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元カノに刺されて始まった十度の転生:やる気ゼロのグダグダ旅なのに、なぜか世界を救ってしまう件  作者: 凪塩 未来


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第10話:王宮へ召喚される、けれど王様より眠気が勝つ

第10話をご覧いただきありがとうございます!


四天王をワンパンで葬ったことで、ついに王宮の最高権威から呼び出しを受けたルイス一行。格式高い謁見の間で待ち受けていたのは、緊張感あふれる国王や貴族たちでした。しかし、肝心の主人公は――まさかの「立ったまま居眠り」!?

王様も絶句する前代未聞の謁見シーン、ぜひお楽しみください!

魔王軍四天王の一人・ザルヴァが「ため息一つ」で消滅したという情報は、瞬く間に大陸全土を駆け巡った。

――『謎の若き旅人が、四天王を一撃で葬った』

その噂は王都の宮廷にも届き、国王陛下を大いに震え上がらせたらしい。結果、ルイスたちの元には王宮からの使者が慌ただしく駆けつけ、有無を言わせぬ形で最高峰の格式を持つ謁見の間へと連行されることになった。


大理石の床がどこまでも続き、天井には眩いばかりの金箔が施された王宮の謁見の間。

ずらりと居並ぶ最高幹部の貴族たちや、緊張で顔を引きつらせた王国騎士団の精鋭たち。その中央に、重厚な玉座に座る老いた国王が、ごくりと喉を鳴らしてこちらを見据えていた。


「おお……! そなたが、噂の英雄殿か!」

国王の厳かな声が、広い室内に響き渡る。

「魔王軍の脅威に怯える我が国を救うべく、四天王を瞬殺してくださったという……。さあ、顔を上げよ! その功績を称え、我が国の最高位の勲章と、莫大な褒賞を――」


しかし、国王の熱弁の途中で、聞こえてきたのは別の音だった。


――ぐぅ…………すぅ…………。


「…………ん?」

国王の言葉がピタリと止まる。

貴族たちが「えっ?」とざわつき、騎士たちが冷や汗を流す。

謁見の間の真ん中で、ルイス・クラウドは立ったまま――いや、正確には両腕を組んで、コクン、コクンと盛大に居眠りをこいていた。前日までの旅の疲労(と、十回分の人生の蓄積された気怠さ)が、この格式高い空間の暖かさと相まって、最高の睡眠環境を作り出してしまったのだ。


「ル、ルイス!? ちょっと、起きてってば!」

隣に立っていたエリスが、青ざめながらルイスの脇腹をひじでぐりぐりと突く。

「んぁ……? ああ、もう朝か……って、なんだここは……。うわ、天井の装飾が趣味悪いな、もっとシックな色合いにしろよ……」

ルイスは目しこしこ擦りながら、王様の前だというのに盛大な大あくびをかました。


「なっ……! 無礼者め!」

側近の宰相が真っ赤になって怒声を飛ばす。

「ここは我が国の最高権威である謁見の間! 陛下を目の前にして居眠りとは、どのようなおつもりか!」

「いや、呼ばれたから来たけどさ。なんか話が長そうだったから、つい……。用件がそれだけなら、褒賞の金貨だけ置いて、俺を早く宿に帰してくれないか。ベッドが恋しくて死にそうなんだよ」

「死にそうとはなんだ! 陛下に対して不敬罪で……!」


謁見の間は一瞬にして怒号とどよめきに包まれた。

王様も顔を真っ青にしたり真っ赤にしたりして、どう対応したものか震えている。伝説級の実力を持っていると聞いてビビっていたが、まさかここまでルーズでやる気のない人間だとは思っていなかったのだろう。


「静まりなさい」

老国王は震える手で髭を整え、意を決したように声を張り上げた。

「……ふっ、さすがは英雄。世俗の地位や名誉などには一切興味がないということか。我が国の格式さえも超越したその態度、むしろ頼もしく思えるわ!」

(いや、ただ単にめんどくさいだけなんだがな……)と、ルイスは心の中で盛大に白目を剥いた。


「よろしい! ルイス殿、我が国はあなたに正式に『魔王討伐軍の総大将』の地位を授ける! さあ、明日から直ちに魔王城へ――」

「お断りします」

即答だった。

ルイスはきっぱりと言い放ち、くるりと背中を向けた。

「総大将とか無理だから。部下の管理とか会議とか書類仕事とか、死ぬほど面倒くさそうだし。じゃ、俺たち旅の途中なんで、これで失礼します」

「ま、待ていーーっ!! 王命を断る気かぁっ!?」


国王の悲痛な叫びを背中に聞きながら、ルイスは「ほら行くぞ、エリス、ルルア」と手をひらひらと振って、謁見の間をトボトボと歩いて去っていく。

エリスは冷や汗を滝のように流しながら「し、失礼します! すみません、うちのリーダー頭がおかしくって!」と必死に頭を下げ、ルルアと共に慌ててその後を追いかけた。


こうして、王宮をも巻き込んだ「やる気ゼロの英雄」の謁見は、前代未聞のドタバタの末に幕を閉じたのであった。

――そしてその頃、神界のモニターの前では、世界の神が怒りのあまりテーブルを叩き割り、頭を抱えて絶叫していたという。

第10話「王宮へ召喚される、けれど王様より眠気が勝つ」をお読みいただきありがとうございました!


王様の熱弁をBGM代わりに爆睡し、挙げ句の果てには「天井の趣味が悪い」「褒賞だけ置いて帰してくれ」「総大将は面倒だから断る」と、王命を堂々とスルーして去っていくルイスのマイペースっぷりはいかがでしたでしょうか。

冷や汗をかきながら必死に謝罪するエリスの苦労が偲ばれますね。そして、そんなフリーダムすぎる行動に神界の神様がまたしても激怒していることでしょう……(笑)。


王宮をも巻き込んだ面倒事から逃げ出したルイス一行。

次はどんなトラブル(あるいはスローライフ)が待ち受けているのか? 第11話もお楽しみに!

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