11・トイレの○○さん 6 後日談
【トイレの○○さん】最終回です。
「トイレに借り暮らしする小さいおっさんが不思議な力(お尻限定)で町中に夢と希望を振り撒くハートフル・メルヘン・ファンタジー」
「「「長いわっ!」」」
「メルヘンさんとファンタジーくんが安売りされてる~」
「は、ハートフル……ぷふっ(笑)」
「じゃあ、ロマンシング・クエスト・ファイナル・サーガ」
「「「「盛りすぎ!」」」」
「どれにしても、真のラスボスは花丸」
「「「「安定の魔王ポジション」」」」
「誰が魔王だよ!!」
―― 花さんが新聞部から『トイレのおっさん』調査依頼を請けてから2週間。
一見、普段通りのヤマト高校であったが、水面下で密かに拡がる『小さいおっさん』の話題は、知る人ぞ知るフィーバーなフェスティバル状態であった ―――
◆ ◇ ◇ ◇ ◇
「おっさん、大人気の巻」
「おっさん、モテ期到来」
「おっさん、モテモテ天国」
「おっさん、おもてなし天国」
「おっさん、接待祭り」
「おっさん、超VIP対応」
「あ~~、あと何かあった?」
「え~~? もう無いんじゃない?」
「あ、あれは? 『おっさん、魔法使いになる』と『賢者になる』は?」
「「「「「それは違う」」」」」
―― まことしやかに話される『奇跡(お尻限定)』騒ぎを、「なんだか凄いことになっちゃったね~」と、花さんたちは のんきに眺めていたのだった。
◇ ◆ ◇ ◇ ◇
「酒井~、新聞部の依頼のレポート書いたよ。一応」
「おう、ありがと……一応!?」
「うん、一応。簡易版の呼び出し方法と、トイレの小さいおじさんの簡易情報だけで、詳しく書いてないから」
「なんで簡易!?」
「え、詳しく書いたら検証するでしょ?」
「そりゃあなー」
「行方不明になっても、私は責任とれないから」
「……え?」
「なにしろ相手は、メルヘンやファンタジー世界の住人だよ? こっちの常識どころか、存在するための理が根本的に違う生き物なんだよ」
「えぇ……」
「そんな相手だから、こっちの都合や予定なんて『そんなの関係ねー!』だし、『いつ行くの? 今でしょ!』とか、『いくよ。いいよね。答えは聞いてない』だったら困るでしょ?」
「は……」
「一緒に楽しいお茶会で3時間が、家に帰ったら行方不明で3ヶ月経ってるのは、さすがに困るもんねぇ~」
「…………」
「歓迎会でキャッキャッウフフと楽しくて、ウッカリ2泊3日。お土産持って地上に戻ったら300年だもんねぇ~」
「………………」
「自分たちが知りたかったことだから、本当のことだから良いだろうと、何でもかんでも暴き立てて最後まで全部書いて良い事と悪い事の判断ミスとリスクがどれだけの危険な行為か全く想像もしていないとは本当に嘆かわしい……ご理解頂けたかね? 敏腕記者くん」
「……あ、あぁ、うん、はい」
「うむ、解ればよろしい」
―― 何処かの紅茶好きな警部殿のように、酒井をノンブレス説教で納得させた花さんであった。
◇ ◆ ◇ ◇ ◇
――― 2ヶ月後。
「あ! 黒木っちゃん! たいへん! 『黒い人たち』が来るかも!」
「おはよう坂もっちゃん。え、黒い人って……まさかウチの高校、宇宙人いるの?」
「いや、宇宙人じゃないけど、『ちいおじ』が全国デビューするかも。『む~』さんで」
「は? 『む~』さんにデビュー!? なんで!?」
「カトパン先輩がやらかしたアルヨ」
「アイヤ~~、カトパン先輩、やらかしたアルカ~」
友人の坂元さんと共に、眉間を揉みながら天井を見上げ、「アイヤ~、大変アルヨ~」と、呻く花さんであった。
◇ ◇ ◆ ◇ ◇
ミステリー雑誌『む~』に、たった一行、されど一行。
『(略)そして、とある高校のトイレで何度も目撃されている(略)』
未確認とはいえ、ほぼ確実な出現情報として掲載されてしまった、小さいおじさん兼お尻の神様(暫定)の記事。
普段は仕事ができるクール女子なのに、大好きなミステリー関連情報、しかも自分が通う高校に何度も出現しているとあって、滾る好奇心で興奮のあまり、つい、アンケートハガキに書いて投函してしまった、新聞部副部長・加藤さんは、部室のソファーの上で頭を抱えて のたうちまわっていた。
