22話 クウと料理スキル
「お待たせしました~」
しばらくして、クウが奥から出てきて俺達の座ってる机の所に来る。
「オーク肉のステーキになります」
クウがそう言って手に持った皿を置く。
「これって……」
シロがそれを見て少しがっかりする。
何せ俺達もオーク肉は焼いて食べたけど、おいしくはなかった。
もしかしたら、煮たり、蒸したりしたら味が変わるかと思っていたのだが、これだと前食べた時と同じじゃないか。
まだ今回は香辛料など使っているみたいだから前よりはマシかもしれないが……。
「どうしたんですか? 早くしないと冷めちゃいますよ?」
クウがそう急せかしてきたので、俺は覚悟を決めてオーク肉を一口食べてみる。
「…………、ウソだろ。 めちゃくちゃうまい!」
前食べた物とは別物かと思うくらい今食べたオーク肉はおいしかった。
「コウ兄、ほんと!? シロも食べる……。ほんとだ! おいしい!」
「では、わたくしも」
「わたしも食べます」
「……クロも……」
「どれ、わっちもいただくとするかの」
俺とシロが食べたのを見て、本当においいしいのだと分かったシュイ、セイ、クロ、レムも食べてみる。
すると、やっぱり思っていたよりおいしかったのか、みんな驚いているようだ。
「どうですか? 私これでも高レベルの『料理スキル』持ちなんですよ。
材料や時間があればもっとこった物で、おいしく作れるんですけど、お腹が減っているようだったので今回は早く作れる簡単な物にしたんですが……」
クウが感想を聞いてきたので俺は、
「いや、前にこの肉を食べたときは、こんなにおいしくなかったんだけど。
正直びっくりしたよ」
俺はそう言いながらクウの事を神眼で見てみた。
『クウ』 状態:封印
<狐獣人種・ランク1>
<HP> 320/320
<MP> 0/1200
<スキル>【火魔法LvMAX】【危険察知Lv1】【料理Lv9】
<ユニークスキル>
【???】【???】
「ぶっ」
俺はクウのステータスを見て、思わず吹いてしまった。
(いやいや、ちょっと色々突っ込みたいとこ多すぎだろこの子)
「どうされましたか? やっぱり私の料理は合わなかったでしょうか?」
クウが不安そうな顔でこちらを見てきたので俺は、
「いや、あまりにもおいしいから、急いで食べてむせちゃっただけだから気にしないで」
コンにそう返しながら、俺はコンのステータスを再度見て気になったとこを確認していく。
まずステータスは魔法型なのかMPがかなり高かった。
何故か、MPは 0 だったが。
次にスキルに関しては、『料理』スキルがLvがかなり高く、『火魔法』スキルに関しては、LvがMAXだった。
さらに、二つのユニークスキル持ちで、俺の神眼でも、詳細を知ることができなかった。
(どういうことだ?
火魔法をカンスト、さらに俺の神眼で分からないユニークスキル持ちだなんて一体何者なんだ?)
そして、一番に気になったのが、『状態:封印』だった。
俺は神眼で『封印』の部分を調べてみた。
すると、四神達の『封印』と同じで『強すぎる力を抑えた状態』という説明だった。
(考える点としては、封印が自身でしたものなのか、他者にかけられたものなのかだけど……)
「ちょっと変なこと聞くけどさ。
『封印』って聞いて何か思い浮かぶことある?」
俺はクウにかなり直球に聞く。
「封印ですか? そうですね。
思い浮かぶのは、昔に『勇者』が『魔王』を倒して封印したという話は聞いたことがありますが……」
クウは封印と聞いて、自身の事ではなく違う事を言ってきた。
(誤魔化している?
いや、クウの様子を見るに自身の状態について知らないのか?
というか、勇者や魔王っているんだ。 さすが異世界だな)
「ねぇねぇ。 なんでこんなにおいしいの?」
俺がクウのステータスについて考えていると、シロがクウに質問をする。
「知らないんですか?
料理スキルがないと魔物の肉などはおいしく調理できません。
それとスキルLvが高ければ高いほど、高ランクの魔物を料理できて、おいしく調理できるようになるんです。
普通の食材を使う場合でも、料理スキルを持ってる方が、おいしく作る事ができるんですけど……。
もしかして、どなたも料理スキルお持ちでないんですか?
オークの肉ならLv1でもおいしくできるんですけど……」
コンが俺達に料理スキルの説明をしてくれる。
「料理スキルって結構持っている人はいるのか?」
俺はクウに聞いてみる。
「そうですね。
普通の食材で料理していると得ることのできるスキルなんですが、女性の方だとLv1は持っていることが多いので……」
「いや、俺達はちょっと生まれが特殊なんでな。 料理はしたことがないんだよ」
「えっ? そうなんですか?(生まれが特殊ってどういう意味だろ?)」
なんかクウが考えているが、俺もクウのステータスには疑問が尽きない。
そんな事を思っている間に俺たちの目の前の皿からオーク肉はなくなった。
ちなみに食べている間に、簡単な自己紹介の方はしたので、お互いに名前の方は憶えている。
「おいしかったよ、クウ」
「ほんと! シロ、感動したよ。
生まれてきて最初に食べたのが、あんなまずいのだったから、余計においしく感じたのかな?
……そうだ! ねぇ、クウさん私たちと一緒に来ない。
コウ兄もその方がいいと思わない?
私たち誰も料理できないんだよ?」
「いや、流石に無理だろ。 なぁ、クウ」
「すみません。 私は亡くなった母のこのお店を継がなくてはなりません。
今はまだ私一人ですが、接客の人を募集中なんです。
ですので、そのお誘いには応えることはできません」
「いや、クウが謝る事じゃないさ。 そうだ!
店が開いたら絶対食べにくるからな」
「ありがとうございます。
コウキさん達は恩人ですからサービスの方期待してくださいね?」
「それは楽しみだな」
そしてその後、みんなで少し会話した後、店を出ることにした。
「だけど、ほんとに大丈夫か? また、あいつらがやって来るかもしれないけど」
「……大丈夫ですよ。
今日この後も、新しい雇用の面接をする約束があるので、一人にはならないと思いますし……」
「なら、いいけど……」
俺達は、この短時間で結構仲良くなった。 特にシロがだが……。
「じゃあ、またな」
他のみんなも一言二言別れの言葉を交わして俺達はクウの店からでたのであった。
虎の胃をかる狐。
名前の方を『クウ』に変更しています。
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