第15話:魔王城突入、門番とのシュールな交渉
第15話をご覧いただきありがとうございます!
ついに魔王城の正門に到着したルイス一行。待ち受けるのは「最強の門番」といういかにもな難敵ですが、ルイスの「早く寝たいから通して」という圧倒的な低気圧オーラの前に、門番たちの反応はまさかの……!?
シュールさ全開の第15話、ぜひお楽しみください!
翌日の昼下がり。
ルイス一行の目のそびえ立っていたのは、太陽の光を完全に遮断するような禍々しい黒曜石の巨塔――魔王城であった。
空は紫色の雲に覆われ、城の周囲には不気味な魔力の雷がビリビリと走っている。いかにも「ラスボスがいます」という威圧感抜群の佇まいに、ルルアはブルブルと震えながらルイスの衣の裾を掴んだ。
「さ、先輩……なんだか門のあたりから、ものすごく血なまぐさい気配がしますぅ……! ああいう門番って、絶対一筋縄ではいかないタイプですよ!」
「ああ、そうだな」
ルイスは面倒くさそうにあくびを噛み殺しながら、城の正門を見上げた。
確かに、門の前には身の丈が三メートルはあろうかという、全身を黒い重装甲で固めた鬼神のような魔族の門番が二体、巨大な斧をクロスさせて立ちはだかっていた。その眼光は鋭く、近づく者すべてを叩き斬らんばかりの殺気を放っている。
「侵入者め……! ここから先は、魔王様への供物となる者以外の一歩も通さぬ! 覚悟――」
門番の一人が低い地鳴りのような声で威嚇の声をあげた、その時だった。
「あ、すいません。ちょっと通りますよ」
ルイスは門番の言葉を完全に遮り、何の緊張感もない足取りでそのままスタスタと門へ近づいていった。
「は……?」
あまりのマイペースさに、威圧していたはずの門番の巨体が盛大に硬直する。斧を構えていた腕が、ぴくりと痙攣した。
「な、なにをっ! 貴様、命知らずめが! 我らは魔王軍が誇る最強の門番――」
「いや、こっちはこっちで色々事情があってさ。早く中に入って、用事を済ませて、あわよくば夕方前には宿に戻って寝たいわけよ。だから、その……道を開けてもらえると、お互い面倒なことにならなくて済むと思うんだけど」
ルイスはそう言いながら、片手で腰の神話級の魔剣の柄をトントンと軽く叩いた。
ほんの少しだけ、十回の人生で培われ、十人の魔王を震え上がらせてきた「世界の理を狂わせるバグじみたプレッシャー」が周囲の空気を歪ませる。
「……っ!?」
門番の二人は、直感した。
目の前の、やる気のない死んだ目をした黒髪の青年は、自分たちとは次元が違う。斧で斬りかかろうものなら、一瞬で存在ごと消し飛ぶ――そんな本能的な恐怖が、巨体の魔族たちの背筋を凍らせた。
「おい……お前、感じるか……?」
「あ、ああ……この男、やばい……。魔王様よりも、よっぽど格上の……『理外の怪物』だ……!」
「通せ……! 通すんだ、早く!」
ものの数秒で、魔王軍最強と謳われた門番たちの戦意は完全に粉砕された。
「ど、どうぞお通りください……!」
門番たちはガタガタと震えながら、まるで高級ホテルのドアマンのように恭しく巨大な鉄の門を押し開けたのである。
「おっ、話が早くて助かるわ。ほら、二人とも行くぞ」
「……え? ええっ!? もう突破したんですか!?」
後ろから走ってきたエリスは、武器を抜くことすらなかった光景に完全にポカンとしていた。ルルアも「門番さんがめちゃくちゃお辞儀してますぅ……?」と目を白黒させている。
「いざとなれば、コミュ力(物理)でどうにかなるもんさ」
やれやれと肩をすくめながら、ルイスは魔王城の薄暗いエントランスへと足を踏み入れる。
こうして、世界を揺るがすはずの魔王城突入作戦は、あまりにもシュールかつ平和裏に(?)幕を開けたのだった。
第15話「魔王城突入、門番とのシュールな交渉」をお読みいただきありがとうございました!
戦闘になると思いきや、ルイスの「面倒くさいから道をあけろ」というコミュ力(と背後にチラ見えするバグ級の殺気)で門番が秒速で屈服する展開、いかがでしたでしょうか。エリスの拍子抜けした顔や、ルルアの驚きぶりが目に浮かぶようです。
十回の人生を経験した男は、もはや門番ごときではテンションすら変わりません。
さて、城の内部へ進んだルイスを待ち受けるのは、いよいよ十一人目の魔王本人! 次回もお楽しみに!




