外伝 第4話:パーティーの日常――エリスとルルアの「不毛な」作戦会議
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ルイスの自由すぎる怠惰な生活に頭を抱え、どうにか「有能なパーティー」にしようと奮闘する(しかし結局振り回される)エリスとルルアの日常をお届けします。最強だけどやる気ゼロの主人公と、苦労性な仲間たちのコミカルなやり取りをぜひお楽しみください!
外伝 第4話:パーティーの日常――エリスとルルアの「不毛な」作戦会議
冒険者ギルドの片隅、木製の頑丈なテーブルを囲んで、二人の少女がひそひそと頭を突き合わせていた。
一人は燃えるような赤髪を揺らす見習い騎士のエリス。もう一人は、大きめのローブに身を包んだポンコツ魔導士のルルアだ。その視線の先では、昼下がりだというのに、ギルドの隅の特等席でルイスがテーブルに突っ伏して爆睡していた。
「ねえ、ルルア」
エリスが小声で、しかし切実なトーンで切り出す。
「このままだと、ルイスは本当にただの『寝てばかりの不審者』になってしまうわ。一応この世界じゃ『選ばれし勇者枠』なのに、最近の戦闘なんて『あくびしてたら魔王軍が勝手に消えてた』しか記憶にないんだけど」
「わかりますぅ……。先輩、昨日も『世界を救うより布団を救いたい』とか真顔で言ってましたし……」
ルルアがカップをカチャカチャと鳴らしながら、深い溜息をついた。
二人は、十一回目の世界でひょんなことからルイスのパーティーに組み込まれ、いつの間にか彼の「保護者」のような立ち位置になってしまっていた。最初は「頼りになる最強の英雄」だと期待していたのだが、蓋を開けてみれば、中身はやる気ゼロの怠け者。しかし、いざピンチになると理不尽なほどの圧倒的チート力で全てを解決してしまうため、突っ込みどころが渋滞していた。
「このまじゃいけないわ。私たち、もっとちゃんと『有能な仲間』としてルイスを支えなきゃ!」
「おぉ! エリスさん、素晴らしい発想ですぅ! 具体的にどうするんですか?」
「よし、こうしましょう。明日から『特訓メニュー』を組むの! ルイスが嫌がっても無理やり引っ張り出して、剣の稽古と魔法の修行を徹底的に叩き込むのよ! そうすれば、少しはやる気も――」
「あ、無理だと思いますぅ」
ルルアが間髪入れずに即答した。
「……なんでよ! 試す前から諦めないでよ!」
「だって先輩、昨日の朝も同じようなこと言って叩き起こそうとしたら、『次に布団を剥いだら、この街ごと宇宙の塵にする』って寝言で呪文詠唱してましたもん。本気でしたよ、あれ」
「……ぐっ」
エリスは言葉を詰まらせた。ルイスが本気を出したときの恐ろしさは、魔王軍の四天王を消し炭にした瞬間を間近で見ている彼女たちには痛いほど分かっている。下手な教育的指導を行えば、世界が平和になる前に自分たちが消滅しかねない。
「じゃあ、どうすればいいのよ……。このまだと、私たち、ただの『やる気のない最強男のお世話係』じゃない……」
「お世話係、いい響きですぅ……。あ、でも、先輩って甘いものと、ふかふかのクッションには異常に反応しますよ?」
「そこじゃないでしょ! 私たちが目指すべきなのは、もっとこう、肩を並べて戦うカッコいい冒険者パーティーなの!」
二人が机の下で頭を抱え合っていると、スゥーッと、ぐっすり眠っていたはずのルイスが上半身を起こした。
「……んぁ。なんか、俺の寿命が縮まるような不穏な悪口が聞こえた気がするんだが」
半開きのトロンとした目でこちらを覗き込んでくるルイスに、エリスとルルアはビクッと肩を跳ねさせた。
「な、なんでもないわよ! ルイス、早く起きなさい! 今日の昼ご飯、ギルドの特製肉シチューだから!」
「……肉シチュー? 肉がトロトロに煮込まれてるなら、起きてもいいか」
ルイスはのそりと立ち上がると、ふあぁと大きな欠伸を一つし、よれよれとした足取りで食堂のカウンターへと向かっていった。
「ほら見なさいよ、あの自堕落っぷり……」
「でも、シチューの話をした途端に起きましたよぅ。ある意味、ちょろいですぅ」
呆れながらも、どこか憎めないその背中を見送りながら、エリスとルルアは顔を見合わせて苦笑する。
記憶も、疲労も、やる気のなさも、すべてを抱えたまま、今日もこのどうしようもないパーティーは、なんとなく平和な日常を歩んでいくのだった。
外伝第4話「パーティーの日常――エリスとルルアの『不毛な』作戦会議」をお読みいただきありがとうございました!
「次に布団を剥いだら街ごと宇宙の塵にする」という物騒すぎる寝言で一発レッドカードを叩き出すルイスと、肉シチューの一言で秒速で釣られてしまう「ちょろさ」のギャップを楽しんでいただけたでしょうか。ツッコミどころ満載でありながらも、どこか微笑ましいこのポンコツパーティーの空気感が伝われば幸いです。
次回もどうぞお楽しみに!




