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リアルラック超マイナスな俺、VRゲームの中でぐらい幸運になりたい。〜幸運極振り弓使いの冒険〜  作者: めんだこ職人


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VSトレント-06

俺の視線の先、隆也がトレントと近距離で殴り合いをしている。


「えぇ…?」


隆也もそこそこデカいが、トレントは4mぐらいあるんだぞ?自分の倍くらいのサイズがある相手と殴り合いとか正気じゃねぇ、てかお前魔法使いだろ!


「しかも意外とちゃんと戦ってるし…」


トレントが腕を動かし、隆也を叩き潰そうとするが、それを軽く躱し、横腹に魔法を直で叩き込む。

トレントは図体がデカいからか動きも鈍い、どうやら隆也ならなんとか戦えるみたいだな。


「俺、することねぇ」


流石に遠くから隆也とトレントの殴り合いを見てるだけってのは申し訳ないぞ…

援護しようにも動き回ってるせいで隆也に矢当たっちゃいそうだし、そもそも俺の攻撃全然効いてなかったし…


「そもそも、矢一本じゃ大したダメージにならんよな」


なんだよ、手持ちの矢が7本だけって…

弓使いなんだから100本とか用意しとけよ。


「隆也ー!なんか弱点的な場所とか無いー?」


普通な攻撃しても意味無さそうなので、ここは隆也に弱点でも見つけてもらうとしよう。


「んなもん、見てる暇ねーわ!」


「使えねー」


「お前の方が今役立たずだろ!?」


仕方ない…とりあえず顔っぽい所でも狙ってみるとしよう。

ヘッドショットは高いダメージ入るハズだけど…トレントの場合木だからどこが顔とか分かりにくい。


「当たれーっと…」


矢を放つ。

狙いはトレントの顔っぽい部分。

木が絡み合ってできたマネキンみたいな見た目してるトレントの顔部分には、赤い光を放つ目みたいなのがあるので、そこに当たれば嬉しいが…


「あっ…」


だが、残念。

俺が放った矢はトレントに命中はしたが、当たった場所は右足の辺り、勿論カスダメだ。


「俺が何もしてないのにもう半分削れる…」


俺が矢を2発放つまでの間に隆也はインファイトでゴリゴリトレントのHPを削っている。

お前魔法使いだよな……?


「てか、なんか隆也が攻撃した所焦げてね?」


なんか、トレントの表面が所々焦げてる気がする。

電気で焼き焦がしてるってことなのかもしれない。


「あそこならダメージ入るのでは?」


焦げた所なら普通のところより深くまで矢が刺さる気がする。


「狙ってみるか」


まぁ俺に狙いとかいう概念存在しないんだけどね。

そもそもが幸運ステータスに全任せの運頼みシューティングだから、部位狙いが不可能。


あくまで気分、あそこを狙うぞーって言ってるだけにすぎない。


今回も、胴体の焦げ跡を狙ったが、当たった場所は頭で……頭?


「ヘッドショットォォ!」


まさかのヘッドショットキタコレ!

しかもHPが目に見えて削れたぞ!

1割くらい削れたし、やはり頭狙いが正義か!?


「隆也ー!頭狙え頭ー!」


トレントの弱点…いや多分大体の生物の弱点だけど。

取り敢えずダメージ入る場所を発見したので、隆也に教えておく。だが…


「届く訳ねーだろ馬鹿!」


うん、まぁそうだよね。

流石に高さが足りないし、当てられるとしても俺だけだ。


「でも後5本しか矢無いしなぁ...」


トレントの残りHPは3割ってところか...


「隆也!残りMPはどんぐらーい?」


隆也に後どれくらいのダメージソースがあるのかで判断しようかな、無駄に矢を撃つのは嫌だし。


「後30!多分俺だけじゃ削り切れない!」


まじかよ...トレントってLv5だよな?強すぎやしないか?

レアエネミーってステータスも強化されてたりするのか?だとしても硬いけど...

