23話 宿探し
「よし。 お腹も膨れたし、これからどうしようか?」
俺達はクウの店を出た後、通りを歩きながら次にどうするかをみんなに聞いてみる。
ちなみに、クウの店の名前は『狐晴亭』と言って、店の名前が漢字で書かれていて、それをクウにどういう事なのか聞いてみた。
何でも母親が『二ホン』の国の出身だったらしく、その国の事を聞いてみたのだが、コンは物心ついた頃からこのミレハイムにいるらしく分からないようだった。
ただ、母親から『二ホン』の言葉は教わっているらしくいくつか聞いてみたが、やっぱり俺の知っている日本語と同じものだった。
(やっぱり、俺みたいにこの世界に来た日本人が作った国っていう説が強まったな……)
「コウキ様、本日はもうどこか泊まれるとこを確保された方がよろしいのでは?
私達は大丈夫ですが、コウキ様は少しお疲れのように見えますわ」
「えっ? コウキ様、疲れているのですか?
っというか私達って疲れるんでしょうか?
私全然疲れてないんですけど」
「ちょっとセイ姉。コウキ様を私達と一緒に考えたら駄目だよ」
「……セイ姉、……にぃ、クロ、ずっとおんぶしてる……」
「そうじゃの。コウキよ、おぬしこの世界に来たばっかりじゃろ」
確かに、移動する際、俺はクロをおんぶしているがそこまで負担には感じていない。
しかし、レムの言う通り俺がこの世界に来てまだ1日も経過していない。
現状の把握や、これからの事を考えないといけないしどこか落ち着けるところを探すというのは賛成だ。
「そうだな。 もうすぐ日も暮れるし、確かに少し疲れたかもしれない。
宿屋を探そうか」
確かに俺がこの世界に来る前は晩ご飯の後で、この世界に来てから6~7時間くらい経っているはずなので、前の世界ではもう深夜くらいの時間である。
そう考えると少し眠くなってきた感じもする。
そして、俺達は通りを歩いている人に聞きながら宿屋を探した。
お金はたくさんあるので、いい宿をとるつもりだ。
そうやって、俺達がたどり着いたのは1件の建物だ。
歩いている人にきれいな宿を聞いたら、みんなこの建物の事を言っていたが確かに建物もまだ建てて間もないのか、きれいでしっかりしていてよさそうだ。
俺達が建物の中に入ろうとすると、後ろから声をかけられる。
「あ、あの。 お兄さん達、宿を探しているのでしょうか?
でしたらぜひ、うちの宿に泊まりませんか?」
そう言って、一人の栗色の髪の女の子が声をかけてきた。
「うーん、君のとこの宿ってこの近く?」
俺が女の子にそう言うと、
「あれなの」
と俺達が入ろうとした宿の通りをはさんで少し離れた所にある建物を指さした。
入ろうとした宿よりは劣るかもしれないがそこもなかなかよさそうだった。
「どうしようか?」
「私達はどちらでも構いませんわ。 コウキ様のお好きな方でよろしいかと」
シュイがそう言ってきて、他のみんなもそれに頷く。
そうやって、俺達がきれいな方の建物の前で話していると、建物の中から一人の男性が出てくる。
「これは、これは。
もしかしてお客様でしょうか。
では、わたしが案内しましょう。 どうぞ、こちらへ」
と言って、建物の中に入れようとしてくる。
「ダメなの! お兄さん達はうちの宿で泊まるの!」
そう言って、俺の腕をとって引っ張ってくる。
「また、お前か、クソガキ!
毎度毎度、人のとこの客に声かけやがって……。
営業妨害でお前の所の親を訴えるぞ!」
「だって、この宿ができたせいで私のとこの宿に泊まる客が減ったってお父さんが言ってたもん!」
「そんな事はうちには関係ねぇな! ささっ、お客様方こちらへ」
「お兄さん達、うちの宿に泊まってお願い!」
女の子が俺を見て、うるんだ瞳でお願いしてくる。
「このクソガキ、いい加減にしやがれ!」
そう言って男が俺の腕をとっていた女の子を俺から引き離し、突き飛ばす。
「きゃっ」
女の子は小さく悲鳴をあげて、地面に倒れた。
「大丈夫か!?」
俺は突き飛ばされた女の子に声をかける。
「あっ、はい。 大丈夫です。 いたっ」
見ると足の方を少しすりむいているみたいだった。
俺はシュイに直すように声をかけて、突き飛ばした男に向きなおる。
すると男が、
「すみません、見苦しいとこをお見せしました。 では、こちらへ」
そう言ってくるが俺は、
「いえ、俺達はこの子のとこの宿に泊まることにします」
「えっ?」
男はなんで?って顔をしているが、当たり前だろう。
「すみませんが、失礼します」
男と話しているうちに、女の子の治癒が終わったようなので俺は女の子と一緒に、女の子の指さしていた宿に向かうのだった。
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