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13/13

13・片目のだるま 後日談 ★★★★★

時系列としては、『後日』談ではなく、当日談になります。

だるまが連れられて行っちゃった後、現場では……という状況の体験談です。

私個人としては、ある意味1番 ぞっ としました。


*おじさんたちの会話のテンポを崩したくないので、会話部分に方言などの注釈やルビを入れてません。

 もし、関西弁(大阪弁)の言い回しなどで、どうしても解らないものがあれば、感想欄にて対応させていただきます。

 だるまを乗せた車が離れて行くほどに、あれだけ重く暗く漂っていた瘴気(しょうき)(仮)は、引き剥がされるように消えていった。


(さらば、だるま。(めぐ)()い、宇宙……っぽい、カッコいいシチュエーション以外の再会は、お断りッス)


 去る物の怪(もののけ)は追わず……(はな)さんは妖しい物事に対して冷めてたり冷たかったりするのではなく、幼女の頃から冷徹にじっくり観察するタイプなのだ。


 あと、迂闊に手を出すと厄介なのと、「面倒臭い……」が、1番の理由だったりする。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



(ここの神様に【 管 轄 外 】って許否られてムカついたけど、予想外な事態で済んじゃったし、やっと帰れるぅ~!)


 巨大絵馬の写真を撮り忘れた父を待っていると、氏子(うじこ)半纏(はんてん)を着た男性数人が、運んできた巨大な五徳(ごとく)祭火台(さいかだい)らしき場所に乗せようとしている。


(そういえば来週末に『どんど焼き開催』って、案内板に貼ってたな~。五徳、デカっ!)


 なんとなく見ている花さんの前で、氏子の男性たちは手慣れた様子で五徳の中に積んだ(まき)に火を起こし、【焚き火休憩所 どうぞ暖まりください】と書かれた小さな立て看板を横に置く。


(へ~、こういう お接待もいいなぁ~)


 ちょっとやさぐれていた花さんは、温もりに ほっこりしていたのだが ―――



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「見たか?またアイツ来とったやろ」

「あぁ、来とったなぁ。何回目ぇや、アイツ」

「俺が役持ちなってからやから、えぇっと、何回目やったかいな」

「ほら、お前んとこの上の孫 生まれた年に初めて来よったやろ。せやから、あ~、今年で5回目ぇか」

「いや5回ちゃうで、アイツ。6回やで」

「あぁ~、ウチとこだけでほんなになるか。ほなもう、20年越えとんのか」

「そやなぁ、20年、ハタチやな」

「あんなハタチは要らんで! (笑)」

「「「そやな! (笑)」」」



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 何気無い、おじさんたちの世間話 ――


 世間話だと思って聞けば、興味すら引かれない、他愛無い日常の内容 ――


 彼らにしかわからない内容なのだと思えば、通りすがり、行きずりの人々の記憶には、ひとひらの雪片(せっぺん)のごとく、たちまち消えてしまうもの ――



 その場に居合わせた参拝客の中、花さん1人だけが、その世間話に ぶるり と震えていた。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



(だるまのヤツ、どんだけ長いことウロチョロしてたんよ!! いや、自力でほぼ動けないから、ウロチョロできないんだけど! 持ち主から持ち主へ、流されるまま世の中を漂う……って、ヤシの実かっ!!)


 氏子の男性たちが話している『アイツ』が だるまのことだと気付いた花さんは、即座に心の中でツッコミを入れていた。



 あれだけの会話で何故、気付いたか……?


 ただの野生の勘である。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「そやけど今度のやつら、あんなんアカンわ。すぐ潰れてまうで」

「あぁ、あんなんはアカン。ウチ来る前から、もう呑まれとんもなぁ」

「もうちょい我ぁ持ってへんと、すぐにコロッとイテまうからなぁ」

「え、そんなすぐイテまうんかいな。前の人らぁ、自分らで持って来はったから、そんくらいのもんやと思うたわ」

「あぁ、あんさん、こん中で1番若いからや。さっきので、まだ3回目ぇやったな。その前の前の、5回前のんが、ホンマ、ごっつう、エラかったで……」



「……そやな、アレはエラいわ……」

「あぁ、あんなんなる前に、早よぅどっかに相談するなりしとったら、まだマシやったんになぁ……」

「喰われとる間は、目ぇも耳も使いもんにならんからな、周りがいくら言うても『邪魔すな!』て、大事に抱え込んで隠してまうもんなぁ」



「ワイな、あん時たまたま用あってこっち来とったんで、立ちおぅたんやけどな。何をどないしたんか、自分らぁでなんや色々やってもうたみたいでなぁ……そらぁ酷いもんやったで。もう今更祓ろうてもろても止めるんが精々で、そっからは どっしょうもないくらい喰われてたみたいでなぁ……色々ボロボロやったで…………たった4ヶ月や。4ヶ月でアレやで。半年もあってみぃ、みぃんな何もかも、きれぇサッパリ、消えてもうてるんや」





「そやからな、俺らの次の若衆のやつらに、ちゃんと最後まで言うて伝えて、家族のために忘れたらアカンのや」













「『あっち』と『こっち』は、仲良ぉしてても、絶対『あっち』に入ったらアカン、てな」














 花さんはその後、あのだるまには二度と遭うことはありませんでしたが、あのだるまより小さいサイズのだるまと、更に小さいサイズのだるまに遭遇するのでした。




 この話を思い出しながら書いてる時に、「だるまを見た海外からの旅行客が瘴気に惹き付けられて『COOL!ニッポン サイコー!』なヒャッハー状態で持って帰ったら、どうなるんかな? ……はっ!アイツ(だるま)英語解らへんやん!」と、心配しても仕方がないことを考えてました。




 まだ、この呪物は日本にいるのです。たぶん。

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― 新着の感想 ―
「だるまは縁起が良いもの」だというイメージがあったせいか、そんなものが呪物に成り得ると言う事実がとんでもなく怖いです!! 呼んでいてふと思い出したのですが。 子供の頃、親戚から小さな手のひらサイズの…
>花さんはその後、あのだるまには二度と遭うことはありませんでしたが、あのだるまより小さいサイズのだるまと、更に小さいサイズのだるまに遭遇するのでした。 ト○ロ……!?
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