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VirtualGT  作者: ラドロ
17/21

第16話 ギャンブルの結末 第6戦富士 決勝

どうも!ラドロです!いよいよシーズンの終わりが見えてきました…!


それでは、どうぞ!

予選はポールポジションを獲得したNTT。しかし

「晴れてる…」

私ーー桜ーーはそう呟いた。

そう。予選終了直後から一気に晴れ、一部は完全に路面が乾いている箇所さえ出ているのだ。しかもただでさえレインタイヤは晴れだとタイヤが駄目になるのに

「しかも、俺らはフルウェットだろ…?これじゃレースにならない…」

パートナー、琉真も呟く。そう、私がポールを獲得できたのはほかがインターミディエイトを選んだ中、より雨量が多いときに有利なフルウェットを履いていたからなのだ。この天候ではインターミディエイト以上に速い摩耗を喫してしまう。するとここでまたもや運営から連絡が実況経由で伝えられる。

『また情報が入ってきました、えー、すべてのマシンは今回だけタイヤを変更できるそうです!今回は特別に予選と異なる、ミディアムタイヤになら履き替えての走行が可能とのことです!』

まさに九死に一生を得たとはこのことだ。ぐっと近づいた2連勝に向け、気持ちを切り替えた。



『VirtualGT、そのチャンピオンをかけての争いへの参加権を求めて、…シグナルグリーン!今、15台が隊列を崩し、我先にと加速をはじめました!2回目の富士ラウンドの1コーナーはぁ…接触はありません!きれいに団子状態で2コーナーも通過!』

ここで追い上げを狙うのはKONGT-R。かつて成功させた作戦を再び遂行すべく、100Rでポイント圏に食い込む。しかしそれでは相手は引かない。ブルーホークLC500にその後のBコーナーで抜き返される。48ポイント差、ウェイトにして86キロも差がある相手にはさすがのKONも全く手が出ない。



「ピットまで何周走ればいいの?」

「えっとね、9周。琉真にはあと7周で入ってもらうから。それまでは耐えてね」

「わかりました」

全周回22周の富士ラウンド。なんとかインを断固として譲らず、ブロックをギリギリまでしているのでポジションは守れているが後ろのウィダーに抜かれるのは…

(時間の問題か。)

そう思い、俺はメインストレートへと立ち上がった。しかし意外にも3周目以降はウィダーの猛攻が収まり抜かれずに済んだ。



レース4周。これまでのレースが波乱だらけだったのが嘘のように平和に進行していた。トップ勢で言えばNTTは2番手、ウィダーは3番手に落ちたぐらいだ。変わってトップにたったのはここまで芳しい戦績を挙げられていなかった、クイーン。ここで20ポイントを獲得できればチャンピオン争いに辛くも復活はできる。しかしドライバー高島は周りの異変に気づいていた。

「なんか周りがなんか企んでるかも。やけにあっさりしてる」

「了解。由衣はとにかくマージン作って」

そう、平和なのは表面上だけ。本当は各自逆転にむけてバチバチに動いているのだ。ここでの20ポイントは数値以上の意味を持つ。それをわかっているからこそ慎重に、そして可能なかぎりアグレッシブに皆走っている。そしてそれは良くも悪くも大きな見どころを生む。



レース5周。すでにチャンピオン争いを繰り広げるファースターとタキオンが接近。

『現在44ポイントのファースターを2点先を行くタキオンがBコーナーでテールトゥノーズに!コーナーだらけの第3セクターはホンダにとって十八番(おはこ)とも言えますが…そしてGRスープラコーナー、入ったー!レクサスコーナー(GRスープラコーナーの別称)でタキオンNSX がファースタースープラをオーバーテイク!』

一方彼らのさらに後ろでチャンピオン争いをしているチームは…

『そしてその後ろでも?KONをアミューズメントスープラが狙っている!最終コーナーでインにさしこんd…当たったぁぁ!!スープラの左リアがGT-Rの右フロントにヒットして前者がスピン!』

左リアタイヤを強打したスープラはそのホイールを再び回転させることはなく、リタイヤとなった。そして右フロントにダメージを負ったKONにも悲劇がおこる。なんとか立て直し100Rまで進んだところで、突然マシンバランスが崩れた。カウンターステアーーテールが滑った方向にステアリングを切りマシンを制御するテクーーをあてるが抵抗虚しく、スピンしてしまった。右フロントの空力パーツが損傷しダウンフォースのバランスが崩れたのが原因だった。これにはドライバー、大祐も

