14・花さん、ウッカリやらかす? その1
【同時に2話を投稿してます。こちらは1話目】
使いかけの手芸用品をゴチャっと入れてる箱の隅っこから、小さいサイズのアサリの貝殻が何個も出てきました。
「なんで貝殻が?……そういえば……」と、思い出した話です。
ヤベェのが多い私の体験では珍しく貴重な、ほのぼのエピソードです。
イマちゃん「普通に『良かったね♪』って終わるかと思ってたら、『やっぱり黒木だから』だったよ!」
ナナコ「うん、安定の謎現象クオリティ。ムッチャ鳥肌立ったわ」
次話のネタバラシ、止めぇい!
花さんが母から裁縫の手習いを受けたのは、小学2年生になってすぐのこと。
「私も同じくらいの時にバァちゃん(母の母)に雑巾の縫い方を教わったし、あんたは器用だから、1人の時に針を持っても大丈夫でしょ」
母からそう言われた花さんは、「それもそうだなぁ、自分で出来たほうが、頼む手間が無いし」と納得したが、
「でもお母さん、私、針を持つよりも何年も前から肥後の守を使ってるけど、教える順番、絶対間違えてるよね?」
「ちょっとは間違えてる気がするけど、鉛筆削りがあるのに、お父さんがやらせたからよ……いきなり小刀なんて持たせるのは危ないって言ってるのに、まだ幼稚園行ってる子が、怪我もしないでスッと使えたのが、今でもわからんわ……」
「私だって、なんでスッと使えたのかわからんのよ」
父の「花やったらやれると思うから、やらせてみた (笑)」という、適当な教育方針は、『やりたいことを、やらせてあげる』とは全く違うよね……と、ちょっと遠い目になる、母と娘であった ―――
【肥後の守:日本で戦前から使われている簡易折りたたみ式ナイフの総称。『肥後守®』は登録商標なので、通称として呼称されている『肥後の守』と表記してます】
◆ ◇ ◇ ◇ ◇
「へ~、それでその時 教えてもらって作ったのが『コレ』なの?」
「うん。まぁ、最初の頃に作ったのは、縫い目もザクザクに荒いからね~。久しぶりに新しく作ってるんよ」
「へ~、初めて見た~。でもなんか懐かしい感じがして、可愛いよね~」
「あー、それな! レトロ可愛いってやつ? がま口のお財布に付いてそう!」
「そうそう。それで小さい鈴が付いてるの」
「コレは素のまま? 鈴無し?」
「鈴……あるよ」
「出た! マスターの『こんなこともあろうかと』!」
「いやそれ、どこかのマスターじゃなくて、どこかの有能メイドさんじゃないの?」
「黒木のカバンは、何でも出てくる魔法のカバン」
「いやいやいや、『何でも』は出てこないから。『入れてないものは出てこない』からね? さて、続き続き~」
「じーー」
「…………」
―― チクチクチク
「じーー」
「じーー」
「…………」
―― チクチクチク
「じーーー」
「じーーー」
「…………」
―― チクチクチク
「じいーーー」
「じーーーい」
「…………」
―― チクチクチク
「いやもう、黒木のメンタル、スッゴいな!!」
「うっわ、ビックリしたぁ! どしたの?」
「2人で じーーっと見てるのに、マルっとスルーできるのスゴい」
「スルーって……急にナナコが『じーー』って言い出すから、どうかしたのかと思って黙ってただけだよ……」
―― チョキン
「ほい、鈴付きの『貝包み』1個完成。イマちゃんのお母さんにプレゼント」
「えっ? ウチのオカンにあげるやつだったの?」
「うん。ほら、昨日イマちゃん家に遊びに行った時、『財布に付けてた鈴がいつの間にか取れてて、代わりの良いのが無いわ~』って言ってたっしょ? いつもオヤツ出してもらってるし、お礼にもならないかもだけど」
「うわ~、ありがとう! キーホルダーは重いって言ってたし、オカン喜ぶわ~!」
「え~、イマちゃんのお母さん、いいな~」
「……うん、なんか見てたら、オカンにあげるの、もったいなくなってきた……」
「ふっふっふ……こんなこともあろうかと、キミたちの取り分は既に作ってあるのだよ」
「「えっ! マジで!?」」
「マジです」
ニヤリと笑う花さんは、カバンから取り出した貝包みを4個置く。
「色はそれぞれの好みで、裏表の色が同じのと、表と裏の柄違いで、2個ずつご用意しました~、ジャジャン♪」
「ふおお~~! カワイイ!」
「うわあ~~! カワイイ!」
「はい、生JKの『カワイイ』、頂きました~」
「「なんか『生』って言われるのイヤ~~」」
◇ ◆ ◇ ◇ ◇
『貝包み』は、我が家で言ってる造語です。たぶん。
『包みボタン』の応用で製作してます。
手芸作品としての正確な名称を知らないので、知ってたら誰か教えて、賢い人~!(他力祈願)
基本的には、『シジミ』の貝殻一対を、包むように布で縫い合わせて紐を付けた、ストラップです。
同じ仕様のものが、神社の御守りに採用されてることもあります。
(『片目のだるま』の神社で『開運御守り』を購入したことがあります。シジミの貝殻が入ってるかは、布を剥いで確認してないので不明)
二枚貝ならなんでもいいんですが、アサリやハマグリだと微妙に大きく『貝!』って主張しすぎるし、あんまり可愛くないんですよねぇ(小さいサイズならOK)
シジミ自体が小さく、貝殻を合わせたら意外と丸いので、自作される時は指に針をブッ刺ささないよう、ご注意を……
(↑ 「痛いっ! 血出た……針が1本しかないからサボテンよりマシかも?」と、すぐに慣れた人)
細かい柄の布か、縮緬生地がオススメです。
越後の縮緬問屋? ご隠居のオススメなんて、端切れでも高くて、庶民には無理ッス!!
