16話 ギルドの前のお約束
「すごいな…」
ミレハイムの門をくぐり、出た言葉は圧巻の一言だった。
外から見た横にのびる大きな壁の事を考えるとかなり大きな街だと思っていた
が、入ってみて並ぶ家々を見ると結構奥行きもあるみたいだ。
「えぇ、かなり大きな街の様ですわね。 それに人の数もかなり多いようですわ」
俺の言葉にシュイが答える。
「確かに人が多いな。 それにあれは獣人か?」
シュイの言ったように人が多いのはみただけで分かるが、その中には獣耳に尻尾のはえた人型もいる。
漫画やアニメでの知識ではああいった人型を獣人や亜人と区別していたと思う。
この世界での呼び方はまだ分からないが…。
「俺はシュイ達が俺と同じ姿をしているから、てっきり普通の人型の種族しかいないと思っていたけど、やっぱりいたのか……」
そんな俺の言葉にシロが、
「シロたちのほんとの姿は最初に召喚されたときの姿だから、この姿は仮の姿で、つけようと思えば耳や尻尾つけれるけど、どうする?
さすがに容姿までは変えられないけどね…」
「いや、シロ達は今のままでも十分に可愛いから今はまだいいよ」
今は人目もあるし、こんなところでいきなり美少女たちの姿が変わればみんなびっくりするだろう。
獣人バージョンはまたの機会だ…。
「それにしても、さっきから視線の方が気になるのう」
レムがそんな事を呟く。
やはり、四神達やレムは今はボロボロの防具を着ているが、元々の容姿がかなり上位の部類だ。
視線のほとんどは男性だから、そういう事なんだろう。
「…早く…着替えたい…」
クロが呟いたのを聞き俺は、
「じゃあ、ギルドに行く前に人のいない路地に入って、着替えるか」
もともと街に入る理由としてボロボロの装備にしているだけなので早く着替えることにする。
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少し歩いたところでちょうどいい路地があり人気もなかったので、俺達はそこに入ったのだが、後ろから人の気配がしたので、着替えるのはやめて後ろを振り返る。
そこには、8人のいかにもチンピラ風の男たちが、俺達を舐めるような視線で見ていた。
そのうちの1人が、俺を見ながら、
「おい、お前。金目の物と女は置いて、どっか行っていいぞ」
更に別の男が、
「まあ、見た感じ金目のものはなさそうだから、最悪女だけでいいぞ。
なぁに別に命までとろうってわけじゃねぇ」
そんな事を言ってくる。 俺は、
「あいにくだが、俺達は見た目ほど弱くはない。
お前らの方が怪我する前に消えた方が身のためだと思うぞ」
と、男達の心配をしてみたが、
「あぁ? てめぇらのどこをどう見たら強そうに見えるんだよ。
防具はボロボロだし、唯一の男のお前は、戦ったこともないような体つきをしている。
俺達はこれでも元々ギルドでDランクまで上がったこともあるやつもいるんだぞ」
それを聞いたレムが、
「Dランク? わっちを討伐しに来た人間は最低でもAランクは超えていたやつらばっかりじゃたがのう」
と俺達だけに聞こえるような声で言う。
俺は男たちを鑑定してみる。
一番強いやつのステータスはこんな感じだった。
『トンバーニ』
<人種・ランク1>
<HP> 420/420
<MP> 120/120
<スキル>
【短剣術Lv2】【盗術Lv2】
俺はそれを見て
(これ、もしかして俺でも勝てんじゃね)
と思ったが男達が刃物を取り出した時点で諦める。
刃物を持った人とやり合うなんて経験のない俺にはちょっと怖すぎる。
それを見てセイが、
「き、貴様らコウキ様に対して、無礼だぞ!
レム、私の武器をだせ! 成敗してくれる!」
俺はすかさず、
「ちょっと待て、セイ! お前が暴れたらここら一帯破壊されてしまうだろ。
手加減を覚えるまで、セイは戦うのは駄目だ」
「くっ、わかりました。 お前達、コウキ様に感謝するんだな」
それを聞いた男たちは笑い出す。
トンバーニという男が、
「聞いたか、お前ら。この男、女に守られてやんの」
「っ、貴様ら…」
「セイ、落ち着けって。 それにここは男として俺に任せてもらえないかな。
少し試してみたいこともあるし」
セイを再び抑えて俺は、男達に向き直る。
確かにチンピラたちの言う通り女性に守ってもらうっていうのは男としてプライドが許されない。
それに、少し試してみたいことを思いついたからだった。
(前にレムに使った時は動きを止めただけだったけど、ランクアップした今どうなるかな?)
俺は男たちに【神眼】の効果の威圧(中)を使ってみる。
すると、男達はいきなり泡を吹いて倒れた。
もう一度言う。
男達はいきなり泡を吹いて倒れた。
「はっ?」
俺の口から出たのは、そんな疑問の声だった。
「コウキ様。 たかが人間ごときに神眼を使うのはやめられた方がよろしいかと…。
下手をすれば心臓が止まって死んでましたわよ」
シュイが額に手をあてて呆れていた。
「あっ、この人心臓止まってるよ」
シロが男達をつつきながら、確認してたらそんな事を言ってくる。
あれは、確か男たちの中で一番ステータスが低かったやつだな。
そうか俺の神眼ってそんな危険なものだったんだな…ってそんな事を考えてる場合じゃなかった。
神眼で見たところ、HPが急速に減っているが、 0 じゃないので俺はシュイに、
「シュイ、蘇生できるか!?」
「まだ、心臓が止まって間もないので、蘇生するのは簡単ですが別にこのままでもよろしいのでは?
元々コウキ様の忠告を聞かないで絡んできたこの者たちに非があると思いますわ」
「それでも、俺はまだ人殺しにはなりたくないからな。 頼む」
「コウキ様がそう言うなら……」
そう言って、シュイは男の蘇生を始める。
(セイに偉そうに言ったけど俺も手加減できるようにならないとな…)
俺はそんな事を考えているとシュイの男の蘇生は間に合ったようで、他の男達同様気絶した状態で横にしている。
男達には悪いが目が覚めるまで付き合う理由もないので俺達は、ボロボロの装備から元の服装に着替えることにする。
レムの空間魔法のアイテムボックスは便利でわざわざ服を脱がなくても、装備をしまいながら、装備したい物をそのまま装着できて一瞬で着替えることができた。
四神達の場合も、レムが装備をしまったと同時に自分たちで服を生成したので、脱ぐ手間もなく一瞬だった。
門に入る前に、ボロボロの装備を着るときに四神達が服を目の前で脱ぎだした時は、びっくりしたがレムに魔法でどうにかできないか頼んでみて、できたので今後からはそうしてもらうことにしている。
四神達は気にしないと言っていたが、俺が気にするので却下だ。
ちなみに四神達の服装は、街の人たちを参考にして変えることにした。
セイはワンピースから街にいた女の冒険者が着ていたような、動きやすい恰好を参考に。
シュイは魔術師っぽい人が着ていたローブを参考に。
シロとクロとレムは最初に着た服装で問題なかったので変わらずにそのままでいくことにした。
流石にワンピース姿で槍を振り回したり、魔法を放ったりするのはおかしいから二人には服装を変えてもらった。
(私服だとワンピースでもいいんだけど今から行くのはギルドだからね)
そして、俺達は路地から出て、ギルドへと向かうのだった。
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