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元カノに刺されて始まった十度の転生:やる気ゼロのグダグダ旅なのに、なぜか世界を救ってしまう件  作者: 凪塩 未来


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外伝第5話(最終話):終わらない日常と、十二回目の予感

外伝第5話(最終話)をご覧いただきありがとうございます!


伝説の聖剣をフリマで売ろうとして街中をパニックに陥れたルイス。ついに神様の我慢の限界が訪れ、強制送還のカウントダウンが始まる――! ギャグとやれやれ感が全開でお届けする、外伝シリーズのクライマックスをぜひお楽しみください!

静まり返った広場の中、ルイスはすやすやと眠りこける騎士団員や町の人々を見渡し、この世の終わりみたいな深――い溜息をついた。


「……これで、当分の間は誰も近づいてこないだろ」


「先輩、街の人たちを全員気絶させるって、スケールが大きすぎますぅ……。これ、起きたら大パニックですよ?」


ローブの裾をパタパタさせながら、ルルアが冷や汗を流してツッコミを入れる。

その隣でエリスは、頭を抱えてしゃがみ込んでいた。


「はあ……。伝説の聖剣をフリマで売ろうとした男なんて、大陸の歴史書にも載らないわよ。私たち、本当にこのままで大丈夫なのかな……」


「大丈夫、大丈夫。どうにかなるって、大体いつもどうにかなってきたし」


「そういう適当なところが一番怖いのよ!」


エリスのもっともな抗議を、ルイスはひらりと聞き流す。

そもそも、十回の人生で世界を救い続け、神様に怒られ、また別の世界に放り出されてきた身だ。街の一つや二つを数秒で静かに眠らせたところで、ルイスの心拍数は微塵も上がらなかった。


――だが、その平穏は長くは続かなかった。


ピキィン……!


澄み切った青空の真ん中、まるでガラスが割れるような乾いた音が響いた。

次の瞬間、空の雲が真っ二さに裂け、目が眩むほどの黄金の光が地上へと降り注ぐ。


「な、なにこれ……!? 空が割れた!?」


「うわっ、眩しっ……! 何ですかこの神々しいプレッシャーは!」


エリスとルルアが驚愕して尻餅をつく。

光の中心、空間の裂け目から、ゆっくりと荘厳な衣を纏った巨大な光の影が現れた。それは十一回目の世界の神――、ではなく、十個の過去の世界ですべての元凶だった「あの世界の神」の残滓、あるいは直通のクレーム映像だった。


『――磯崎駆ぁぁぁぁっ!!』


雷鳴のような神の怒声が、頭に直接響き渡る。


『まただ! またお前は、面倒くさいからという理由で魔王軍をスルーし、聖剣をフリマで売り払い、挙句の果てには街の人間を全員寝かしつけた! なぜお前は、もっとドラマチックに、感動的に、華々しく英雄としての役目を全うしないのかっ!』


「うるさいなぁ。こっちはこっちで色々忙しいんだよ。昼寝の邪魔をするな」


ルイスは空を見上げ、面倒くさそうに耳をほじりながら悪態をついた。


『逆ギレするな! 十度目だろうが十一回目だろうが、お前のそのマイペースすぎる救済方法には神界も我慢の限界だ! いいか、次の世界では絶対に――』


「はいはい、分かった分かった。どうせまた次の面倒くさいところへ放り出すんだろ? 勝手にしろよ、もう慣れっこだ」


『なっ……貴様、少しは反省しろっ!』


神の怒号が最高潮に達し、空間の裂け目がさらに大きく歪む。

周囲に倒れていた人々が、そろそろ目を覚まそうとモゾモゾし始めた。


「っと、そろそろ起きてきそうだな」


ルイスは足元に転がっていた「災厄の聖剣」を雑に拾い上げ、エリスとルルアの方を振り返った。

その表情には、いつもの気だるさと、ほんの少しの――諦め混じりの優しさがあった。


「おい、二人とも」


「る、ルイス……? なんか空からすごいおじさんの声が……」


「先輩、どこに行くんですか……?」


「さあな。どうやら俺の夏休み――じゃなくて、十一回目の人生もこれでおだぶつのようだ。お前たちはここで目を覚ましたら、うまい肉でも食って暮らせよ」


「ちょっと、待ってよ! 何言ってるの、ルイス!」


エリスが手を伸ばしたが、すでにルイスの足元から眩い転生の光が立ち込めていた。

神の強制送還――いわゆる「十二回目の世界ガチャ」の起動である。


「じゃあな。次こそは、絶対になんの取り柄もない村人Aとして、ひっそり隠居生活を送ってやる……!」


『今度こそまともに魔王を倒せぇぇぇい!!』


神の絶叫と、ルイスの盛大な溜息が重なり合う。

光が世界を包み込み、そして――すべてが真っ白に消え去った。


数秒後。

ルイス・クラウドの姿は、広場から綺麗さっぱり消えていなくなっていた。


残されたのは、ぽかんと口を開けたエリスとルルア、そしてようやく目を覚まして「あれ、俺たちなんで寝てたんだ?」と首をかしげる騎士団員たちだけだった。


――そして、また別の世界。

どこかの見知らぬ草原の真ん中で、十二度目の転生を果たしたルイスは、青空を見上げて盛大にため息をついていた。


「……はあ。またかよ」


目の前では、さっそく「勇者さま! 我々と一緒に魔王を討伐してください!」と泣きついてくる見知らぬ王女様の姿があった。


やる気ゼロの英雄の旅は、終わらない。

今日も今日とて、ルイスは文句を言いながら、グダグダと歩き出すのだった。

外伝第5話「終わらない日常と、十二回目の予感」をお読みいただきありがとうございました!


ついに(?)、神様のブチギレとともに十二回目の世界へと放り出されてしまったルイス。エリスやルルアとのコミカルな別れ(?)を挟みつつ、新しい世界でも相変わらず王女様に泣きつかれて「またかよ」とため息をつく、彼らしい幕切れとなりました。


十度の死と十一の人生を駆け抜け(グダグダと歩き抜け)、それでもどこか憎めないルイスの終わらない日常を見守っていただき、本当にありがとうございました!

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