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元カノに刺されて始まった十度の転生:やる気ゼロのグダグダ旅なのに、なぜか世界を救ってしまう件  作者: 凪塩 未来


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外伝 第3話:神々の会議室――「またやったぞあの野郎!」の憂鬱

外伝第3話をご覧いただきありがとうございます!


本編の裏側で、ルイスの自由すぎる行動に頭を抱え、胃を痛めている「神々の会議室」のドタバタ劇をお届けします。最高傑作のトラブルメーカーに振り回される神様たちの苦悩と、ちょっぴりシュールなやり取りをお楽しみください!

神界、最高評議会。

大理石で作られた巨大な円卓の周りに、十数柱の神々が頭を抱えて座っていた。室内の空気は、言いようのない重苦しさと、抑えきれない怒りのオーラでピリピリと張り詰めている。


「……で。現状報告を頼む」


上座に座る、最高神の一柱――銀髪の老神が、こめかみを押さえながら低い声で言った。

その言葉を受けて、人事担当の女神がブルブルと肩を震わせながら、目の前の水晶ディスプレイを操作した。画面に映し出されているのは、十一回目の世界でまたしても綺麗に魔王を倒し、ちゃっかり夜逃げの準備をしているルイス・クラウドの姿だった。


「ひ、報告します……! 十一度目の世界において、ルイス・クラウドはまたしても、当方用意の『ドラマチック大激闘シナリオ』を完全に無視! 魔王軍四天王をあくび一つで消し飛ばし、挙句の果てには魔王と意気投合してお茶会を開くという暴挙に出ました!」

「知っとるわ!」

「聞いておるわそんなことはァ!」


円卓のあちこちから、神々の怒号が爆発した。

ある神は机を叩き割り、ある神は頭の輪っかを投げ飛ばし、別の神は絶望のあまり机に突っ伏して号泣している。

「なんなんだあいつは! こっちは緻密に計算された感動の勇者譚を! 仲間との絆と、絶望からの大逆転劇を演出しようと何ヶ月もかけて舞台を用意したというのに……!」

「あいつ、前回も前々回も、神殿の戒律を平気で踏みにじって昼寝してたぞ!」

「伝説の聖剣をフリマで換金しようとしたときは、さすがに心臓が止まるかと思ったわ!」


神々がここまで怒り狂うのも無理はない。

ルイス・クラウド――元・磯崎駆の魂は、神々にとって「最高傑作のトラブルメーカー」だった。

そもそも、彼を最初の世界で死なせたのは別の部署(恋愛トラブル担当)のポカだったが、その後「せっかくならうちの世界で英雄として活躍させよう」と引き抜いたのがすべての運の尽きだった。

特別な力(チート)を与えれば勝手にルールを破り、ピンチを用意すれば面倒くさそうに一撃で解決し、感動的な最終決戦を予定していれば「魔王と愚痴を言い合う」という斜め上の展開で台無しにする。


「もういい。十二回目の世界こそは、絶対に、絶対にあの野郎の鼻を明かしてやる……!」

最高神が立ち上がり、血走った目をギラギラと光らせた。

「次の世界は、これまでのファンタジー路線を一切廃止する! 魔法も剣もない、徹底的に理不尽な超ハードコア・サバイバル世界だ! 満足に寝ることもできず、常に過酷な選択を迫られる極限環境なら、さしものあの怠け者も本気を出さざるを得まい!」

「おおっ、いいですね!」

「今度こそ、泥まみれになって泣き叫ぶ姿を拝んでやろうではありませんか!」

神々の間に、黒い笑い声とリベンジの炎が燃え上がる。


だが、その輪の外で、一柱の若い女神――ルイスの担当付け人である新米女神が、冷や汗を流しながらそっと手を挙げた。

「あの……先輩方」

「なんだ、言ってみろ」

「その……過去の十一回の転生データ、全部解析したんですけど……」

新米女神はゴクリと唾を飲み込み、震える声で告げた。

「ルイス君、過酷な環境になればなるほど、『めんどくせぇから全部力づくで終わらせて早く寝よう』って言って、出力リミッターをバグレベルで外す傾向があるんですが……」


――シーン。

会議室の空気が、一瞬にして氷点下にまで冷え込んだ。


「……な、なに?」

「い、いや、例えば第四回目の世界『灼熱の死の砂漠と魔獣の王国』のときも、水がなくて面倒くさくなった彼が、適当に放った魔法で砂漠の地形そのものを変えて、魔獣の王ごと大陸を半分吹き飛ばした前科が……」

「……」

「第の七回目の『絶対的独裁国家の暗黒世界』でも、役人の手続きが面倒くさくて、王宮ごと数秒で消し炭に……」


最高神の顔が、みるみる青ざめていく。

そう、ルイス・クラウドという男は、追い詰められれば追い詰められるほど、「面倒くさいから一瞬で終わらせる方法」を本能的に選ぶ。それはつまり、神々が用意したどんな過酷なステージも、彼の「一撃の雑魚払い(無自覚)」によって秒速で物理的に粉砕される未来を意味していた。


「……じゃあ、どうしろって言うんだ……」

最高神が、ガクリと膝をついた。優雅な神としてのプライドはすでに跡形もない。

「何もしないのが、一番被害が少ないのでは……」と、誰かが小声で呟いたが、誰もそれを否定できなかった。


その頃、下界の小さな港町のベッドの上では。

「ふあぁ……っ、なんか嫌な悪寒がしたな。そろそろ次の面倒事が飛んでくる頃か」

ルイスが盛大なくしゃみを一つし、またぐうたらと毛布を頭から被り直していた。


神々の頭痛の種は、今日も元気に健在である。

外伝第3話「神々の会議室――『またやったぞあの野郎!』の憂鬱」をお読みいただきありがとうございました!


ルイスが世界を救うたびに、上層部でこんな爆笑と絶望の会議が開かれていたとは……という裏事情でした。どれほど過酷な世界を用意しても、結局はルイスの「面倒くさいから秒速で終わらせる」という最強(最悪)の力で物理粉砕されてしまう神々が、なんだか少し不憫にも思えてきますね。


さて、残る外伝の物語はあと2話! 次回はどんな視点やエピソードが飛び出すのか、どうぞお楽しみに!

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