チャンピオン争いの天王山! 第7戦オートポリス・予選
どうも!ラドロです!今回はいよいよ最終章に入ります!
それでは、どうぞ!
11月にも関わらずやや暖かい九州のVRサーキットへ真っ先にそして恐らく最も険しい顔で俺ーー岡田大祐ーーは足を踏み入れた。険しい理由は他でもないその戦績だ。開幕戦から2位、3位、1位と続いていたが第4戦のファイナルラップでのクラッシュを皮切りにそれ以降はほとんど入賞を果たしていない(できていても8位やそれ以下だ)。思い出すと更に眉間にシワが寄る。電気もついてないガレージに入る。薄暗い中に紺色の相棒ーGT-Rーの姿があった。そのサイドにまわるとそこには55Kgとかかれたシールが貼られている。今戦はポイント×1キロとハンディの重さが今までより半減する。燃リスが着くのは変わりないが重りは45キロもカットされるのだ。ここでぜひとも勝利を手にしたいところだ。そう思っていると
パチン
「あれ?大祐、早いな」
「…おう、創一」
気まずさがガレージ内の電球による明るさとともにやってくる。
「…」
「…」
暗闇に遅れて会話も消える。
(いつもどうしてたっけ…)
そんなふうに思っていると
「…俺らならやれるよ。頑張ろう」
思わず目を見開く。再び会話ははじまり、そこにもう気まずさはなかった。
『さあ、予選Q1開始です!お?もうピットアウトするマシンがいますね?真っ先に出てきたのは…KONだ。トップNTTに1点ビハインドのGT-Rがコースインしました!』
大祐の走りを俺ー忠宏ーは中継画面越しに見守る。まもなく1コーナーに侵入した。ここは40Rという名で右にやや深めに曲がっている。レース中はかなりブレーキング勝負に持ち込まれやすい。
そこを抜けると今度はメインストレートの半分はあろうかという直線だ(その間に2コーナーがあるが、角度は浅く、ほぼ直線)。
そこをフルアクセルで抜けると次に現れるのは右に90度ターンする3コーナー。アウトラップ特有のゆったりしたスピードで抜けると再加速するがすぐ4コーナーに面しブレーキを踏む。しかし3コーナーと違い比較的緩やかなのでブレーキングは一瞬。再び加速を始める。
刹那の直線をおいて4コーナー以上に緩やかな5コーナーを通過する。ここはアウトラップでもノーブレーキだ。
そして今度はフルブレーキング。第1ヘアピンと別称のついた30Rにさしかかったからだ。しっかり180度右にターンする。
そして立ち上がり。アウトラップだからコーナーの入り、立ち上がりともにゆっくりだが十分に加速して次のコーナーへと入ってゆく。すると100R突入した。ちなみに富士にも100Rがあるが、富士の100Rよりも小回りで逆向きとなっている。またコーナーの後も富士とは異なり、とても緩やかな高速コーナーとなっている。しかし油断は禁物。大祐が抜けた100R後の高速コーナーの先には再びのヘアピン、通称第2ヘアピンがある。
スピードがより乗っている分、第1ヘアピン以上に強くブレーキングする。幸い角度は180度よりもほんの少しだけ浅い。
そして立ち上がり。その後はそれまでくねくねしていたのが嘘のようにまっすぐでクリアな直線が現れた。このサーキットのバックストレートだ。45キロ軽くなったマシンはそれまでの鬱憤を晴らすかのようにぐんぐん加速する。
そしてここまで来るとブレーキとタイヤもある程度温まってきたらしい。かなりギリギリを大祐は攻めている。そしてバックストレート後のコーナーはジェットコースターコーナーという名が着く下り気味の高速コーナーである。そこをノーブレーキで抜けると気休めと言わんばかりに短い直線をおいて90Rという中速コーナーに突入した。
ここから再びくねくねした道が続く。そこから立ち上がったと思ったらそれまで右右と続いていたコーナーが左に変わる。ブレーキを踏み、ステアリングを傾け、ギアも上げ下げしてほとんど直線を挟まずにそこからも上り坂気味な後半を駆け抜ける。右にやや回りこむような形状をした60R、そこから再び左に傾く40Rに50R。
そして短い直線を走ると60Rを一回り大きくしたような85Rにさしかかる。そして大祐はそれを丁寧に走りきった。シケインじみた出口を出るとそこはもうメインストレート。画面からホームストレートへと目線をずらすとまさに目の前で紺色のGT-Rが通過していった。タイムは1分47秒。
「良いタイムだ」
そうつぶやくと大祐のパートナーは
「これQ2いけるか」
とつぶやき返したのだった。
「いまチェッカー、この周ラスト、この周ラスト」
ピットアウトから5周。バックストレートでこんな無線が俺ーー大祐ーーに飛んだ。
「了解」
と短く返す。この前の周回で告げられたラップタイムと順位ではQ2には進めるかはギリギリらしい。これまで以上に攻める。そして
(ここまでは感触はいい。あとは最終コーナー!)
