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お救いください お薬師様 第十話

常磐林蔵様が連載されている「宗盛記」の二次創SSです。

楽しむには「宗盛記」の知識が必須となります。

「読んでおいてほしい本編の話数」は下記となります。チェックいただければ幸いです。


宗盛記0100 永暦二年七月 豌豆瘡対策 から

宗盛記0105 応保元年十二月 帰京 まで


この連載は、プロットを作成の後、AIで文書化したものを推敲して仕上げています。


いままでは梟丸くん視点でしたが、この章は視点がしょっちゅう入れ替わります。

ご了承ください。


本日の一話目です。

永暦二年 七月


利根川の渡し場。


舟は一艘ずつしか出ない。

旅人は長蛇の列だ。


役人が一人一人、額に手を当てている。


「熱はないな。次」


だが、列は遅い。


旅人たちは苛立っていた。


「いつまで待たせるんだ……」


「向こう岸まで、目と鼻の先だぞ」


その時、列の中の一人がぼそりと言った。


「……お前ら、闇の渡し場の話、知ってるか?」


隣の男がすぐに答える。


「ああ、知ってるぞ」


別の旅人が首をかしげた。


「俺は知らん。どんな話だ」


男は肩をすくめる。


「ありゃあ、下総の渡し場での話だったかな」


皆、少し身を乗り出した。


---


「夕刻に渡し場に着いた旅人がいたそうだ」


「この渡し場みたいに、

“七日止める”って噂を聞いてな」


「そんなに待てるか、って焦ったらしい」


「そりゃ焦るわな」


「そこで声をかけられた」


男は声を潜める。


「“すぐ渡れる舟があるぞ”ってな」


「ほう?」


「もちろん、渡し賃は高い」


「どれくらいだ?」


「五倍だ」


小さなどよめきが起きる。


「五倍か……」


「だが急ぎだ。払った」


男は続ける。


「夜になって、舟が出た」


「灯りもなし。

静かに、川を渡る」


旅人たちは、思わず川を見た。


---


「……で、渡った」


「岸に、人影が立ってる」


「客か?」


「いや」


男は笑った。


「役人だ」


「え?」


「闇の渡しだって、

とっくに知れてたんだとよ」


「渡し守も旅人も、

まとめて捕まった」


「うわぁ……」


列の中に苦笑が広がる。


---


「番所に連れて行かれてな」


「額に手を当てられて」


「熱は?」


「なかった」


「じゃあ?」


「解放」


一同、きょとんとする。


「それだけ?」


「それだけだ。もともと、七日留め置かれるのは発熱者だけだからな」


男は肩をすくめる。


「ただし」


「闇舟の渡し守は縄付き」


「そりゃそうだ」


---


列の後ろから声がする。


「じゃあ、その旅人は助かったのか」


男はうなずく。


「助かった」


「ただな」


「五倍の渡し賃は戻らん」


笑いが起きた。


---


最初に話を振った男が、最後に言った。


「だから言うんだ」


「ちゃんと話を聞け」


役人が叫ぶ。


「次!」


列が一歩進む。


男は額に手を当てられながら、ぼそりと言った。


「……聞かないと、損だぞ」


川風の中、

旅人たちは静かに頷いた。


---

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