始まりの街-08
「やっと着いたな」
「お前乗ってただけだろ」
俺と隆也、二人で草原を進み。
レレアエネミーと戦ったりレベルアップしながらも、どうにか目的地にたどり着いた。
「思ってたよりでかいな」
「始まりの街とは言っても、ここは今発見されてる中で一番規模がでかい街らしいぞ」
「へー、最初が一番でかいんだ」
始まりの街が小さいとプレイヤーとか入り切らないからかな?
「おう、それにこの街には神殿があるからな」
「あー、なんか言ってたな」
確か神殿でなにかするとステータス%を増やせんだっけ?
「とりあえずさ、ギルド行こうぜ?」
「おっけー」
ギルド、それはこのゲームにおける何でも屋的な立ち位置の組織で素材の買い取りからスキルスクロールの販売、クエストの発注など何でもできる場所だ。
まぁいわゆる集会場ってとこだな。
「トレントの素材でも売って武器買おう」
「そうだな、俺もう矢無いから買わないと戦えない」
トレントの素材、俺達がゲットしたのは木材と蔦。
一体どれぐらいの値段がつくんだろう?
隆也の後を追うように町中を進んでいると、突然目の前にウィンドウが現れる。
「うおっ」
そこにはチュートリアルを開始しますか?と書かれている。
「夕陽、スキップでいいぞ」
「もう押してる」
だが、もうさっきの移動時間で隆也に色々聞いてし、別にチュートリアルはいらないかな。
VRゲームのいいところって操作説明がいらないところなんだよね、だって体動かすだけだし。
スキルの発動方法ーとかも基本言葉に出せばいいだけだし。
つまり俺みたいな説明書読まないタイプのせっかちと相性良いってことだ。
「てか、こんな町中で突然出てくんだな」
「あー、なんかこれ選ぶとチュートリアルクエストが発生するらしい」
「ふーん」
それにしても隆也さぁ...このゲームに詳しすぎね?
そんなに俺とやるの楽しみにしてたのかな?俺からしたら助かるから別にいいんだけど...なんか隆也っぽくないよなぁ。
隆也も俺と同じ説明書読まないタイプだと思ってたのに...
「結構プレイヤーっぽいのいるな」
「今回の抽選で当たった奴らはまだここにいるからじゃね?」
「それにしては皆強そうな見た目だけど?」
「見た目は割と自由だからな」
周りを見ると、NPCっぽい人達の中にプレイヤーっぽい人達がちらほらと混じっている。
なんか腰に武器下げてたり、強そうな鎧着てたりしている。
「そういや俺も結構自由に選べたな」
「見た目は正直当てにならないぞ?見た目は裸でも中身はガッチガチの重装備ってこともあるし」
「まじかよ」
見た目当てにならなすぎじゃね?
素っ裸で刀一本とかの猛者っぽい見た目でも実は普通に装備してますってのもあり得るのか...
「俺だってこの見た目だけど魔法使いだしな」
「確かに」
そういや身近に居たわ、見た目が当てにならない奴。
見た目だけならどこからどう見ても近接職だもんな...魔法使いだけど。
「てか、対人戦しないなら大して気にすることでもないだろ」
「え?しないの?」
「ん?」
俺全然対人戦とかやるつもりだったんだけど?
「だって、なんかイベントとかありそうじゃね?」
「あー、そういう事か」
「何だと思ったんだよ」
「いや、PKでもやる気なんかなーって」
「PKか...」
「いや悩むな」
「いや、俺のスタイルなら割とありじゃねって思って...」
俺が森の中とかで隠れながら弓撃ってたら無敵では?
”命中補正だけ”はあるんだし。
「PKは指名手配とかされるから、お前じゃ逃げ切れん」
「そういやそうだわ」
PKは無しだな。
てか、そっちに手を出したら強くなってる暇がなくなる気するわ。
そんなこんなで話しながら歩いていると、どでかい建物の前で隆也が足を止めた。
「よし、着いたぞ」
「これがギルド?」
「おう、旅人ギルド、通称NPCギルドだ」
「NPCのギルドだからNPCギルド?」
「そうそう」
しかしデケェな、市役所みたいなサイズしてるぞ。
「ほら、サクッと終わらせんぞ」
「おう」
中に入ると、そこには大量にプレイヤーが...というような事はなく。
NPCしか居ない静かな空間がそこには広がっていた。
「あれ?プレイヤーは居ないの?」
「ここはパーティー事に違う物が生成されんだよ」
「なんで?」
別にそんな事しなくてもいいのでは?
「なんでって...このゲームのプレイヤーが全員入れる建物なんて用意できないからだろ」
「なるほど」
良く考えたらそうだよな...このゲーム現時点でも40万のアクティブユーザーいるんだし。
そんな人数入り切らないんだから最初から別のモン用意したほうが良いか。
「てか、この方が楽だろ」
「それはそう」
「なんか小説とかでよくある別のプレイヤーに絡まれるー、みたいなことも起きないしな」
「それは普通になくね?」
「なんかあるじゃん、レアアイテム持ってるのを目つけられてーみたいなさ?」
「リアルでそんなふうに絡んでくるやつ居たら驚きだわ」
隆也が言うようなことは起きないだろうけど、まぁプレイヤー間のいざこざとかは減る...のかな?