そう意気込んで85Rの出口に差し掛かる。遠くにあるコントロールタワーを見るとチェッカーフラッグが振られている。そしてこの一瞬のよそ見が後に大きな後悔となる。
「…!!」
なんとステアリングを切るのが甘く、右リアが縁石に乗り上げバランスを崩したのだ。
カウンターステアを当てる。しかしバランスとグリップは戻らずマシンはさらに回転してゆく。だめなのか、そう思った時、ある言葉が蘇る。
(オレラナラヤレルヨ)
創一の言葉だ。公式練習時よりも幾分精神的にたくましくなったパートナー。彼にバトンを渡すどころか醜態を晒してしまう。そんなことは嫌だ。するとちょっとした奇跡が起こる。
「ゥ…オオ!!」
脊髄反射的に踏んでいたブレーキをアクセルに踏み変え、ステアリングはカウンターステアのカウンターステアをあて必死に足掻く。そして
(グリップが回復した!)
マシンの方向を調整し、チェッカーを加速しながら受ける。
「大祐、大丈夫でしたか?」
「あぁ、俺は大丈夫。…ヒロ、ごめん」
「マシンと大祐に問題ないならいいです。ちなみに今は6番手」
その後もピットに戻る間にも「今7番手」「今8番手」とどんどん順位が下がってゆく。そして
「今、全車がQ1のアタックを終えました。9番手です」
惜しくもQ1敗退。ちなみに10番手以降はNTT、ウィダー、ファウスト、マザー、ブルーホーク、ファースターとなった。
『さあ、Q2開始です!このオートポリスでより前でスタートする権利を獲得するのはどこなのでしょうか!』
開始と同時に実況の声が響いたQ2だが対照的にエンジンの音が響いたのは開始から3分は経過した時だった。なぜならオートポリスはタイヤが非常に温まりやすい&摩耗しやすいのでQ1である程度摩耗したタイヤを決勝でも持つようにするためにQ2で走る時間を削るためなのだ。
そして残り7分を切ったタイミングで真っ先にピットアウトしたのはクイーンZだった。そしてそれを皮切りにどんどんマシンがピットアウトを始める。
そして時は流れ
『残り3分を切った!現在トップは前戦から乗りに乗っているクイーンで1分32秒3だ!しかし現在アタックしているタキオンNSX、佐藤春樹がセクター1,2で計コンマ3秒早い!
そして今最終コーナーを通過した!タイムは…1分32秒0!残り2分を残してタキオンがここでトップに出た!』
するとここでタキオンの動きを見ていた他チームのほとんどが驚愕することになる。そしてそれは実況も例外ではない。
『あぁ!タキオンが、タキオンが!スローダウンしている!一体どうしたんだ!予選残り2分でトップタイムをマークしたタキオンがスローダウンしている!』
その後もときたまコーナー後などでマシンを左右に振ることはあったがレーシングスピードまでに加速することはなくピットに戻った。しかし当事者であるはずのタキオンはというと
「まさかアタックラップでトップタイムマークできるとはなぁ」
「だな」
などと非常にほんわかしており、お茶でもすすりそうな雰囲気さえ出ている。結局それからタキオンNSXは予選終了までの2分間、ガレージを出ることはなかった。
『さあそして予選終了まで残り30秒!現在のトップはタキオンですが…今無双NSXが最終コーナー前までで最速タイムだ!コントロールラインを通過!1分31秒8!トップだ!!』
コースレコードには無双NSXの名前が載ることになった。順位はトップから順に無双、タキオン、クイーン、楽天、モジューロ、アミューズメント、VRレーシングとなった。
無双NSXはこれでちょうど10ポイントめになったらしい。ここで節目(?)を迎えた無双は流れにのり、勝利を手にしたいと意気込むのだった。
(続く)
今回も読んでいただきありがとうございました。もし本作品を高く評価してくださるなら次回以降も読んでいただけたらと思います。それでは!