庶民は無理せず、お手軽に入手できる、百均の端切れで満足でござる。
紐と鈴も百均で (笑)
手芸コーナーにある細い紐と、小さい鈴を使用してます。
◇ ◇ ◆ ◇ ◇
「あ~~、どっちか迷うわぁ~」
「え、なんで迷う?」
「え~? どっちにしようか悩むよ~」
「(*´◇`)ノ 悩まんで えぇんやで~」
「『えぇんやで~さん』来た(笑)」
「えぇんやで~って、なんでよ?」
「いや、どっちにしようか、迷って決められなくて悩むように、ワザと狙って作った自信作だから」
「「鬼かっ!」」
「最初から『2個ずつご用意しました』って言ってるのに~ (笑)」
「「えっ?」」
「……あ、言ってたわ」
「言ってたね……」
「なので、2個ともプレゼント♪」
「「やったー!」」
「さすが黒木!」
「さすくろ」
「「ありがと~!」」
「でも、素直に『2個ともプレゼント』って言わないのが、黒木らしい」
「謎の引っかけ問題で迷わすのが、魔王の証拠」
「うん、惑わすのは魔王」
「なんでも魔王オチにするの止めぇい!」
(*´◇`)ノ えぇんやで~さん:作者の花丸とは違い、細かいことが気にならないのが良い癖の、イマジナリーフレンド的な、ゆるキャラっぽい、なにか。
最近では、やむを得ない諸事情で更新が遅れることを謝罪されてる【なろう】作家さんの感想欄に出現したりしている。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
(*・◇・)ノ 黒木、貝包み屋さんになるの巻
「いやいやいやいや、なってないし、ならないよ! たぶん」
「「『たぶん』なんかいっ!」」
「「「「え~~!」」」」
「それよりも、いつの間にギャラリー増えてるんだけど!? なんで!?」
「そりゃあ、黒木が教室で良さげな物を作ってるのを見たら……ねぇ?」
「そうそう、何か良さげな……えーっと、御利益みたいな、不思議なパワーがありそうだし。ねぇ?」
「「「「うん!」」」」
「素直な子ばっかりかっ! うわぁ~~、『タダで楽しい国に連れて行ってあげる』って騙されて、ロバになったピ○キオみたいに悪者に売られて船に乗せられそう! もうダメだ~~」
「ピノ○オってロバになるんだっけ? ヤギかウサギじゃなかった?」
「キャンプファイヤーで間違えて燃やされて、復活したら人間になったんだっけ?」
頭を抱えて「ヤベェよ~」と悩む花さんをマルっと無視して、疑問を投げるイマちゃんとナナコ。
冗談ではなく、通常運転である。
「……うん、ピノキ○の解説は一旦横に置いといて 「いつまで?」 とりあえず明日まで 「わかった~」……はぁ……えっと、見学してるだけじゃないよね?」
「「「「もちろん!」」」」
ここは花さんの在籍する4組の教室。
他のクラスではないため、いつものように、
「ヽ( ・`◇・´) じゃっ!」
と、去ることが出来ない。
キラッキラな目をして集まってるのは、全員4組の女子。
逃げ場が無いため、詰みである ―――
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
「……と、とりあえず、貝殻と布を持ってくるまで、猶予は確保できた……」
「誰も使わない生徒手帳のメモページに、キッチリ依頼を書いとくのが黒木流」
「ねぇねぇ、後ろの黒板に『XYZ』って、依頼書き写していい?」
「いいわけないよ! 隙を見ては、美化委員の清掃活動日を『スイーパー』って呼ぶのも止めぇい! 書くなら自分の教室で書いてよ!」
「もう書いてる」
「ウチのクラスにも書いてる」
「これ以上書いてどうするのよ……」
「ファンだから!」
「なんとなく?」
「自分のクラスに帰れ!」
「「ほ~い、またな~」」
花さんの疲れたハートに、昼休み終了5分前を告げるチャイムの音が、虚しく響くのであった ―――
ヤベェのが多い私の体験談では珍しく貴重な、ほのぼのエピソードです。
(大事なことなので2回書いてます)
イマちゃん「(;゜ω゜)人 『ほのぼの』だけど!」
ナナコ「(;゜ω゜)人 『ほのぼの』じゃなかった!」
「「(;゜ω゜)人 ヤッバーい……」」
花さん「ト○ロの『芽が出ろお祈り』で私を拝むの止めぇい!」