いや、シンプルに相性が悪い気がするな。

きっと隆也が火魔法とか取ってたら余裕だった気がする。

このゲーム、属性とか攻撃方法とかの相性がめちゃくちゃ作り込まれてるらしいし。


それはそれとして、このままじゃ削りきれないってのは大分不味いな。


「もう俺全部撃つわ!当たったらメンゴ!」


てことで弓に残っている矢5本を同時に番える。

なんか昔の映画とかでやってたのを見たことあんだよな、これ。

そして、矢を番えるって動きはシステムでアシストされてるからか、5本同時でも特に変化は無い。


「いけるかなぁ」


なんか何本も放とうとするとエネルギーが分散されるとか、命中精度が下がるとかあるらしいけど。

今の俺にとって命中精度は敵じゃないし、エネルギーがどうたら問題もステータスで最低火力が保証されてるからな!


「頭を狙って......ここッ!」


縦に5本、並べられた矢がトレント目掛け一斉に飛んでいく。

が、やはり5本同時は無理があったようだ。

一番下に番えていた矢は発射されてすぐに地面に突き刺さったし、一番上の矢は全く違う方向に飛んでいった。だが真ん中の3本は、意外とちゃんと飛んでいる。


1本はトレントの頭に、1本はトレントの左腕に、最後の1本は隆也の胴体に...


「ぎゃーっ!?夕陽俺に当たってるってー!!」


今のでトレントのHPは残り2割弱にまで減った。

だが、その代償として俺の攻撃手段はなくなり、隆也のHPも残り5割ちょいになってしまった...


「隆也すまーん!でも結構削れたから許してぇ!」


てか、これについては隆也が貧弱すぎるんが悪いわ。

VIT10あっても一撃でこんだけ削れるんだろ?やばいなぁ。


「防具無いからクソ痛ぇ!ちょっと一旦下がるわ!」


「え?防具なんで着ないん?」


てか、防具か...そういや俺も着てないな。

てか貰ってない。最初にもらえたのはこのボロい弓と使い切っちゃったボロい矢だけだぞ?


俺の近くまで下がってきた隆也が口を開く。


「今、チュートリアル前だからな?一応言っとくけど」


「んえ?」


チュートリアル前?なのに俺らはレアエネミーとか言う意味わからないのと戦ってる訳?


「そもそもこのエリアって本来ならクソ雑魚角兎しか出てこない初心者用エリアだしな」


「あー、なるほどね」


このトレントって最初のエリアとかにいる妙に強いでかいやつのポジションってことか。

納得だわ。


「これも全部夕陽のせい」


「は?俺のおかげって言えよ、レアエネミー嬉しいだろうが。あとラッキーガールと呼べ」


なんで俺が悪いみたいに言われんの?

レアだぞレア、絶対に俺に感謝するべきだろ。

俺はしてるぞ、心のなかで幸運の神に感謝して祈りを捧げてる。


「とりあえずさ、矢が無い弓使いとかいらないから、お前も俺と一緒に来い」


「は?ムリムリムリ」


何言ってんのってコイツって感じだけど。あの巨体の化物の近くまで行けって?

こちとら幸運以外初期値ぞ?


「攻撃来ないぐらいの範囲でうろちょろしてればいいからさ」


「ならここでも良くね?」


「いや、ここだといざって時に囮にできないだろ?」


「清々しい笑顔でカスなこと言うなよ」


てか見た目も相まって完全に屑だぞ。

構図としてはムキムキマッチョが少女囮にしようとしているってところか...


「ほら、夕陽ならできるって!格闘ゲーム予選敗退してたけどさ!」


「そういう隆也だって、散々イキリ散らかしておいて準々決勝で敗退してたじゃん...」


それに、あの時の俺の予選の相手元プロだぞ?

俺毎日8時間くらい練習してたのに何もできずに負けたからな、クソが。


「でも、実際トレント動きがクソ遅いから余裕だぞ」


「だとしても武器ないのよ」


「だから囮だって、攻撃惹きつけるだけでいいから」


「えぇ...」


だってさ、これで死んだらデスペナでしょ?