「ふおぉぉぉ~~!! やっちまったよぉぉぉ~~!! 夢だけど夢じゃなかったよぉぉぉ~~!!」
部員たち、ドン引きである……
「な、なぁ加藤、『とある高校』だけなら、ウチの高校ってバレねぇよ。いい加減落ち着け。パンツ見えるぞ」
「パンツなんてどうでもいい!!」
「よくねぇよ!」
加藤さんを宥めようと声をかけた部長に、ソファーからガバリと起き上がった加藤さんは、見えそうで見えなかったパンツよりも重大な事実をカミングアウトする。
「『む~』さんから取材のお知らせがきた……昨日」「「「「「えええぇぇぇ~~~~!?!?」」」」」
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
「「「「「えええぇぇぇ~~~~!?!?」」」」」
「え、マジ? マジで載ってる!」
「ちょ、どうすんのよコレ?」
「『む~』さん来るの? 『ちいおじ』見学に」
「見学というより、観察?」
「『ちいおじ』、丸裸にされるの巻」
「「「「「全裸は要らん!」」」」」
「ただでさえ今現在、限り無く全裸に近い褌一丁の寒そうな姿なのに、更に全裸にしてどうすんのよ……」
「みんな、一旦落ち着け。加藤先輩もさすがにやり過ぎたと反省して、もしもの為に事務に掛け合ったんだけど、『校内の撮影は許可出来ても、トイレを24時間撮影するのは、意味がわからないから許可が下りない』と言われたんで、お断りの手紙を書いてるって」
「それなら安心」
「ちょっと残念だけど、これ以上の大騒ぎにならなくて良かった」
「うん」
「『ちいおじ』、デビュー戦ならず」
「いやいや、『ちいおじ』が『サ○タフェ』の表紙みたいになってる写真が出たらどうすんのよ」
「「「「「ぶふぅっ!!(笑)」」」」」
「い~や~、想像しちゃったよ~」
「いやぁ~、気持ち悪い~、鳥肌立った~」
「ぐふっ(笑)……さ、サン○フェを出してくるとは、さすが花丸……」
「あははははっ!!」
「『ちいおじ』すら、お笑いネタにするとは、さすが花丸、魔王の所行」
「「「「「それな」」」」」
「誰が魔王だよ!失礼な!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
その後も、UMA……妖精、小人……神様(暫定)……|イマジナリー・フレンド《妄想のお友だち》なのか、よくわからない謎で不思議な存在の『トイレのおっさん』は、ヤマト高校に現れ続け、生徒や教師たちのお尻に小さな幸せを与え続けたのだった。
「それはそうと、『ちいおじ』って略称、いつの間に付いたん? あの有名なキャラクター企業からクレーム来そうなんだけど」
「所謂、暗号名?」
「暗号名? コードネームとか似合わないなぁ」
「コードネーム、カッコイイ!」
「小さいおじさんは北の国から来たスパイだった件」
「あの装備で!?」
「ネギの代わりにカモに乗って?」
「メルヘン鍋かっ!」
「見つめていたカモメに乗ったおじさん、冬の津軽海峡を越える」
「演歌かっ!」
「マグロに乗った中年」
「マグロの価値が下がりそうだよ!」
【む~】さんには『これらは引き続き調査を続行します!(略)』と、他の噂関連の記事とゴチャッと合わせた予告っぽい編集後記みたいな1ページに纏めた形式の掲載でしたが、マジで現地取材に来るのかとドキドキでした……(汗)
私の実話ネタが雑誌に掲載されたのは、これで3度目だったりします(笑)
(学年別学習誌とアニメ情報誌)
次回は『呪物を見た話(仮)』です。
サブタイトルが中々決まらず、ゾワッと不気味なほうかな♪と思いましたが(←オイッ!)、判りやすくスッキリなほうに決まりました。
次回から目次で見付けやすいように、呪物関連の話のサブタイトルの後ろに『★(黒星マーク)』を入れます。
例 低級:★
特級:★★★★★
Q:本物の呪物の話を書いて大丈夫なんですか ?
(*´◇`)ノ A:大丈夫大丈夫、書いちゃダメなお話の時は、花丸の自主規制さんが仕事する(物理)から、書いてもえぇんやで~




