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僕は君たちが好きなんだ  作者: セルセ
虹の箱舟編
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23/29

自由時間

 頂点三人は青の頂点により反省会することなり、アッシュと二人で明日まで自由行動ということに。久々の虹の箱舟。雰囲気も変わっていない、服装も当時のままのためあの日に戻った気にもなる。

 あとはアルクがいれば。


「しっかし、俺ら二人だけか。バロンさんいるからどうにかなるって気がしていたが一気に責任が」

「やるしかない、だろ」

「そりゃそうだ」


 食堂に到着、コハクとローズの姿があった。食事を注文し、お互い食器を持ちながら彼らのところへ。

 


「あ、お疲れ様っす」

「ネル様は?」

「反省会、しかもネルが原因で」

「えっ、何したの」

「バロウを殴って、ちょっと問題がね」

「うわー、まあ座りなって。アッシュさんも」


 座りながら「すげー、マジで映画のまんまじゃないっすか」と、大げさに驚いている。

 

「クロウくんからちょくちょく聞いてるけど一応自己紹介しよっか。私はローズ」

「コハクっす」

「アッシュです、こいつとの仲の良さはさっきじっくり見せてもらったよ。明日はよろしくお願いします」

「よろしくっす」

「よろしく」


 挨拶も終わったところで、すでに食べ終わっている二人の視線がアッシュに、じろじろと見ている。

 

「アッシュくんは、「ブレードガンナー』の最新作のマネ、やってたんだよね?」

「そうっすね。うん」

「10日くらいかかったって聞いたけど大変だったね」

「15日です、はっきり覚えています」


 それを聞いた二人ドン引き。その話は盛り上がると思ったんだけど。

 

「ちょっと、愚痴っても良いっすか」

「どうぞっす」

「むしろ聞きたいよ」


 アッシュが愚痴か、初めてかもしれない。


「ローズさん、あれカットして取った別シーンですよね?」

「そりゃね、一発撮りなんてしてたら終わらないし」

「コイツも! アイツも! 最初はそのシーンだけだよなって聞いても一発通しでやれってずっと言うんっすよ」

「俺も言ったっけ?」

「言った、絶対に言ったね。この肉をかけてもいい、食べるけど」


 そういって肉を口に含む。アッシュが愚痴るの、なんか新鮮かもしれない。

 でもやっぱりあの時のこと根に持ってたのか、『ブレードガンナー』の話題が出そうになると話題を逸らそうとしていたような記憶がある。

 

「一発通し? でもあのシーンで君がやるところって最後の部分だったシーンだったような」

「そうっすよ、最初聞いてて不思議に思ったんです、そこ。『ブレードガンナー アウェイク』久々の新作で尺も68分。手のかかっている戦闘シーンが2箇所。1か所目は二人だけっぽいなと安心して、最後の戦闘シーンに3人ならやれるとか言いそうなシーンがあって当時は戦々恐々としてたっすよ」

「君、そんなに詳しく。結構見てるね」

「もちろんっす。問題のシーン、98秒の内67秒後に6秒しかない。それだけのために俺は誘われました。実際は嬉しかったんすけどね。当時は」

「うんうん、それでどうだったの」


 ローズの笑みを浮かべて興味津々。隣のコハクも聞き入っている。俺も聞き入っている。アルクと一緒なのに好きなのは知っていたが、そんな細かい情報すらすらいえるほどか。


「それまでずっとバカ二人のごちゃごちゃしているのを見てただけだったけど、楽しかったのは3時間くらい。そこから5日、5日も出番なく見ていたんだよ、しかもどんどん機嫌悪くなるしさ」


 二人の視線がこっちに一瞬向いた。何をしてるんだと言わんばかりの睨み。

 ここにきてからアッシュのせいでネルも含めて三人から評価を落とされてばっかりな気がする。


「6日目初の俺の出番、その日は調子が良かったんだ。一発で成功したんだそのシーンは。でも、そこから続く25秒は11秒で失敗。そっから2.3回あった気がするよ。正直、先にそのシーンも練習してくれと思ったけれどそんな雰囲気はなかった。そこから俺が失敗すると二人は見て言葉はアルクが口喧嘩してガラガラになってる声で『次!』って鬼気迫る声、思い出そうとするとまだ聞こえるんだ、その声」


 俺も思い出す、ミスが続くと喧嘩する気力もなくて口数減っていって、彼女の次って言葉の語気強くなる。

 あったなあ、懐かしい。

 

「それでもどんどん成功率が上がって15日目。終わった瞬間、解放感でハイタッチしたよ。それからはバカ二人が『ブレードガンナー』の話をしようとしたら席を外すか話題を変えてたんだ」

「なんか、ごめんね。今日もつらかったんじゃない?」

「そんなことないっすよ。映画にもローズさんにも罪はないから、あるのはこのバカ二人が映像取る設備がないからって一発通し、しかも実弾で再現しようってごっこ遊びしているのりでいう非常識さが招いた地獄、ですね」

「え、そんなにか」

「クロウさんがそれ言ったらだめっす」

「うん、君はバカ」


 楽しそうにやってたような気がするのにな。捏造? 疲れでおかしくなっていたのか?