今死んだらトレントの経験値入らないやん、最低限働いたし安全圏で芋ってたい...


「って、今考えてるだろ?」


「なっ!?貴様心を読んだのか!?」


「いや顔に出てたわ」


クッ、隆也に完全に読まれている...


「死んだら恨む」


「ゲームなんだからキレんなって」


「仕方ない...絶対に倒せよ?」


「おう、任セロリ」


俺と隆也は一気に走り出す、目指すはトレントの懐。

あの図体だ、自分の足元なんて見えやしないだろう。

取り敢えず注意惹きつけとけば隆也がトドメは刺してくれるし、頑張るとしよう。


と、思ったんんだけど...


「隆也速いって!」


うん、俺が遅すぎる。


「オラァ!」


俺の目線の先では既に隆也が意気揚々と杖を振り上げている所だ。

なんか光ってるし多分魔法も使ってる。


その杖がトレントの体に当たると、HPバーが少し削れる。

残りは1割半ぐらい。


「でっか...」


それはそれとして、俺もようやくトレントの近くに来たわけだが...

近くで見ると迫力すげぇな、かなり大きいし、見上げないとHPバーが見えないぞ。


「えーと、注意引いときゃ良いんだよな?」


コイツ耳とか付いてるのか知らんけど、挑発してみるか。


「おい!木偶の坊!」


俺がそう言うと、ピクリと反応があった。

どうやらこちらの声は聞こえてるらしい。耳がどこにあるのか不思議だ。

しかし、聞こえてるのなら話は速い、要は煽っていればいいだけの話だろう?


「この戦闘で隆也にダメージ与えたの俺だけだぞ?お前見た目の割に弱すぎw」


声は無い、返事もない。だが確かに効いているようだ。

自分に攻撃してくる隆也よりもこちらに視線を向けてきた。

なので俺は口元に手を当て、笑いながら更に煽る。


「教えてやろうか?お前が苦戦してるの、魔法使いだぜ?ぷぷぷ、完全に近距離型の癖に魔法使いに一撃も入れられないの雑魚すぎw」


「.........」


今、トレントと目が合った。

言葉は無いけど、たしかにこう聞こえた気がした。


『コロス』


「ぎゃーっ!?隆也助けてー!」


次の瞬間俺に向かって巨大な拳が落ちてくる。

地面をゴロゴロと転がりながらなんとか回避するが、まだまだ攻撃は止まらない。

トレントが飛び上がり、踏み潰そうとしてくる。


俺はそれを避けるべく、死に物狂いで走る。


「ひぃやぁあぁああ」


コイツ!なんで隆也を攻撃しないんだよ!お前もうHPミリだぞ!

絶対に隆也の方攻撃したほうが良いって!俺攻撃手段無いし、ただの一般人だって!


俺は、とにかく走った。

ときに転がり、跳ね、トレントの攻撃を避け続ける。

図体がでかいが動きは鈍いので、回避自体はできる、だがスタミナが持たない!


「あ...」


眼の前に迫るはトレントの巨大な拳。

もうスタミナないし避けきれない、これは死んだ...そう思って目を閉じるが、いつまで経っても俺を衝撃が襲うことは無い。


「あれ?」


不思議に思って目を開ければ、そこにいるのはムキムキボディの魔法使い...


「ナイス囮!トレントは倒したぞ!」


どうやら、俺は間一髪で助かったみたいだ。

本当に危なかったけど...勝てたなら良かった。


「はぁ...クソ疲れた」


俺は地面に崩れ落ちると、息を整えるべく深呼吸をするのだった。


______________________________________________


『隆也視点』


後一撃で倒せるんだけど...なんか夕陽が必死に逃げ回ってんのおもろいし、ギリギリまでトドメ刺さんとこ、あんな追われててHPバーなんて見てらんないだろうし、バレないだろ。

隆也君さぁ......分かってんねぇ。

必死に逃げ回る美少女が好きなのは作者だけか?

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