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元カノに刺されて始まった十度の転生:やる気ゼロのグダグダ旅なのに、なぜか世界を救ってしまう件  作者: 凪塩 未来


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第6話:パーティーの財布事情と、二番目の仲間

第6話をご覧いただきありがとうございます!


神様からの雷が落ちた宿をあわただしく追い出され、所持金が銀貨数枚とすっかり「一文無しコース」に突入してしまったルイスとエリス。そんな絶望的な財布事情の前に現れたのは、怪しげなローブを纏うポンコツ魔導士の少女・ルルアでした。

果たして彼女は救世主となるのか、それとも新たな面倒事の種となるのか……? ドタバタなパーティー結成回をお楽しみください!

木製のテーブルに、銀貨が数枚と銅貨がパラパラと寂しそうに転がった。

「……これだけか」

ルイスは財布の底をひっくり返し、出てきた硬貨を指先でツンツンと突いた。

翌日の朝。宿の部屋の隅で、エリスが腕を組んで天井を仰いでいる。

「これだけよ。昨日の宿代と、道中で買った干し肉の代金を払ったら、今ある全財産はこれで全部。あと三日もすれば、完全に一文無しのお手上げ状態よ」

「マジか……。人生十一回目にして、まさかの野宿エンドがチラついてきたな」

「笑い事じゃないわよ! 昨日の今日であんたが神様に怒られてから、村の空気も微妙なんだからね。『神様に目をつけられた呪われた勇者』とか、よからぬ噂がささやかれ始めてるんだから!」

エリスはぷんぷんと怒っているが、その指摘はもっともだった。


神様の光の柱が直撃した宿の屋根は、少しだけこんがりと焦げており、宿のオヤジさんに「修理代は結構だから、早めに出ていってくれ……」と泣く泣く半額に値引きされて追い出されたばかりなのだ。


「仕方ない。こうなったら、どこかのギルドで日雇いの依頼でも受けて――」

「いや、労働は諸悪の根源だ。働いたら負けの精神でこれまで十一回やってきた」

「いつからそんな不名誉なモットーができたのよ! 働きなさいよ、十六歳の健康な男の子でしょ!」

ルイスが頭を掻きむしっていると、部屋のドアがコンコンと軽く叩かれた。

「――失礼します。あの、忘れ物を……」

おずおずとした、か細い少女の声が響く。


ルイスが振り返ると、ドアの隙間からひょっこりと覗いていたのは、煤けたローブを纏い、大きな三角帽子を斜めに被った小柄な少女だった。その腕には、自分の身長ほどもあるぶ厚い魔導書が抱えられている。

「おや、君は……昨日の夕方、食堂の隅でちびちびとスープを飲んでた魔術師の……」

「は、はい! 私、辺境の魔導士ギルドから派遣されてきました、ルルアと言います……っ!」

少女――ルルアは、びくりと肩を震わせながら深々と頭を下げた。見れば、ローブのあちこちに焦げ跡があり、いかにも「実験に失敗しました」という雰囲気を醸し出している。

「で、そのルルアちゃんが、こんな男臭い(俺は男臭くないが)部屋に何の用だい?」

「あの……昨夜、神様の光が落ちてきたとき、私、この方の近くにいたんです。それで……」

ルルアはごくりと唾を飲み込み、ルイスの顔をじっと見つめた。

「す、すごい魔力の残滓を感じたんです! 普通の人間なら魂が焼き切れるほどの神気の嵐の中で、この人は平然とシチューを完食していた……! 私、研究のために、このお方の側で修行させてほしいんです!」

「いや、お断りする」

即答だった。ルイスは秒速で首を横に振る。

「仲間が増えるとか、面倒くささのベクトルが倍増するだけだろ。お引き取り願いましょう」

「待みなさいよルイス!」

すかさずエリスがルイスの肩を掴んで揺さぶる。

「お金がないってさっき嘆いてたでしょ! この子は魔導士なのよ? パーティーに魔導士が加われば、ちゃんとした討伐依頼の報酬金が高い仕事を受けられるの! 財布の救世主よ!」

「だが、この子のせいで俺の安眠が脅かされる確率も跳ね上がるぞ」

「失礼ですね! 私、呪文書の解読とか、お茶くみとか、一通りできますから!」


ルルアが必死にアピールする。大きな瞳に涙を浮かべられ、これ以上冷たく断るのも大人の対応としていかがなものか――と、十回分の人生経験がルイスにささやいた。

「……お茶、美味いか?」

「は、はい! 特製のハーブをブレンドして、心も体もリラックスするお茶を淹れられます!」

「……寝心地のいいクッションの魔術とか作れるか?」

「お任せください、最高級の安眠結界を展開できます!」

ルイスの目が、わずかに輝いた。

「採用だ。今日から我がパーティーの専属チーフオブ安眠担当に任命する」

「やったぁ……って、何か思ってたのと違う気もしますけど、よろしくお願いします先輩!」


こうして、やる気ゼロの主人公、熱血すぎる見習い騎士、そして安眠とハーブティーを愛するポンコツ魔導士の三人が揃った。

財布事情は相変わらずギリギリだが、ルイスの周囲には、なぜか勝手に賑やかな仲間が集まっていくのだった。

「さて、じゃあまずは……その辺の森で、金になりそうなモンスターでもテキトーにワンパンして稼いでくるとするか」

ルイスは大きく伸びをしながら、相変わらず気だるげに立ち上がるのだった。

第6話「パーティーの財布事情と、二番目の仲間」をお読みいただきありがとうございました!


まさかの金欠エンドを回避するため、ルイスが選んだ基準は「お茶が美味いか」「安眠クッションが作れるか」という、どこまでもやる気のないものでした。ルルアちゃんの必死なアピールが綺麗にルイスのツボにハマり、無事に(?)三人パーティーが結成されましたね。

熱血騎士のエリスに、のんびり隠居志望のルイス、そして安眠担当(自称)のルルア。この噛み合っているのかいないのか分からない凸凹トリオが、これからどんなグダグダな道中を繰り広げるのか……。


さて、金策のためにモンスター討伐へと向かう一行ですが、もちろん一筋縄ではいくはずもなく? 次回もお楽しみに!

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