレその名前名乗ってる悪魔見るの4人目ですよ。」
「サタンは20人は居たな。」
ひと仕事終えて、車内では寝てるもの、無言のもの、喋るもの、様々である。
その中で、一番の新人で、運転をやらされてる若い男が調子よく話している。
「体が宝石で出来てるのは、初めて見たときはビックリしましたよ。」
それを助手席の男が答える。彼は運転手の男の先輩だ。
「オレもあれには驚いたよ。そんなこと書いてる本はなかったからな。」
「あの宝石売ったら幾らになるんですか。」
「あれは宝石として売らないんだ。」
「え?すごいお金になるじゃないですか。」
「あの量の宝石として売るより、悪魔の死体として売ったほうが高くつくんだよ。」
「宝石は手に入るけど、悪魔の体は手に入らない。ってことですか。」
「そうだ。悪魔の体ってのは強力な魔力を持つ素材だ。それを欲しがる魔術師、教会、金持ちは多い。」
「あれがもし本物のベルフェゴールだったら、幾らで売れます?」
「俺達全員バチカンに聖人認定されて1000年2000年語り継がれる伝説になるな。」
車は道を曲がり、本土の外れにある倉庫に入った。
「おい、起きろ、ついたぞ。」
助手席の男が後部座席に声をかける。
そしてぞろぞろと車から降り、荷台からベルフェゴールの体と頭を担ぎ、倉庫の中へ運んでいく。
その中には一人の老いた男が居た。
高そうなダブルのスーツに身を包み、椅子に座り、タバコを吸い、彼らを待っていた。
「早いじゃないか。」
「プロですから。」
倉庫の中にはもう一台の車があった。高そうな車だ。
二人がベルフェゴールの体と頭をその車のトランクに運び、しまう。
「では、報酬は振込で。」
「ああ。」
老人と男は最低限の挨拶で仕事を終えた。
彼らは悪魔狩りを生業とする集団。会社と言ってもいい。
老人はその組織の社長。彼らはその部下。というよりかは雇われの傭兵といったところだ。
社長が情報を提供し、彼らが実行する。
そして成功すれば、報酬を支払う。
部下の目的は様々だ。生活のため。金のため。狩りというスリルのため。信仰のため。正義のため。
しかし共通するものが一つある。悪魔を狩る。これほどエキサイティングなハンティングが他にあるだろうか。
正義の名のもとに狩りを行う。大きな金も手に入る。危険だが、最高の仕事だ。
一度その快感、高揚感を知ってしまうと、悪魔狩りからは抜けられなくなる。
人間の原始的な本能的快感。それが悪魔狩り。
しかし、彼らは一つミスを犯していた。
それは・・・




