再び目覚め
白い光だ。前より薄暗い気がする。
でもそこからは何も映らない。
消えた。静か。怖くはないけど、何も感じない。
また白い光だ。続けて青い光、赤い光、黄色い光と続く。
懐かしい、アルクとアッシュとの日々。四つの色に彩られてより鮮明に見える。
コハク、ローズ、ネル。『シアン闘劇』から始まって、『ブレードガンナー』のショーやったり、脱走したり。短い日々だったけど、濃密な日々だった。
そしてそのまま立った二日の旅。でもより深く仲を得た旅だった。
そして、アルクと黒の頂点に出会って……
映像は巡る。日々を刻むように繰り返し繰り返し。
白色になった
「ようやくだ、調子はどう? おっと返答できないか」
青色に変わる。
「全く、何をやっている。これからが本番だぞ」
k
黄色に変わる。
「君は本当に面白い。みんなが君のために、当然僕もね」
赤色に変わる。
「ありがとうごさいます。待っていますよ」
白色へ再び変わった。
「君の物語は長かったかな、短かったかな。でもそんなことは関係ない。みんなが待っている、みんなが力をかしている。だから僕は、僕らは君たちが好きなんだ。だから始まるよ、彼女を助ける、たった一つの目的だったものがたりをさ」
〇 〇 〇
急だった、音が、光が入ってきた。天井を見ている、この感覚には覚えがある。
違ったことは騒がしさ、周りにすごく人がいる。コハク、ローズ、ネル、黄の頂点にバロンも。
「えっと、どういう状況」
コハクとローズは泣いてるし、ほかのみんなはそもそもどう声を掛けたらいいものか。
その答えにバロンが「感謝するといい、今はそれで充分さ」こういう時にこの人は本当にありがたい。
「みんな、ありがとうございます」
いつの間にか黄の頂点が消え、青い少女が着て「あとで彼の案内で私の私室に来なさい」指さした先には見覚えのある男が離れたところに立っていた。
「アッシュ! アッシュなのか」
目が青色になっているが間違えるはずはない。
「よっ、ようやく会えたな。いつまでも待ってるからよ、先にそっちのお友達との話をすましときな」
ローズ、ネル、コハクの三人がそばに。ローズはまだ泣き止んでおらず、ネルが介抱していて離せそうになさそうだ。
「いやあ、よかったっす。どうなることかと」
「実は、記憶がないんだ。アルクに抱き疲れて、しかもそれが黒の頂点でってところで」
「あー、それはそうっすね。さっきまで……死んでたっすから」
「え、えーっと」
「ごめんっす、俺もそこの事情がわかって無くて」
彼の後ろからネルが「そこの事情は頂点たちが説明しますので大丈夫ですよ。コハクには良く感謝しておくのですよ、ここまでほとんど彼が連れてきたのですから」と言葉を付け加えた。
「ありがとう」
大げさな笑みを浮かべると向こうも恥ずかしそうに笑みをと返してくる。
「じゃあ、アルクはまだってことか」
「そうっすね、そこも後で説明があると思うっす。あとはこれを渡して置くっす」
手のひらサイズの蓋のついた箱。中を見るとぐちゃぐちゃになった何かが入っている。よく見るとブレスレットの残骸、アルクにもらったペンダントのチャームは少し欠けや傷があったが形状は保っている。
「床に散らばって、それだけしか拾えなかったっす。でも持っておいて欲しいっす」
付けているブレスレットを見せながら「旅の証っすから」嬉しそうにいうその言葉は胸を刺すものを感じた。
「ああ、そうだな」
「それじゃ、俺はこの辺で退散するっす」
「みんなは一緒じゃないのか」
「自分らには聞かせられない話があるそうで、近くで待機してるだけっすら大丈夫っすよ」
「わかった、じゃあな」
彼が部屋を出ていき、ローズとネルはまだ介抱している状態。
「ほら、いつまでも泣いてはいけませんよ」
「はい、すみません」
鼻声のローズ。顔を見るとうつむいてしまう。
「ごめんなさいね、あの時アルクちゃんの一番近くに居たでしょう。止めれたかもしれないってずっと泣いてて」
そういう理由で、あれはどう考えたって、自分が足を止めたせいだっていうのに。
「ローズ、上で話しているときのアルクはどうだった」
「楽しそう、だったよ。普通の女の子。無邪気だけとクロウくんのことだと、嫉妬、するし」
「アルクってさ、女の子の友達とかもいないんだよ。俺も人のこと言えないけどさ。だから一緒に話しているの見てて正直嬉しかった」
「うん」
「だから、あの時、帰るってなった時。みんなを見てただろう。だからあの時、みんな好きだったんだと思う。黒の頂点も最後はやってくれたけどさ、それまでの雰囲気は誰も憎んでなんてなかった」
「うん、うん」
「俺はちゃんとここにいる。アルクだっている。なんだったらあそこに立ってるの。彼がアッシュだ。みんな揃ったら『ブレードガンナー』できるよ。全部」
「あれが、アッシュくん?」
『ブレードガンナー』の単語を聞いてアッシュが彼女を指さした。彼女のことを気づいてなかったのか、大げさにガッツポーズ。
「あはは、良いね。約束だよ」
「ああ、約束するよ」
「ありがと、気を使わせちゃって」
「そんなつもりはなかったけどな」
「そういうところだよ! もう!」
席を立って彼女は去っていった。
「ありがとうございます、ローズちゃんを励ましてくれて」
「お礼を言うのはこちらでしょ。何となく記憶があるんです、赤い光が何かを言ってくれたことを」
「じゃあ、貸し借りなしということで」
「ですね」
「それでは行きましょうか、立てますか?」
上体を起こす、服装がここではいつも来ていた白の服になっている。他は義手も何も変わりはなく、足りないのはブレスレットとネックレスと大剣。
ベッドから立ち上がるが身体に異常は感じない、むしろ良いくらい。
「問題なさそうです」
「では行きましょう、お待たせしました」
「いえ、友人は大切ですから。ちゃんと話せるときに話しておかないと、後が辛いってこと結構あるんすよ、な?」
「耳が痛いな」
「話したい事いっぱいあるんだからな! 覚悟しとけよ!」
「はいはい、俺だってあるさ」
「ふふ、本当に仲がいいのですね」
「嫉妬してるんだろ、さっきまで色々見せられたから」
「あ、うぜえ! その癖は相変わらずだな」
「癖?」
「欲しそうな言葉を相手に言う癖、鈍感なんだから気を付けろって」
「お前のアドバイス通りにしたつもりだったんだけど」
「……なんか言ったっけ?」
「相手の気持ちを考えろ、何回も言われたからな」
二人そろって「は?」と呆れた声。
「え? どうしたの?」
「アッシュさん、あなたとは何か噛み合うものを。道すがら、クロウくんの過去話をあなたの視点で聞きたいのですが」
「さん付けとんでもない、くんでも呼び捨てでも良いですよ。ネルさん」
「アッシュくん。よろしくお願いしますね」
笑いあっている二人、楽しそうにしているからいいのだろうか。何か嫌な予感がする、仲が悪いよりはいいんだけども。




