幕間 門出の乾杯
月灯りの樽で、アイリスはサラに笑顔で報告した。
「無事に、相棒ができたよ」
サラが杯を傾けたまま固まる。
その目が、だんだんと潤んでいく。
「アイリス、おめでとう!」
杯が飛んだ。
それを片手で受け止め、アイリスはサラに抱擁を返す。
「やっぱり、リオさん?」
「うん」
「そっかあ……アイリスが、リオさんと……よがっだよう」
泣きすぎて、言葉が変になっている。
アイリスは苦笑しながらサラの背をトントンと撫でた。
「それで、どんな感じだった?」
「うん。すごくてね」
リオと会ってからの出来事を話し始めると、思いのほか内容が濃くて、止まらなかった。
最初は真面目に聞いていたサラは、次第に笑いを堪え切れなくなって大笑いし、最後には真顔になっていた。
「リオさんは、誰にでも優しいって知ってるけど……いざ組んだ話を聞くと、なんか思っていたのと違った」
「え?」
サラが腕を組む。
「よくそれだけ振り回されて平気ね。私だったらとっくにブチギレてるよ」
「それがね……結構楽しいんだ」
振り回される。そう思うから、怒りたくなるのだ。
「一緒に乗っかれば、面白いこともたくさんあるんだよ」
自然と笑みがこぼれる。
「あああ!私のアイリスが毒された!」
「そんな大袈裟な」
「ほら!そういうところ!」
サラが頭を抱える。
アイリスは苦笑するしかなかった。
「それで、パーティー名を考えたんだ」
「霜華の剣姫と黎閃のパーティーかあ。よく考えると、すごいね」
アイリスは慌てる。
「その二つ名、やっぱり広まってるの?」
「だいぶ前からだけど。知らなかった?」
なんということだ。
今度はアイリスが頭を抱える。
「それで、どんな名前なの?」
問われて、顔を上げる。
「双閃にするつもり。近いうちに、ちゃんと申請するよ」
サラが、笑顔のまま固まった。
「え……ずっと二人でいくつもり?」
「そうだけど?」
どうしてそんなことを聞くのだろう。
「私の言ったこと、覚えてる?」
サラが眉尻を落として尋ねてくる。
アイリスは、サラが自信満々に「リオなら大丈夫」と言っていたことを思い出し、笑みを浮かべた。
「もちろん。サラの言うとおりだったよ」
「……そう?大丈夫なら、いいんだけど……」
サラが改めて、杯を突き出す。
「では、アイリスの門出に!」
「乾杯!」
杯がぶつかる、乾いた音が響いた。