「もー!」

と天を仰いだ。FCYが導入されることになった。



その後、アミューズメントが回収され、KONが最下位ながら復帰したところでFCY解除となった。周回数は6周半。俺ーー厚大ーーは自チームのマシンを含めたトップ争いに釘付けになっていた。

『さぁFCY解除です!トップのクイーンはBコーナーを通過したところからスタートです!』

再開と同時にフルプッシュを始めるクイーン。2位のNTTとはすでに5秒もの大差を築き、それでもなおプッシュを続ける。そして事故があったからか他もかなり慎重になったためただ周回を重ねる展開が続く。しかし周回数9周。ピットにより大きく動き出す。

『さあクイーンが周回数10周目に入った。その後ろでは…NTTがピットだ!その後ろのウィダーも入ってゆく!』

ピット戦争再び。多くのチームが早めのピットインを選択した。これは後半でSCが導入されたときに不利な展開になるのを避けるためだろう。真っ先にピット入りした琉真の動きを見守りつつ、他チームの動向にも目を光らせる。すると目を疑うような光景が飛び込んできた。

『おおっと、ここでウィダーが左2輪交換だ!3番手を走行していたウィダーが右のタイヤを交換せずにピット時間を短縮!そしてピットアウト!ウィダーがNTTを逆転!』

まさかトップ集団のチャンピオン争いをするチームのなかでタイヤ交換の本数を減らす作戦を取るチームがいたとは。思わず頭を軽く抱える。

3周目以降全く攻めてくることがなかったウィダー。てっきりタイヤがもう摩耗した、もしくはタイヤが路面にマッチしていないと厚大は思っていたのだが実はこういうやり取りがあった。


周回数が3周目に入ろうかというところ。メインストレートだ。

「ごーめん、流石に2周ではNTT仕留められなかった」

「わかった。高岡はもうタイヤいたわることだけを考えて。左は仕方ないから特に右は余裕もたせてな」

「了解です」

レースの、そしてチャンピオン争いへの大逆転へ向けて着々と準備を進めての走りだったのだ。



そしてレース11周目、私ーー由衣ーーはマシンをピットに運んだ。リミッターをかけシートベルトを緩めながらピットロードを走行する。もう殆どがピットを終えているらしくピットレーンは閑散としている。自分のピットスペースを見つけ、丁寧に止めると素早くコックピットから脱出しドアを開けてきた相方と交代する。望美がベルト等をセットしている間にNPCはタイヤ交換、給油をしていく。そしてそれらを終え、ピットインから37秒。クイーンZは轟音を立て、ピットアウトした。

『さあ今ピットを終えたクイーンが1コーナーへとステアリングを切りました。実質トップを守ったままコースイン。その後ろのウィダーは…今コントロールラインを蛇行しながら通過!タイヤを温めながら迫りくるNSXにZはどこまで対抗できるのでしょうか!』

Zはピットアウトのアウトラップ。なんとかタイヤを温めながら逃げる。しかしNSXは2周かけて完全に温まったタイヤでその差をぐんぐん詰めてくる。そして

『さあ最終コーナー!ここ1周、マージンもあってなんとか耐えたクイーンですがタイヤは完全には温まっていない!蛇行しながらメインストレートを通過するすぐ後ろにはウィダーが迫っている!直線はどうだ!…マシン差はほとんどないから縮まらないかぁ、しかし1コーナーのブレーキング!おぉっと前半スティントとは見ても見つかないアグレッシブさでサイドバイサイドに持ち込んだ!立ち上がりはどうだ、追い抜いたぁ!トップ入れ替わり!』

遂にウィダーがクイーンを実質トップの座から引きずりおろした。そしてここでダークホースが登場する。それにいち早く気づいたのはNTTの前半スティントを走った、足立琉真だ。

「あれ…マザーが9番手(実質4番手)だ」

「嘘!?」

俺ーー雄太ーーは思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。順位表を見るとピットに入ってないマシンが5台分並んでおりそのすぐ下にウィダー、クイーン、NTT、マザーと並んでおり…