 

「そっかぁ、でも残念。次の新作で誘おうかと思ったけど、トラウマ呼び起させるみたいで」

「いや、良いっすよ。全部実弾とか、一発撮りとかじゃなかったら」

「ないない! そんなことやったりしたら死人がでるって」

「なら良いっすよ。憧れの人なんすよ、ローズさんは」

「へえ、君もアルクちゃんみたいな感じ?」

「うーん、二年前からずっと惚れていた、みたいな」

「ちょっと、怖いよー。ストーカーとかならないでよ」

「むしろ守りたいっすね」

「ふふっ、そのためにも頑張らないとね。明日」


 力強く頷く。みんなも一緒だ。

 

「じゃ、私はそろそろ。ネル様が戻って来てるかもだし」

「あ、俺も席を外す

っす。アッシュさん。あの時励ましてくれてありがとうっす」

「ああ、気にすんなって」


 そういって二人は席を立ち、お互いに手を振りながら去っていく。

 

「コハク、励ましてくれたのか?」

「ん? さっきの話か。そんな大層なもんじゃねえって。やれることやりきったんだから、しっかりしろって言っただけさ」

「なるほど、ありがとう」

 

 お互い食べ終わり、これからどうするかと思った矢先、アッシュが口を開く。

 

「ローズさん、いい女だよなあ。綺麗でさ、すごい良い香りするし」

「まあ、うん」


 たまにあるこういう話題。いつもはアルクが居ないときやってたなぁ。正直反応に困るが、その目的も分かってはいる。

 

「実際の銃の扱いすげえんだろ?」

「確かに、そうだな」

「なんだよノリ悪いな。いつも悪いけどよ、今回は特に」

「ローズのことは、別に良いんじゃないか」

「別に? 何が別になんだ」

「話、終わりにしないか」

「しない、今回はしない。実際どうなんだよ」

「どうって、良いとは思うよ」

「俺が言ってほしいこと、分かるよな」

「……わかる」

「赤の頂点も、ローズさんもだがまだ線引きが怪しいなって思えてくるんだよ。傍からみてると」

「さっきも言ったろ。もう考えてる」

「だったらはっきり言えよ、俺はずっと待ってるんだぜ、友達として」


 まただ、視線の圧。語気は強くないのに、決断は迫られている。

 分かってる、けど口にするのは怖かったその言葉を。


「明日、告白する。恋人になろうって」

 

 言いを終えると緊張が走って、ついペンダント触ってしまう。

 

「やっとかー」


 あきれるように声を漏らす。

 

「じゃあ、俺がローズさんに決めても、良いよな?」

「それは、なんか嫌だ」

「妬いてんのか?」

「うーん、知り合い同士ってのがむずがゆくて」

「お前なあ、それを言ったらこっちだって一緒だぜ?」

「それも、そうか……ごめん」

「良いんだよ、お前がそう決めたんなら応援する。だから、な?」


 圧がすごい、今まではここまでひどくはなかったのに。

 俺が決断したから? でもそれにしたって今すぐやらないといけないことなのか。

 

「嫌だ、今のお前と話したくない」

「ならば手伝わん」

「ここでそれは、本気か」

「どう取ってもらっても結構だぜ」


 口元は笑っているけど目は笑っていない。逃げるのは、無理か。

 

「わかった、わかったよ」

「よし! じゃあ俺の部屋で話そ――」

「二人とまだいたー! よかったー!」


 ローズの声。そばにはネルがおり反省会は終わったようだ。

 危なかった、聞かれてたらローズの情報を売ろうとしていることがばれてしまう。

 

「クロウくん、青が話したいことがあるそうです。さっきの部屋に行ってください」

「え、アッシュは?」

「いえ、あなただけで大丈夫ですよ」


 嫌だ、このタイミングで行くのはすごく嫌だけど断れない。

 

「いってらー」

 

 満面の笑みて手を振るアッシュ、すごくムカついた。

 

「わかりました」


 感情を押し殺して返事をし、さっきの部屋へと向かった。


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