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元カノに刺されて始まった十度の転生:やる気ゼロのグダグダ旅なのに、なぜか世界を救ってしまう件  作者: 凪塩 未来


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第8話:うっかり伝説の剣をフリマで売ろうとして騒動になる

第8話をご覧いただきありがとうございます!


野営の夜を越え、のんびりとフリーマーケットを楽しむルイス一行。しかし、ルイスの荷物の中から前々回くらいのワールドで拾ったはずの「伝説の神王の聖剣」がひょっこり発掘されてしまいます。「換金すれば働かずに暮らせるのでは?」と、最悪すぎる発想で骨董品屋に持ち込んだ結果、町を巻き込む大パニックに……!?

ドタバタ必至の第8話、ぜひお楽しみください!

ぽかぽかと暖かい陽気の中、ルイス一行は次の目的地へ向かう途中、小さな街道沿いの町に立ち寄っていた。

今日は月に一度の、町外れの広場で開かれる「フリーマーケット(朝市)」の日だった。露店がずらりと並び、古びた食器や色あせた魔法の道具、焼き立てのパンの香りが辺りに立ち込めている。


「うわぁ、すごい賑わいですね! 先輩、あっちの屋台でスパイス入りの焼き肉串が売ってますよ!」

ルルアが目を輝かせながら指をさす。

「よし、お昼ご飯はそれに決定だな。エリス、財布の紐を少しだけ緩めてくれ」

「ちょっとルイス、昨日の晩ご飯のときも同じこと言ってなかった? お金は計画的に使いなさいよ!」

エリスが呆れたように腰に手を当てる。


そんなやり取りをしながら露店の並びを歩いていたときだった。

ルイスは自分の大きな革鞄の底の方で、ゴトッと重い音がしたのに気づいた。

「ん……?」

手を突っ込んでまさぐってみると、ひんやりとした金属の感触が指に触れる。引っ張り出してみると、それは黄金色の装飾が施された、柄頭に巨大な紅玉(ルビー)が埋め込まれた神々しい片手剣だった。


「……あ」

ルイスは思わずフリーズした。

それは第九回目の世界で、うっかり「これ邪魔だな」とゴミ箱に捨てようとしたところ、なぜか勝手にインベントリの奥底へ収納され、以来ずっとついて回っている伝説の神話級武器――『神王の聖剣ラグナロク』だった。

世界を軽く三回くらい滅ぼせるほどの莫大な魔力を秘めており、周囲の空気がピリピリと歪むほどのオーラを放っている。


「れ、連れ去られてたのかお前……」

「って、ルイス!? なにそれ!?」

隣を歩いていたエリスが、物凄まじい威圧感を放つ黄金の剣に気づいて飛び退いた。ルルアも「ひゃっ!?」と小さく悲鳴を上げてローブの裾に隠れる。

「いや、なんか荷物の底から発掘されて……」

「発掘って、なにその神々しい光! 剣自体がうっすらと発光してない!? それ絶対、王国の宝物庫か伝説の神殿に眠るべきやつでしょ!」

「そうだっけか。まあ、前々回くらいに拾ったんだっけか、これ」

「前々回って何なのよ! ……ていうか、そんな物騒で高価そうなものを、まさか無造作に持ち歩いてるわけ!?」


エリスに詰め寄られ、ルイスはふと、目の前にある露店に目をやった。

そこには「何でも買い取ります! 掘り出し物市!」と書かれた看板を掲げた、怪しげな骨董品の露店のおじさんが座り込んで、退屈そうにあくびをしていた。


「……そうだ」

ルイスの脳裏に、ひとつの「天才的なひらめき」が稲妻のように走った。

「これをな、このフリーマーケットで換金すれば、当分働かずに美味しいシチューと宿代が確保できるのでは?」

「はあああああ!? 何言ってるの!?」

エリスの絶叫が広場に響き渡る。

「いや、考えてみろよ。この剣、どう見ても素材の純度が高いだろ? 鉄くずとして売っても、あるいは『ちょっと豪華なレプリカの演劇用小道具』として売れば、金貨数十枚には化けるはずだ。そしたらもう、モンスター討伐なんて面倒な労働をしなくて済む!」

「そんなわけないでしょ! それを一般の骨董品屋に売ったら、町ごと消滅するような大騒ぎになるわよ!」

「大丈夫大丈夫、うまいこと値切られないように交渉するから」


ルイスはエリスの制止を完全に無視し、ズカズカと怪しげな骨董品の露店へと歩み寄った。

「おっちゃん、これ買い取ってくれ。いくらになる?」

ルイスが無造作に黄金の聖剣をドスンと木の机の上に置いた。


露店のおじさんは、最初だるそうに顔を上げたが、目の前に置かれた剣を見た瞬間――。

びくん、と全身を激しく震わせた。おじさんの髪の毛が恐怖と魔力で逆立ち、眼鏡がガタガタと音を立てる。

「ひっ……! こ、これは……! この圧倒的な神気と、世界の理をねじ曲げるほどの呪的負荷は……! ま、まさか……神話に伝わる『神王の聖剣』……ッ!?」

「お、目利きがいいな。で、いくらだ? 銅貨五十枚くらいにはなるか?」

「銅貨五十枚だとぉ!? こんなものをここに置いたら、王国騎士団だけでなく、大陸中の魔導士が全員発狂してここに雪崩れ込んでくるわっ!! お前は世界を滅ぼす気かぁぁぁっ!!」


おじさんは恐怖のあまり白目を剥き、そのまま机の下にひっくり返って気絶してしまった。

――ガヤガヤと、周囲の空気が急速にざわつき始める。

聖剣から漏れ出した微量の神気が周囲の魔力を乱し、フリーマーケットの空に突如として七色のオーロラのような現象が発生した。広場の真ん中で、道行く人々が「なんだあれは!?」「空が割れるぞ!」「勇者の聖剣だ!」とパニックを起こし、大騒動に発展していく。


「あーあ、気絶しちまったな。商売人としての根性が足りん」

ルイスはやれやれと首を振り、頭を抱えているエリスとルルアの方を振り返った。

「ほら、お前ら。警察(王国の治安維持部隊)が来る気配がするから、退散するぞ」

「人のせいよ!! あんたが余計なことするから大惨事じゃない!」

「走るぞルルア!」

「はい、先輩! 私、足手まといにならないように全力で逃げます!」


伝説の神王の聖剣を片手に、なぜかフリーマーケットで大パニックを引き起こしたルイスは、文句を叫ぶエリスを引きずりながら、見事な足取りでその場から全力で逃走するのであった。

――十一回目の世界でも、彼の平穏なスローライフへの道は、前途多難すぎるトラブルに満ちあふれていた。

第8話「うっかり伝説の剣をフリマで売ろうとして騒動になる」をお読みいただきありがとうございました!


世界を滅ぼしかねない神話級の聖剣を「銅貨五十枚のレプリカ」感覚で売ろうとするルイスの豪快(というか適当)すぎる金策、いかがでしたでしょうか。露店のおじさんが一瞬で白目を剥いて気絶したのも無理はありませんね。

周囲のオーロラ現象やパニックを尻目に、「警察が来るから逃げるぞ!」と一番に全力逃走をキメるルイスの姿に、エリスのツッコミのキレも最高潮に達しています。


無事にトラブルから逃げ切れたのか、それとも次の面倒事が待ち受けているのか?

第9話もお楽しみに!

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