「それはいいからさ、はよアイテム売ろうぜ?」
「アイテム持ってんの隆也だけどな」
「そうだったわ」
隆也の案内で、俺は一つのカウンターの前まで向かう。
そこには、巨大な天秤のようなものがおいてあった。
「なにこれ?」
「アイテムの価値を測る天秤」
「え?NPCと取引するとかじゃないの?」
「馬鹿だな、これはVRだぞ?削れるリソースは削るに決まってんだろ。NPC一体作るのがどれだけ大変か分かってんのか?」
「いや知らんけど」
「だよな?俺も知らん」
「なんやねん」
「まぁ、この方が楽でいいだろ。乗せるだけだし」
「なんでも良いから載せてみてよ、何円か気になるわ」
「まずは角兎の毛皮が1枚だけあるからこれ載せてみようぜ」
そう言って、隆也がインベントリから角兎の毛皮を取り出し、天秤の上に乗せる。
すると、天秤の反対側に突然銅のコインが数枚現れる。
「うお、なんか出てきた!」
「80エジュだってさ」
「コイン見ただけで良くわかんな」
「いや、違う違う、俺には取引用のウィンドウ見えるから」
「あ、なるほど」
毛皮1枚で80エジュ?なのか。
「因みにこれだと何も買えない」
「そんな安いの?」
「80エジュって、ほぼ80円みたいなもんだからな」
「クソじゃね―か」
安すぎるだろ!一応素材やぞ?
「まぁまあ、俺達にはトレントの素材があるだろ?」
「そうだな、まだ耐えれる」
これでトレントの素材が安かったら俺は絶対にキレる。
自身を持ってそう言えるね。
「てかさ、俺の場合金が無いと戦うことすらできないぞ?」
「因みに俺もMP回復薬無いとMP回復遅すぎて役に立たないぞ」
「俺らって金ないと戦えないじゃん...」
「そうだよ、控えめに言ってクソ編成」
終わってるわ、このチーム。
「さて、まずは蔦乗せるぞ?」
「おーけー、心の準備はできた!」
「それじゃあ、行くぞ!」
ゆっくりと蔦が天秤の上に置かれる。
そして今度は反対側に銀色のコインが山となって出てくる。
「何エジュ?なんか銀色だし高そう!」
俺はその銀色のコインの山を見て隆也を急かす。
「おぉ!7000エジュだってよ!」
「つまりは7000円!やるやんトレント!」
俺が喜んでいると、隆也がそこに申し訳なさそうに言ってくる。
「いやぁ...でもMP回復薬って一本3000エジュ位するんだけど」
「は?全然足りないやん」
「だよなー」
「魔法使い辞めれば?」
「因みに夕陽の矢は多分10本で2000エジュ位な?」
「よし、俺弓使い辞めるわ」
金足りなすぎだろ。
10回攻撃するのに2000エジュ?それで何ができんねん。
1回200エジュじゃあドロップアイテムが200エジュ以下の敵相手にした時点で赤字なんだが?
「待て待て...ここはこの木材に全てをかけようじゃないか」
「すべてを賭けるの早すぎだろ、俺等ゲーム始めてまだ数時間だぞ」
でも、実際その木材が安かったら終わりなんだよなぁ...
「そいじゃ...乗せるぞー」
まだ蔦が乗っている天秤に今度は木材を追加で乗せる隆也。
そして、その木材が乗せられた瞬間、銀色のコインの山が、金色の数枚のメダルに変化する。
「お!?これはキタ!金色だぞ!」
俺はこれを見て、勝利を確信する。
だって金色だぜ?絶対高いやん。
数枚しか無いけど、多分金色のコイン1枚で10万エジュとかするに違いない。
「えーっと...こちらの木材」
「ごくり...」
「お値段なんと!?」
「..........」
「23万エジュでーす!」
「よっしゃァ!」
俺と隆也は、なんとか金欠スタートを回避したのだった。
______________________________________________
トレント・ウッド
230000エジュ
トレントのレアドロップ。10%
そこそこ強い弓や杖が作成できるティア2素材。
トレント・アイヴィー
7000エジュ
トレントのドロップ。80%
弓の弦を作るのに適した素材だが、弓使いが少ないので値段は安い。
ティア1素材。
角兎の毛皮
80エジュ
角兎のドロップ。90%
品質の悪い小さな毛皮。
ティア0
ここでいう確率は、ドロップアイテム内の確率であって、そのモンスターを倒したときに落とすドロップ確率じゃありません。
角兎の場合は、20%の確率でアイテムをドロップして、そのドロップアイテムが90%の確率で毛皮ですよーという感じです。
基本的に消耗型の職業は最初キツイです。
お金がとにかくかかるので。
ですが、お金を気にせず戦えるようになると一気に強くなります。
要するに大器晩成型ですね。