「ほんとだ。かなりペース速そうだね…」

「桜さん、大丈夫かな…」

「あいつならいけるだろ」

「や、雄太さんそんな根拠もなくいわれても…」

『さあここで8番手争いが展開されている!マザーNSXがNTTLC500にテールトゥノーズだ!まずは100Rだが、ここは絶妙なライン取りでNTTが抑えます!その後のヘアピンも…なんとか耐えました。そしてここから300RのBコーナーだがどうだ?…粘る粘る粘る!NTTの桜がポジションを守りきった!』

俺の予想通り、なんとか耐え抜いた。しかしここから桜の猛反撃がサーキットを釘付けにするのを俺たちはまだ知らない。



『レースは15周を経過しました。全チームがピットを終え、現在トップはウィダーNSX、その3秒後ろにクイーンZ、そしてNTTLC500がマザーNSXをすぐ後ろに従えて走っている展開です。しかし気になるのはNTTですねぇ。2周前までは3秒あったその差を1秒2にまで詰めています。そしてそのクイーンはトップのウィダーよりも毎ラップコンマ3秒速い!これは最後までわからないぞ!』

「芽衣、ここ耐えどころだからな。あと7周!」

「了解。けど左右でタイヤのグリップが違うから苦しいよ」

タイヤ二輪交換作戦でトップに出たウィダーだったがそれが逆に足枷となっている。しかも前後で違うならまだ対処できるが左右で異なるとドライバーにとって非常に難しい状況となってしまう。

そしてその時はあっという間に来てしまった。残り5周。メインストレートでウィダー、クイーン、NTT が縦並びに密着した状態になった。

『さあ、スリップストリーム合戦だ!1.5キロのメインストレートを団子状態で駆け抜けています!そしてZがアウトに振った!ストレートで抜けるか? サイドバイサイド!1コーナーに突っ込んだ!立ち上がりで…オーバーテイク!クイーンが第2戦のときにも見せたオーバーテイクを再び敢行しました!しかし前回との大きな違いはこれでトップに出たことです!クイーンはトップに返り咲いた!』

「あ”あ”あ”!!クソ!」

そう叫んだのは前半スティントを走った高岡だった。2輪交換のために彼が必死にマネジメントした努力は水泡に帰した。しかし彼の脳内はその落胆より次なる追い抜かれでチャンピオン争いから脱落する不安と恐怖にかられていた。

「あと6周!絶対死守しろよ!」

しかしそんな檄が最悪の結果を招くことになる。

『辛いタイヤでなんとか2番手を粘っているウィダーですが…セクター1で伸びたNTTとの距離がまた縮んで来ましたかね?そしてBコーナーに入り…あああああ!Bコーナーでウィダーがスピン!!タイヤが持たなかったのか!そしてその横をNTTがどこ吹く風と言わんばかりにスルーしてゆく!』

もう叫び声すら出なかった。



一方その頃。視界がクリアになったクイーンはどんどん飛ばしてゆく。

「望美!気を抜かないでよ!」

「抜いてない。話しかけないで」

近づく勝利にいつもと空気が変わるドライバー達。しかし障害はまだ完全には遠ざかっていないようだ。NTTLC500 吉葉桜が異次元のブレーキングでその車間距離を詰めてくる。

「あともうひと伸び。いけたら行ってほしいがウィダーの二の舞いにはなるなよ?」

「もちろんです。集中させてください」

VGT史上最も焦げ臭く、最もクリーンなバトルが6周続いた結果、勝者は。



『さあ、戻ってきましたクイーンZ!ここ数戦不振だったチームが第4戦でのタキオン、そして前戦のNTTに続き、復活します!チャンピオン争いに名乗りを上げます!さあ最終コーナーを立ち上がった!後ろとの差は3秒もありません!しかしこの3秒は決定的な3秒です!完璧なレース運び!完璧なドライビング!クイーンZ、初優勝!』

これで44点になったクイーンは同胞KONに11ポイント差にまで詰めより、トップの座は56ポイントでNTTに渡った。また久々の上位入賞でファースタースープラも45ポイントとなりタキオンもそれに続いて52ポイントになった。

ちなみにあれからウィダーは

「ごめんなさい。何位でしたっけ」

「今7番手チェッカー」

「ごめんなさい」

まさに光と影。これでウィダーはドライバーズポイントが28ポイントなので完全にチャンピオンの権利はなくなった。光と影を生み出したVRの富士スピードウェイは役目を終えた。

(つづく)

今回も読んでいただきありがとうございました。もし本作品を高く評価してくださるなら次回以降も読んでいただけたらと思います。それでは!

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